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  1. 岐阜県議会 1990-06-01
    06月27日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成 2年  6月 定例会(第3回) △議事日程               平成二年六月二十七日(水)午前十時開議 第 一   議第六十二号から議第七十五号まで 第 二   請願第四十一号から請願第五十三号まで 第 三   一般質問         ………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一  日程第一  議第六十二号から議第七十五号まで 一  日程第二  請願第四十一号から請願第五十三号まで 一  日程第三  一般質問          ………………………………………………… △出席議員               四十七 人 一  番   不破照子君 二  番   渡辺儀造君 三  番   河合正智君 五  番   高井節夫君 六  番   水野正夫君 七  番   岩井豊太郎君 八  番   渡辺信行君 九  番   小川 豊君 十  番   安藤通廣君 十一 番   伊藤延秀君 十二 番   山田 桂君 十三 番   近松武弘君 十四 番   小山興治君 十五 番   山下運平君 十六 番   中村利兵衞君 十七 番   山口三男君 十八 番   山田忠雄君 十九 番   宮嶋和弘君 二十 番   杉山友一君 二十一番   白橋国弘君 二十二番   森  真君 二十三番   片桐義之君 二十四番   馬渕武臣君 二十五番   田口淳二君 二十六番   加藤利徳君 二十七番   殿地 昇君 二十八番   中本貞実君 二十九番   高田藤市君 三十 番   鳩谷 斉君 三十一番   坂 志郎君 三十四番   笠原潤一君 三十五番   塚本佳和君 三十六番   新藤秀逸君 三十七番   古川利雄君 三十八番   今井田 清君 四十 番   浅野庄一君 四十一番   猫田 孝君 四十三番   杉本武夫君 四十四番   岩崎昭弥君 四十五番   船戸行雄君 四十六番   河村成勝君 四十七番   酒井公雄君 四十八番   木村 建君 四十九番   青山正吾君 五十 番   米野義久君 五十一番   松永清蔵君 五十三番   古田 好君 △欠席議員                一人 五十二番   伊藤 薫君          ………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         西本徹雄 事務局次長        大竹寿生 議事調査課長       幸脇 弘 議事調査課総括課長補佐  足立富夫 議事調査課長補佐     高橋壽郎 議事調査課長補佐     小澤和夫 議事調査課長補佐     別宮英夫 議事調査課長補佐     福田照行 議事調査課長補佐     田中長雄 主         査  安藤 純 主         査  岡部 修 主         査  浅井広明 主         任  阿部 繁 主         事  向井俊貴          ………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事             梶原 拓君 副知事            秋本敏文君 出納長            土屋文男君 総務部長           永倉八郎君 知事室長兼総務部次長     古屋利男君 総務部次長          高井正文君 企画部長           山田賢一君 地域振興局長兼企画部次長   横倉脩嗣君 企画部次長          青木栄二君 民生部長           桑田宜典君 民生部次長          春日井啓介君 衛生環境部長         井口恒男君 衛生環境部次長        川島光雄君 商工労働部長         川添正幸君 商工労働部次長        上水流則男君 商工労働部次長        服部和良君 農政部長           名知和男君 農政部次長          柳原 伸君 林政部長           伊藤邦昭君 林政部次長          村瀬正治君 土木部長           山岸俊之君 土木部都市住宅局長      飯島平昭君 土木部次長          黒木真一君 土木部次長兼都市住宅局次長  岩垣儀一君 開発企業局長         藤田幸也君 開発企業局次長        渡部 忠君 選挙管理委員会委員長     宮川晴男君 人事委員会事務局長      飯田正樹君 代表監査委員         奥田英幸君 監査委員事務局長       岩砂 仁君 地方労働委員会事務局長    菊谷光重君 教育委員会委員長       渡辺 孝君 教育長            篠田幸雄君 教育次長           竹中寿一君 教育委員会管理部長      廣瀬 寛君 警察本部長          遠藤豊孝君 警察本部総務室長       熊崎徳金君 △六月二十七日午前十時十三分開議 ○議長(河村成勝君) ただいまから本日の会議を開きます。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 請願の受理について 請願第四十一号 岐阜県議会議員各務原市選挙区の定数増員についてほか十二件の請願を受理しました。 職員に関する条例の改正について 人事委員会委員長から、六月二十五日付をもって、議第六十三号 岐阜県職員退隠料給与条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例については、適当と認める旨の報告がありました。 監査結果等の報告について 監査委員から、六月二十五日付をもって、地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により、出納検査の結果について報告がありました。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) 日程第一及び第二を一括議題といたします。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案の質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十六番 新藤秀逸君。    〔三十六番 新藤秀逸君登壇〕(拍手) ◆三十六番(新藤秀逸君) 発言のお許しをいただきましたので、県政自民クラブを代表いたしまして順次発言をさせていただきます。 まず、知事に御就任になられましてからもはや一年半の歳月が流れ、未来に向けて確かな県勢の変貌を遂げておりますことに対し、深く敬意を表するものであります。今後さらに県民の期待と信頼にこたえ、見果てることのない夢実現のため、強力な県勢の推進、展開を期待しながら、十五項目にわたって以下知事さん、各部長さんたちにお尋ねをさせていただきます。 最近の経済情勢は、昭和六十一年末以降の景気拡大基調により、この五月で戦後二番目に長い岩戸景気と並び、いよいよ戦後最長のいざなぎ景気を目指す状況となっているところでありますが、一方において、これまでの円高、金利安、原油安といった内需主導の成長要因が平成二年に入ってから変調を来し、逆に円安、金利高、原油高といったマイナス要因への転換が見られ、最近の新聞等の報道によりますと、一部に景気の先行きに不安を抱く見方も出ております。このような経済環境下にあって、本年度の県税収入は前年度最終予算の一〇五・五%増の二千二百億円が計上されており、その確保は景気動向に大きく左右されるものでありましょうが、本年度は、まだ三カ月が経過したばかりでありますので、これに係る質問は保留いたしまして、平成元年度における県税収入の決算見込額は、最終予算額二千八十五億円に対しどの程度になるか、お尋ねいたします。 次に、職員の勤務条件の改善についてお尋ねいたします。 まず、本県において、昭和五十八年度から平成二年度までの八年間に知事部局の一般職員定数を五%削減するという岐阜県行政改革大綱の目標を達成したことに対し、敬意を表したいと存じます。特にこの八年間は、二百万県民の英知と底力を結集して大成功に導いたぎふ中部未来博の準備期間から開催、閉幕までの期間を含んでおり、その間の職員の努力には並み並みならぬものがあったことは想像に難くなく、職員の努力と能力には感心いたしておるところであります。 また、この間、社会経済情勢は国際化、高度情報化、高齢化等が進展し、県民の福祉向上等を進めるための新たな行政需要が増大してきた時期でもありました。このような中で五%削減という目標が達成できました背景には、徹底した事務事業の見直し、事務の委託化、事務処理のOA化、組織の統廃合等が行われ、職員の適正配置に努められたことが挙げられます。この意味において、本県の職員定数管理は、少数精鋭主義を貫いてきているものと言えますし、職員も行政の効率的運営に対して大変よく理解と努力をしていただいておると思います。現在の本県職員の資質は全国的にもトップクラスに位置し、私も大変誇りといたしておるところであります。 しかしながら、このような少数精鋭主義のもとでも、社会経済環境の急速な変化に伴い、さらに複雑多様化する行政需要に対処していくためには、また、知事提唱の夢おこし県政を順調に推進していくためにも、豊かな発想と柔軟な考え方を持ち、機能的に行動する職員を引き続き確保、育成し、蓄積していくことが極めて必要であり、このことが今後の人事政策の最重要課題だと思います。 一方、自治省が毎年十二月一日現在でまとめている都道府県と政令指定都市の職員の採用試験の実施状況調査を見てみますと、地方公務員志望者数は一段と減り、公務員の人材確保がますます厳しさを増しております。本県においても受験者数は減少傾向にあり、競争率も低下してきております。このような傾向について、好況が引き続く民間企業に受験者が流出したとの見方がなされておりますが、最近の若者は、企業選択に当たって、給与はもちろんのこと、週休二日制や長期休暇の有無、独身寮等の福利厚生施設の充実度、企業イメージ等も重視しているようであります。 いずれにしましても、応募者の減少が合格者の質に影響することは否定できないものでありまして、将来の行政水準に悪影響を与えるようなことになってはいけないと思うものであります。そこで、今まで申し上げましたように、行政上の課題が今後とも一層複雑多様化していく中で、行政の効率的運営という要請に引き続きこたえていくためには、優秀な人材の保持と確保が必要であります。ついては、現在の職員各層の士気を持続、向上していくためにも、また、新しい人材の確保のためにも、労働時間短縮の推進など職員の勤務条件の改善や福利厚生施設の充実、さらには採用後の職員の資質、能力の向上のためのさまざまな研修、トレーニングの充実強化等についての配慮が必要だと考えられますが、この点についてどのような考えをお持ちなのかお聞かせをいただきたいと思います。 次に、ゴルフ場問題についてお尋ねします。 現在、本県でのゴルフ場の数は、オープン中のもので五十九カ所あり、そのほか工事中のものや計画中のものを加えますと、実に百十三のゴルフ場ができることになると聞いております。本県のゴルフ場の立地は、美濃地方に集中しておりまして、それも交通の利便性がよく、地形が比較的なだらかで自然に恵まれたところに集まっているのであります。そのため、市町村によってはゴルフ場の面積が市町村面積の一〇%を超えるところも出てきております。 ゴルフ場は、御承知のとおり地域の活性化や地元住民の雇用の増大等地域に多大な貢献をもたらしてはおります。しかし、反面ゴルフ場は最低でも百ヘクタールの広大な土地を必要とし、その結果、樹林の減少、保水力の低下、動植物の生態系の変化等自然環境への影響や、コース上の芝生の維持管理のために使用される農薬等による水質汚濁等を懸念する声も多く出てきており、最近では社会問題にもなっておりますが、これらの問題については、ゴルフ場開発事業者も地域社会の構成員として社会的責務を認識すべきであり、また市町村においても、地域の活性化の基本方向と土地利用のあり方を踏まえ、総合的に対処することが要請されていると思うのであります。 そこで、私は、まず初めにゴルフ場が既に集中している地域における今後の新規のゴルフ場開発の指導を県はどのように行われようとしておられるのか、お尋ねをいたします。ゴルフ場の面積を市町村面積の一定割合以下に抑えるとか、一市町村内のゴルフ場の数を制限するとかいった例も他県にはあるようでありますが、量的な抑制について県としてはいかなる考え方で対処されるのか、また、これらのゴルフ場は、少数のゴルファーだけのための閉ざされた空間であってはならず、積極的に地域に開かれた施設、積極的に地域に貢献する施設でなければならないと考えるところでありますが、そうした観点から、これらの新しいゴルフ場開発あり方そのものについて、地域に安心して、かつ喜んで受け入れてもらえるような何らかのガイドラインを設けて指導する考え方はないのか、お尋ねをするものであります。 また、オープン後のゴルフ場の管理についてでありますが、御承知のようにゴルフ場の立地は、広大な面積を要するということからほとんどが山間地であり、その下流域は、住民の日々の生産や生活の場となっております。ゴルフ場のオープン後の管理については、そのための特別な法律による規制は設けられておらず、広大な緑地の管理は主として経営者の自主判断に任されておるわけであります。このことにつきましては、三月議会で我が党の猫田議員が代表質問の中で県の考えをお尋ねをしております。そのときの知事の答弁は、ゴルフ場サイドにもそれなりの努力をしていただくのはもちろんであるが、県としても、農薬、自然環境保全、防災の面を考慮したゴルフ場管理指導要綱を制定し、指導していくという答弁がなされております。そこで私は、管理指導要綱はどんな内容か、また施行はいつかお尋ねをします。 次に、東濃西部研究学園都市構想の推進についてお尋ねをします。 東濃西部地域は、既に整備されているJR中央本線、中央自動車道のほか、先月二十八日にくい打ち式がなされました東海環状自動車道や、将来的にはリニア中央新幹線などの広域的交通網の整備が見込まれ、地域の利便性は一層高まると予想されます。また、全体的に緩やかな丘陵部の多い地域であり、快適な自然環境や窯業を初めとした地場産業を有するなど、今後の発達が大いに期待できる地域でもあります。 知事は、輝く未来の岐阜県づくりに向けた二十一世紀の基盤づくりとして、産業・情報・交通等県土基盤の戦略的な整備を掲げられており、この基盤づくりの一つが東濃西部地域における研究学園都市構想の推進であると受けとめております。本構想は、第四次全国総合開発計画において、産業技術の中枢圏域として位置づけられている名古屋圏における中心的な拠点として、世界的水準の研究機関の立地を推進するとともに、質の高い生活環境、交流環境等を整備し、先端的な産業技術、研究開発機能の集積を高めようというものであり、まさに知事の提唱されている世界の頭脳基地ギフづくり、研究開発立県の実現のための本県における中核となるものであり、その推進を大いに期待しているものであります。 そこで、本構想の推進の状況を見るに、地域の中核となる施設として、昨年五月に核融合科学研究所名古屋大学東山キャンパス内で発足し、土岐市において既に一部の実験棟が着工されております。またこれに続き、県・市の努力により、この三月に超高温材料研究センター、四月には日本無重量総合研究所が第三セクターとして設立され、ハイテクノロジー関係の世界的な研究機関の立地を見たわけであります。 聞くところによりますれば、核融合科学研究所は、旧名古屋大学プラズマ研究所が発展的に改組され、そこに京都大学と広島大学の核融合研究部門を統合して設立された全国の大学の共同利用機関であり、究極の新エネルギーと言われる太陽エネルギーと同じ核融合エネルギーを地上で再現しようとする壮大な研究施設であり、超高温材料研究センターは、二千度を超える超高温環境下で耐え得る画期的な新素材を創生・評価しようとするものであり、日本無重量総合研究所は、宇宙空間の無重量状態を地上でつくり出し、宇宙環境の特性を利用した新素材、バイオテクノロジーなどの実験研究を行おうとすることであります。あるいは、民間の研究機関等の進出を大いに期待するものでありますが、陶磁器を中心とする地元産業界を初め、岐阜県全体の産業界への情報交流、技術移転などの波及効果を県としてうまく受けとめることが重要であると考えます。今後の具体的な推進に当たっては、県並びに地元市町が一体となって、民間経済界と密接な協力のもとに、いわゆる三点セット後の推進方策を検討し、対応すべきものと考えますが、県における今後の取り組みについて御所見をお伺いします。 続いて中部新国際空港についてでありますが、昨年三県一市でその候補地を伊勢湾東部海上、すなわち常滑沖に合意されて以来、財団法人 中部空港調査会を中心に、開港時期、事業主体、アクセス等について、関係者の間で議論が重ねられ、去る五月一日、これを集約する形で調査会から中部新国際空港基本構想が公表されたところであります。そして、五月十一日には、岐阜県・愛知県・三重県・名古屋市の三県一市と地元経済団体がこれに合意をし、運輸大臣あて基本構想を提出し、要望を行ったと伺っております。 この基本構想につきましては、かねてから我々が主張してまいりましたアクセス整備の重要性や広域的観点からの地域開発の必要性などが盛り込まれており、本県として高く評価すべきものであると考えております。また、最近、中部新国際空港の第六次空港整備五箇年計画への組み入れをめぐって、海部総理大臣、大野運輸大臣から相次いで力強い前向きの御発言があり、非常に意を強くしている次第であります。しかしながら、新空港の建設についてはまだその緒についたばかりであり、今後解決しなければならないなお多くの課題があると思いますが、本県として特に何が課題であり、それにどう対応していかれるのか、また、中部新国際空港を二十一世紀初頭に開港するに当たり、当面どのようなスケジュールで進められるのか、お伺いします。 次に、地域におけるボランティア活動の促進についてお尋ねいたします。 御承知のとおり、我が国は、昭和六十三年の平均寿命が男性七十五・五歳、女性八十一・三歳で世界一の長寿国であり、これは、我が国が人類の永年の夢であった不老長寿への挑戦に大きな成果を上げたという点では、大いに喜ぶべきことだと言えましょう。しかしながら、世界一の長寿国も、六十五歳以上の高齢者が急速に増加し、一人暮らし世帯は昭和六十年で百十五万世帯と昭和四十五年に比べて約三倍に、また、寝たきり老人、在宅痴呆性老人は推計でそれぞれ六十万人となっており、孤独な生活をしている老人、生きがいを見失った老人、寝たきり老人の介護問題等々、長寿を手放しでは喜んでいられないのが現状であります。本県においても、一人暮らし老人は既に一万人を超えていると聞いております。 また、障害者の数も年々増加し、その上高齢化してきており、県内では、現在心身障害者は約六万五千人と聞いております。自立支援、社会参加、介助問題など障害者のへの配慮は十分とは言えず、生活や行動に制約があるのが実情であります。私たちは、人間としてこの世に生を受けた限り、人間として心豊かに生きたいというのはだれしもの願いであり、高齢者や障害者を初めとしての県民が地域社会の中で家族や友人や地域の人々と生き生きと触れ合い、安心して暮らせる社会が実現されてこそ長寿万歳と長寿を真に喜ぶことができます。このような福祉社会の実現のためには、各種の施設が地域社会の中にバランスよく配置されるとともに、さまざまな在宅福祉サービスが十分に用意され、高齢者や障害者の方々が気軽に利用できるようにすることが大切であります。県におかれましても、こうした人々のニーズを的確に把握して、積極的な施策を展開され、生きがい福祉、ふれあい福祉・気くばり福祉を目指して着実に前進しているところでありますが、出生率の低下、核家族化の進展等により家庭機能の弱体化している今日、地域福祉の推進は行政の努力に加えて民間の協力が重要であります。特に、県民のボランティア活動への参加とその活動の促進は欠かすことができないと考えます。 私は、独居老人のデイ・サービスセンターなどの通所施設への送迎、入浴介助、聴覚障害者への手話通訳などのボランティア活動が、老人や障害者の方々の生きがいや社会参加への大きな力になっている話を耳にするたびに、ボランティアの方々の善意に敬服するとともに、ボランティアの輪がさらに広がっていくことを願っております。県におかれましては、昭和六十三年度よりボランティア活動が永続的に、自主的に推進されますよう、岐阜県ボランティア活動振興基金へ出捐を行っておりますが、この基金の見通しを含めて、県は福祉ボランティアの育成及び活動の促進についてどのような施策を展開するお考えなのかお尋ねいたします。 次に、精神障害者の社会復帰対策についてお尋ねします。 国際障害者年が実施されて以来、来年で十年目を迎えようとしていますが、この間、精神障害者施策の分野におきまして、さまざまな前進がみられたところであります。昭和六十三年七月に改正、施行された精神保健法は、精神障害者の人権保護と社会復帰の促進を主要な柱とし、国及び地方公共団体が医療施設、社会復帰施設等を充実することにより、精神障害者が社会生活に適応することができるよう努めることを義務づけております。 一方、このような趨勢の中で、障害者やその家族からは各種の施策の充実を一層強く求められるようになりました。その要請の一つに、他の心身障害者との施策の格差の問題があります。例えば、障害者の身近な地域で設置が望まれる小規模作業所につきましては、心身障害者小規模授産事業所が三十二施設設置されているのに対し、精神障害者小規模作業所の場合は六施設しかありません。また、国の制度の拡充が望まれる問題ではありますが、精神障害者の場合、身体障害者手帳や療育手帳交付といったものに相当する制度もなく、医療費給付や交通費助成等の保健福祉サービスの立ちおくれが目立っております。県の資料によりますと、平成元年末現在把握されている県内の入院している精神障害者は約四千三百人、推定による精神障害者は二万六千四百人で、このうち社会復帰対象者は約五千人とされております。社会復帰の促進をする上で、精神障害者が保健福祉サービスを必要とする障害者であるという認識の上に立って、こうした精神障害者について立ちおくれている諸施策の充実を図る必要があります。 昨年十一月、県地方精神保健審議会が岐阜県における精神障害者の社会復帰対策について知事に答申をしたところによりますと、「こころの健康センター(仮称)」を五ブロックに設置し、地域での精神保健活動の中心機関とすることや、専任の精神保健相談員を保健所に設置すること等を当面の課題とし、精神障害者の社会復帰促進のための施策の拡充を求めております。そこで、こうした答申全般について、県の基本的な方針及びその中でも特に精神保健サービスに携わるマンパワーの充実、さらには精神障害者社会復帰施設の拡充についてお尋ねをします。 次に、大規模小売店舗、いわゆる大型店の出店調整についてお尋ねをします。 御承知のとおり、この問題については、去る四月六日に合意された日米構造協議の中間報告の中で、今後日本がとるべき措置の一つとして具体的にその方針が明示されたところであります。その中間報告によりますと、大規模小売店舗法については、新たな消費ニーズにこたえ、流通業の活性化を進めるという観点から規制を緩和するとし、その具体的方策としては、三段階の措置が予定されております。第一段階といたしましては、出店調整処理期間の短縮や手続の透明性向上、閉店時間・休業日数の緩和等直ちに実施する運用の適正化であり、第二段階では、これに続き時期通常国会で法律改正を行い、さらに第三段階としては、その法律改正後二年後に大店法の見直しを行うというものであります。これらの一連の措置は、従来の大店法の運用の流れを転換するものであり、今後の大型店の出店調整のあり方に大きな影響を与えることが予想されるところであります。 もとより、この大店法は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、大型店と周辺中小小売業者との間における事業活動を調整し、いわば地元と進出する大型店との共存共栄を図っていくことがこの法律の目的であろうと承知いたしております。一部においては、法の趣旨を逸脱し、いたずらに調整を長期化するものや、調整手続すら着手できないといったケースもあるやに聞き及びますが、いずれにしても、私はこの商業調整について、基本的には消費者、大型店、地元中小小売業者がその出店を調整する機会が適正に確保されることが肝要であると考えております。と同時に、一方でさきの日米構造協議が行われました背景をも考慮する必要があるのではないかと思うのであります。すなわち、我が国及び我々を取り巻く経済環境は、大店法が制定された昭和四十八年当時とは大きく変化してきているところであります。国際社会における日本の役割が大きくなると同時に、あらゆる面において国際化の波が我が国を席巻しており、また車社会の進展や情報化社会が成熟化する中で、我々のライフスタイルも大きく変化を遂げてきております。これに伴い消費者のニーズも多様化し、小売商業を取り巻く環境も従来とは大きくさま変わりしているというところであります。 これまでに述べましたように、大店法に関する今回の規制緩和は、基本的には従来の出店調整制度を維持しつつ、社会経済の環境の変化の中で国民の消費生活を充実させ、国民生活の質的向上を図るため、新しい価格メカニズムが的確に機能するための環境整備を行うということがその目的であると思うのであります。つきましては、これらの国の施策について県としてどのように対処されるのか、また、今回の規制緩和措置の中で、地方公共団体の独自の出店調整制度についても必要な是正を図ることとされておりますが、県で定められておる岐阜県中規模小売店舗出店対策要綱についていかがされるのか、お伺いをいたします。 次に、農業問題のうち特に肉用牛及び酪農の振興についてお尋ねします。 まず第一に、肉用牛についてでありますが、来春四月に、牛肉輸入自由化を控えて、各県は銘柄化対策等に取り組むなど産地間競争が激しさを増しており、厳しい情勢にあることは皆様も十分御承知のところであります。幸い、本県におきましては、高級肉「飛騨牛」のブランド化が、安福号の偉大な遺伝力と関係者の努力によりまして推進され、肉質的には日本一の評価を得ております。全国的に名をはせるようになったところであります。さらに先ごろ、安福号の後継牛安栄号が誕生したことによって、飛騨牛はますます高い水準で安定生産が図られることとなり、極めて喜ばしいことであります。このような状況を反映して、肉用牛の生産も活発となり、繁殖用雌牛が昭和五十九年以来六年ぶりに七千頭を超えたと聞いております。 また、本県では、二万七千三百頭の肥育牛が飼育され、その内訳は和牛が一万五千四百頭、乳用種が一万一千九百頭で、和牛と乳用種の比率が約六対四となっております。これは、全国平均の三対七と比較して和牛の比率が際立って高く、飛騨牛の生産意欲の向上がうかがわれるところであります。しかし、これに満足するのではなく、熾烈な産地間競争に打ちかち、他産地の追随を許さない確固たる地位を築くためには、肉質に加えて体積のアップなど産肉性の向上を図ることが重要な課題であります。このためには、県において優良種雄牛はもとより、超優良雌牛を確保し、これを活用して第三、第四の安福号をを造成するとともに、受精卵移植等最新技術を応用して、効率的な飛騨牛の改良増殖を図るための試験研究を精力的に推進することが必要だと考えます。 さらに、県営飛騨牧場を繁殖用雌牛の供給基地として位置づけ、これに加えて、一般農家の優良な雌牛と優良種雄牛との計画的な交配によって飛騨牛の改良増殖に努め、牛肉自由化後の大きな荒波を乗り切り、国内外の消費者に高級肉を安定的に供給するための体制整備が緊急な課題ではないかと考えるものであります。肥育牛の約四〇%を占める乳用種については、一般消費向けの大衆牛肉として人気がありますが、輸入牛肉と肉質が類似しており、牛肉の自由化によって直接影響を受けることが懸念されるため、具体的な対策が必要であると思います。以上の点を踏まえて、肉用牛振興の今後の方向と対策について御所見をお伺いするものであります。 次に、酪農についてでありますが、そのうち第一点として、牛乳、乳製品は吸収力の高いカルシウムや蛋白質、ビタミン等豊富に含んだバランスのよい健康食品として評価も高まり、需要は徐々にではありますが着実に増加し、現在では年間一人当たりの消費量は八十二キログラムと十年前の一三〇%にも達し、計画生産のもとで牛乳の需給バランスも安定していると聞き及んでおります。 こうした中で、粉乳、練乳等の乳製品の自由化についてアメリカ等から強く要求されており、我が国の酪農経営を圧迫するのではないかと懸念されております。そこで、本県の状況を見てみますと、飼養頭数は昭和五十五年以降約二万頭で推移しておりますが、酪農家戸数は減少傾向をたどり、平成二年には六百戸となっており、その結果、一戸当たりの飼養頭数は十三頭から三十二頭へ大幅に拡大し、専業化が進んでおります。しかし、一方では後継者不足等の問題が深刻化しているのが現状のようであります。後継者ができない主な理由は、乳用牛の飼養管理のため年中無休の労働条件が、今日的な余暇時代の中で若者に受け入れられないのではないかと思うのであります。こうした中で、酪農家が休日をとることを目的としたヘルパー組織が一部地域でつくられていると聞いております。そのほとんどが任意組合であり、脆弱な組織のようであります。これは、搾乳など特殊な技術を要することから要員の確保が難しく、なかなか定着しないのが実態のようであります。このため、酪農を志向する若者に将来の夢を与えるという観点からも、海外酪農研修を積ませるとかして、幅広い知識、技術を習得させ、その後酪農家予備軍としてヘルパーに養成し、活動させるような方策が必要ではないかと考えるものであります。そこで、県は酪農ヘルパー問題についてどのような対策を講じていくのか、御所見をお聞かせ願います。 次に、二点目として、本県の酪農は中京圏という大消費地を有し、かつ自然条件に恵まれた主産地として乳用牛の改良も進み、乳量のレベルアップが図られ、一万キロ以上の搾乳牛も飼われているようでありますが、今後予想される北海道、東北など酪農主産地からの牛乳移入に対抗し、消費者ニーズにこたえていくためには、高品質な牛乳を低コストで生産することが極めて重要となってきております。牛乳の品質を高めるためには、乳用牛の質的な改良を図りながら、同時にカルシウム、ミネラル等豊富に含有する良質な粗飼料を生産し、十分に給与することが必要であります。土地基盤に立脚した経営こそ、今後の酪農家の生き残る道であると考えていますが、このことについての御所見をお聞かせください。 次に、木材需要の拡大についてお尋ねをします。 近年の木材需要は、国、県の積極的な各種施策と好調な国内景気に支えられ、ここ数年一億立方メートルを超す水準で推移し、木材需要の大宗をなす住宅建設着工数も百六十万戸台を維持しています。このように、順調に思われる木材需要ではありますが、内容をよく見てみますと、伸び分は外材に吸収され、国産材の生産は停滞し、そのシェアは昭和六十三年以降三〇%を割っている現状であります。また、今後の国内景気の動向、外材の攻勢等を思うとき、陰りが見え始めているのではないかと危惧されます。本県においては、国産材の需要が六四%を占めているものの、その量は減少傾向にあり、また素材の生産量も同様に減少し、ここ数年百万立方メートルを下回っており、ピーク時の五一%にとどまっている状況にあります。 しかしながら、先人の熱意と努力で造成された人工林は、資源的に充実してきており、杉、ヒノキ林は間もなく伐期に達しようとしております。こうした状況の中で、活力ある森林を造成しつつその資源を有効に活用するため、県産材の需要の拡大を図ることが林政の重要な課題であろうと思います。したがいまして、より一層林業生産コストの低減や木材の安定供給等を図ることが必要であり、そのためには林業生産基盤の整備、木材産業の体質強化等を積極的に進めていくことが重要だと思います。 また、次の点が特に緊急な課題であろうと考えております。 その第一は、杉対策の強化であります。木材は、世界各地で生産されている国際商品として、国際経済の渦中にあるだけでなく、国内でも厳しい産地間競争にさらされております。幸い、ヒノキ材につきましては、東濃檜銘柄化として全国で好評を得ているところであります。さらに東濃檜採種園の整備、ヒノキ材を中心とした産直住宅の推進などが図られつつあります。私の生活しております地域も東濃檜の産地であり、流通、加工施設などの整備が進められております。しかしながら、広範に成林している杉材の利活用につきましては、これらの競争を乗り切り、需要を拡大するために新しい用途、技術の開発及び生産から流通、加工に至る一貫した体制の整備が必要かと存じます。 その第二は、岐阜県を名実とも木の国・山の国にふさわしい木材県として積極的に県内外にPRし、その名声を高め、県産材の需要を拡大していくことであろうと思います。 そこで、林政部長に次の二点についてお尋ねをします。 第一は、民有人工林面積の約三四%、同じく蓄積の五十%と豊富な資源を有しながら、その利用方法、産地化等が整っていないと思われる杉材対策について、今後どのように進めるのか、第二点は、県産材の需要拡大に向けたきめ細かいPR作戦、販売作戦が必要かと存じますが、どのような方策を考えておられるのかお伺いをいたします。 次に、国の公共投資拡大に伴う本県の対応についてお尋ねをします。 知事は、県民総参加による夢おこし県政の推進によって、日本一住みよいふるさと岐阜づくりを打ち出されており、大いに期待しているところであります。最近の新聞によれば、政府は、日米構造協議において公共投資十カ年計画を新たに策定し、その総額を明示することを約束し、八十年代の公共投資総額は二百六十兆円程度であったが、現行水準を大幅に拡充する対米約束を実行するには、今度策定される十カ年計画の投資総額は過去十年の三〇%ないし五〇%増にはなるとの見通しを立てております。一方、建設省においては、公共投資拡大の必要性を訴えるため、先ごろ、豊かさ倍増のための十大施策と題するパンフレットを作成しております。これによりますれば、道路の渋滞時間を十年後には半減させるといった新たな目標や新規施策を打ち出すなど、社会資本の整備のために最大限の努力を払っていることがうかがえるのであります。 今、各県はこぞって新しい施策を考え、豊かさの実感できる地域、特色を持つ地域づくりに邁進しているところであり、まさに地域間競争の時代に入っております。こうした中で、県民が知恵を出し合い、来るべき二十一世紀を目指すため、県民総参加による施策を進めようとしていることに深く敬意を払うものであります。今年は、夢おこし県政助走の年と位置づけておられますが、夢は実現していかなければ何の役にも立たないことは言うまでもありません。夢おこし県政の成否は、まず基盤となる道路、河川、公園、下水道など社会資本の整備にかかっていると言っても過言ではないと思っております。言いかえれば、基本的な施設の整備があってこそ初めて夢の実現が可能であると思うわけであります。また、社会資本の整備は、夢の実現につながることでもあると思うのであります。 一方本県は、中部圏において、中部圏内陸の中心的役割と結節点役割を果たしていくべきであるにもかかわらず、北と南が分断状態にあり、本県自身まだまだ整備が行き届いているとは言いがたく、基盤となる道路、河川など社会資本の整備を急がざるを得ない状況にあるのであります。そこで、本県の状況を考えるとき、国の公共投資拡大への努力は本県の社会資本の整備をするに当たって、まさに千載一遇の好機であると思うわけでありますが、本県はどのように対応していくおつもりなのか、お伺いするものであります。 次に、平成記念緑のふれ愛広場建設事業について、お尋ねします。 平成の時代は、東ヨーロッパにおける民主化、民族自立への大きなうねり、さらには東西世界の融和へ向けての始動など、歴史的な変革の中で幕をあけたところであります。平成記念緑のふれ愛広場は、その平成の時代の幕あけを記念する事業として構想され、その基本テーマは人と自然、人と人との共生であると承知しております。私たち人類は、大自然から限りない恩恵を受け、文明を築き、文化を育ててまいりました。しかし、一方では、都市化の進展や経済活動の高度化は、森林の破壊による植物生態系の破壊、砂漠化の進行、酸性雨の増大、オゾン層の破壊などを引き起こし、人類は、地球規模的な環境問題に直面しているところであります。 こうした中で、自然と人間とのかかわりを問い直し、人々の自然を愛し、畏敬してきた心を今によみがえらせ、その心の大切さを再認識することが自然と生命を共用する人間相互の尊重の心へとつながり、二十一世紀を平和で真に潤いのある豊かな時代とする礎になるものと考えます。その意味でも、本事業がテーマとする人と自然、人と人との共生については、大いに共鳴するものであり、緑のふれ愛広場構想に大きな期待を寄せているところであります。そこで、事業推進に関して、知事にお尋ねいたします。 まず、広場の規模と整備期間についてでありますが、一応のめどとしておおむね百ヘクタール、十年程度での完成と言われているようであります。しかし、先般、スペイン、フランスを訪問する機会を得、そこでも強く感じたところでありますが、百ヘクタールという規模では十分ではないのではないか、また、十年というのも急ぎ過ぎではないかということであります。限りない広がりの中で、たっぷりと時間をかけ、時代とともにつくり上げていくというような発想が必要ではなかろうかと思うのでありますがいかがでしょうか。 次に、用地問題についてでありますが、こうした事業で最大の課題は用地の手当であります。今言われている百ヘクタールという面積でも、地権者の方々は恐らく何百人になると思われます。県民の皆様方の協力の姿勢が何よりも肝要であることは申し上げるまでもありません。しかし、貴重な財産の提供を受ける事業者である県には、大きな責務が伴ってまいります。県として、用地手当についてどのように考えておられますか、お尋ねをします。 次に、基本計画づくりについてであります。 人と自然、人と人との共生を基本テーマに、これから基本計画づくりが行われるわけでありますが、ともすれば、この種の事業計画づくりは学者、学識経験者等いわゆる専門家ベースで進められがちであります。計画づくりに当たっては、行政が一方的に施設をつくり、県民に提供するというスタイルでなく、広場づくりの主体は県民であり、これを行政がお手伝いするというような発想に立って、現実に広場を利用する人々、二十一世紀を担う子供たちのアイデアや意見が反映されるような方策が講じられるべきであります。基本計画づくりをどのように進めようとしておられるのかお伺いをします。 次に、国際理解教育の推進についてお尋ねをします。 近年、国際化社会、国際化時代など国際化という言葉は極めて多く使われており、最近では聞かない日がないと言っても過言ではないと思います。この国際化は科学技術、特に交通、通信手段の著しい発展に伴って、人、物、情報の交流がますます活発化し、交流の分野も経済的な面のみならず、教育、文化、スポーツなど広い分野にわたり、世界の国々は相互依存関係を深めております。今や国際化は、地球的規模に拡大しており、日本はその中でも最も厳しい国際化の波に巻き込まれていると思われます。例えば、留学等の状況を見てみますと、昭和六十三年に留学、研修、技術修得の目的で海外へ出国した日本人は約八万四千人であり、対前年比四七%増と激増しています。また、我が国の大学等に学ぶ外国人留学生は、昭和六十三年五月一日現在で二万五千六百余人で、五年前の二倍以上となっております。 このような急激な国際化の進展に伴い、残念なことに経済問題を初めとして国際間の摩擦も増大してきております。この摩擦を解消するためには、各国が互いに相手国の歴史、文化、習慣等を学び、理解し合うことが最も重要であります。我が国が、その地位に相応した責任を果たしていくためには、我が国の国民一人ひとりが国際社会で主体的に生きていくための自覚や態度を持つことが必要であります。すなわち、国際人としての調和のとれた協調的資質を形成することが不可欠であります。 我が国の初等、中等教育は、その水準の高さにおいて国際的にも高く評価されております。例えば、IEA--国際教育達成度評価学会の行った国際数学教育調査結果では、参加国二十カ国中、日本は中学生の部では第一位であり、高校生の部では第二位でありました。その他の部門の結果もおおむね国際平均を上回っており、このことだけで我が国の学校教育全体の水準を論ずることはできないにいたしましても、評価してよいことであろうと思われます。 しかしながら、その一方で、我が国の学校教育は制度やその運営が硬直化し、指導方法も画一的であり、どちらかというと記憶力中心の詰め込み教育という傾向が強く、社会の変化に伴って多様化している児童生徒の実態に十分対応することができなくなっているという指摘もしばしばされております。これからの日本の社会は、今まで以上に変化することが予想される中にあって、二十一世紀を担うにふさわしい資質を備えた人材を育成していくためには、今後、特にみずから学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力や思考力、判断力、表現力などを備えた国際人を育成することが必要であると思います。この点において、私は、国際理解教育の一層の推進を図っていくべきであると思うのであります。 近代の日本の歴史を振り返ってみますと、私は、日本の国際化には三つの時代があったと思います。第一は、明治政府が外国文明を取り入れることに大きな力を注いだ時代であります。第二は、第二次世界大戦後における民主主義社会国家の形成を目標にして、政治、経済、文化を模索した時代であります。そして、第三は、まさに現在であり、日本人が日本人であることを通して、世界と調和を図り、世界に貢献していく国際化であります。 本県は、国際化に対応するために、昭和六十二年度から外国青年招致事業を実施し、招致人数も年々充実され、本年八月からは岐阜県全体として四十三名を迎えられると聞いております。生徒に生の英語を聞いたり、話したりする機会を与えることは、生徒自身の自己表現力を高めることになり、また異なる文化、社会、価値観に触れることにより、異なった考え、異なった生活観を持った人と協力、調和していける心の広さを学びとることができるものと考えます。 国際化された社会とは、成長してきた土壌が多様で文化的背景も異なる人々の集団であります。学校という社会においても、そこで行われる教育は、従来のような言葉も文化も同一であることを前提としたものではもはや十分ではなく、異なった背景を持った人たちをいかに理解できるようにするかを考えることが大切であります。国際理解教育を推進するため、県においては英語指導助手の招致などにより外国語教育の充実を図っておられますが、国際化に対応した教育のあり方についてどのような考えを持ち、また今後どのような方法により推進されるのか、具体的に御所見をお伺いしたいと思います。 次に、多くの県民注視でいよいよ幕あけをしようといたしております岐阜メモリアルセンターの運営についてお伺いをいたします。 多くの県民に夢と感動を与えたぎふ中部未来博覧会の会場は、現在、岐阜メモリアルセンターとして約三万人が収容できる陸上競技場、野球場を初めとして各種のスポーツ施設が着々と建設されており、来年春には全施設がオープンの運びになるとうかがっております。聞くところによりますと、この岐阜メモリアルセンターは、最新の設備により陸上競技場、野球場などのスポーツ施設が建設されるほか、未来博において好評を得た世界一の大陶壁、からくり時計、岡本太郎氏製作のモニュメントなど未来博の記念碑的な設備も多く残すとともに、陸上競技場、野球場には、暑い日差しや急な降雨を避けるための簡易屋根、お年寄りや障害者の方々の利便を図るためのエスカレーター等を設置するなど、各施設の随所に細かな配慮がされております。その他にも、本県を象徴する水と緑を表現する芸術的な散水方法、二十一世紀を担う青少年に夢と希望を与えるために、全施設の玄関や展示室等に本県にゆかりのある著名なスポーツ選手等の名前、記録、足型等を銅板に彫り込んで顕彰する方法などを検討しておられるやに聞いております。さらには、このメモリアルセンターにワールドライトスコープを設置し、昼間の利用だけでなく夜間の利用も図るなど、県民に親しまれる施設づくりのために努力されており、関係者各位に対して敬意を表するところであります。まさにこの岐阜メモリアルセンターは、スポーツ振興のみならず各種イベント等の殿堂であり、日本ばかりでなく世界にも誇れる施設であると言っても過言ではないと思います。二百万人県民は、一日も早い完成を待望しているところであります。 そこで、世界に誇る岐阜メモリアルセンターの全施設が平成三年春から供用が開始されるとうかがっておりますが、全施設竣工に伴い、当該センターの有効活用についてどのように考えておられるのか、御所見をお伺いします。 最後に、教員の資質向上についてお尋ねをいたします。 よく、教育は人なりと言われますように、教育の成果は教員の資質や能力によるところが大きく、すぐれた人材を教員に採用し、さらに教員になった後も、絶えず資質、能力の向上に努めることが大切であります。私は、教員に必要な資質、能力としては、教科等に関する専門的な知識はもちろんでありますが、さらに教育者としての使命感、児童生徒に対する教育的愛情、広く豊かな教養と人間性など幅広いものが要求されているのではないかと思うのであります。 岐阜県の教育界においては、数年前に相次いで起きた教員による不祥事件の反省の上に立って、県民からの信頼を受けるに足る活力と規律ある開かれた学校教育の確立を目指して懸命な努力を積み重ねてこられていることは、私ども県民の広く知るところであります。しかしながら、最近の新聞紙上において、県民の学校教育に対する信頼を損なうような不祥事が幾つか報道されたところであります。 例えば、本年五月九日、各務原市内の中学校において、丸刈りを笑われた教員が生徒を殴った事件が新聞において報道されました。また、今月十六日においては、多治見市内の中学校で息子が体罰を受けたことを理由に父親が校長から五十万円恐喝した事件が報道され、大変衝撃を受けたところであります。このように、教員が生徒に体罰を加える、また教員が親から恐喝されるといった状況は、真摯に教育に取り組んでいる多くの教員を裏切ることであり、大変残念に思うところであります。 私は、このような不祥事件が起こる原因としては、教員の資質能力の問題、学校の管理運営のあり方の問題などいろいろな原因があると思いますが、教育長はどのように考えておられるのか、今後の再発防止とあわせての御所見をお伺いをいたしまして、代表質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。   (拍手) ○議長(河村成勝君) 知事 梶原 拓君。    〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) ただいま、県政各般にわたりまして御提案、御指摘を賜りました。まず職員の問題につきましてお答え申し上げます。 県政の安定的発展のためには、優秀でしかも意欲的な人材を確保していくことが人事政策の最重要課題であることは議員御指摘のとおりでございます。そのためには、適切な勤務条件の確保や福利更生施設の充実が肝要でございますが、同時に、増大する業務について積極的ないわゆるスクラップアンドビルドというようなことを行いまして、事務の合理化あるいは適正化を図っていく必要があると存じます。 勤務条件に関しましては、平成元年五月から、第二、第四土曜日の閉庁を実施しているところでございますが、完全週休二日制の導入についても、県民のサービスの低下につながらないよう配慮しながら、国や他県の状況を十分に踏まえて検討してまいりたいと考えております。時間外勤務につきましては、その現状を把握し、問題点の解決策を立てましてその短縮に努めておりまして、逐次その成果を上げているところでございます。 職員の福利更生施設につきましては、従来からスポーツ施設の整備あるいは照明、換気、更衣室の改善等きめ細かく執務環境の整備を図ってきているところでございますが、特に若い職員が入居する職員宿舎については、今後特に重点を置いて改善をしてまいりたいと考えております。 職員の研修につきましても、時代の変化に迅速に対処し、的確に処理できる能力を養い、また公務員としての倫理、責任感の涵養に努めることを目標に、常にレベルアップを図ってきたところでございます。なお、新しい視点を切り開くために、本年度におきましては、女性の講師による地域活性化講座を実施しているところでございます。 職員の採用に当たりまして、全国から優秀な人材を確保するために、夢のある岐阜県という明るいイメージを全国的に定着させるため、いわゆるCI戦略を各種広報媒体を通じて展開してまいりたいと考えております。 次に、ゴルフ場の問題でございます。この問題につきましては、御指摘のとおり極めて重要であると認識をいたしております。そのため、これからもさらに適正な指導を行ってまいりたいと考えております。 そこでまずゴルフ場の環境管理に関する指導につきましては、御提案のガイドラインのように安全な環境の保全、そして快適な環境の形成、さらに地域社会への貢献という三つの柱を基本方針として対処することとしたいと考えております。 最初の安全な環境の保全につきましては、まず農薬の適正使用に関する問題でございますが、環境への影響の点からは、農薬は使用しないということがもちろん望ましいわけでございますので、その方向に向けての技術開発等対策の研究を続けることといたしますが、当面、農薬の種類につきまして、できる限り病虫害への影響が少ないものを使用するということといたしますと同時に、使用量につきましても半減、半分にするということを目標に抑制することといたしたいと考えております。そして、半減からさらに三分の一から四分の一というように段階的に縮小を図りまして、現実的に実効性のある指導を図ってまいりたいと考えております。 次いで、事業者に対しましては、ゴルフ場からの排出水の監視の強化や定期及び随時の調整池等の防災施設の点検、ゴルフ場内の森林の機能の維持増進を図るよう指導してまいります。また、快適な環境の形成につきましては、事業者に対して、ゴルフ場内において貴重な特性や山野草等の保護育成、実のなる樹木の植栽等による野鳥、昆虫、魚類の生息環境づくり等を図るよう指導してまいりたいと考えております。 さらに、三つ目の地域社会への貢献につきましては、地域の状況に応じながら事業者に対しゴルフ場施設の一般利用、災害時に使用可能な臨時ヘリポートの設置等を指導してまいりたいと考えております。 以上のような考え方をもとにいたしまして、当面、ゴルフ場の環境管理に関する指導要綱の制定、農薬防除方針の策定、市町村と事業者との間の環境管理協定の締結指導、ゴルフ場環境管理指導連絡会議の設置、それから土地開発指導要綱等の、特にゴルフ場に関しての運用要領の制定というような措置を早急に講じますように検討をただいま進めております。 ゴルフ場の新規立地につきましては、特にゴルフ場が集中的に立地されている地域を重点に抑制をしようとして慎重に検討するという基本方針に従い、第一義的には、地元市町村長の意見を尊重しつつ、当該地域における土地利用計画との整合性、自然環境等への影響、快適環境の形成可能性、地域社会との調和等について十分審査することとしたいと考えております。 以上、申し上げましたように、ゴルフ場に関する諸問題は大変重要な問題でございます。今後とも市町村と連携をとりながら、適切に指導してまいりたいと考えております。 次に、東濃西部研究学園都市構想についてのお尋ねでございますが、この構想は、二十一世紀に向かって本県が大きく飛躍するための県政の最重要課題でございまして、従来から重点的に取り組んでおるところでございます。おかげさまで、昨年来、核融合科学研究所、超高温材料研究センター、日本無重量総合研究所、これを我々は三点セットと、こう言っておりますが、この施設が三つとも相次いで発足したところでございまして、全国的にも各界から大変注目されてきているところでございます。これらの施設におきましては、超高温、超電導、超真空、超高圧、無重量といった、通常地球上にはない状況をつくり出すという、学問的には極限環境というそうでございますが、そういう分野における研究機能の集積が図れることになりました。これらの施設が完成いたしますと、世界でも例のない極限環境に関する先端的な一大研究開発拠点が形成されることになるわけでございまして、これによりまして、宇宙開発とかあるいは環境対策とか、いろんな面で県内の産業はもとより、我が国産業の発展に非常に大きな貢献ができるものと考えております。今後は、極限環境に関する研究機関を中心として誘致を図りますとともに、地元の皆さまとも十分連携を取りながら、研究学園都市構想をさらに推進してまいりたいと考えております。 中部新国際空港につきましてのお尋ねでございますが、国際化、情報化が進展する中で、我が国の中央に位置する中部新国際空港は、日本の玄関口としてあるいは日本の中央空港として、本県を初めとする中部地域はもとより、我が国全体の発展にとって極めて重要な施設でございます。新空港に関しまして、本県にとって当面の最重要課題は空港への連絡、アクセスの整備ということでございます。この問題につきましては、県内各地と新空港を結ぶ高速交通体系の整備が必要不可欠でございます。例えば国道十九号、二十二号、四十一号のいわゆる二階建て道路の整備や、東海北陸自動車道の名古屋港までの延長、それから先、空港と結ぶ海底トンネル、橋梁等の実現につきまして、今後とも関係機関に対し強力に働きかけてまいりたいと考えております。 中部新国際空港の実現に当たりましては、まず平成三年度から始まる国の第六次空港整備五箇年計画に明確に組み込む必要がございます。この計画は、今後航空審議会の中間答申を経まして平成二年度末にも閣議了解がなされ、平成三年度後半には閣議決定が行われるとうかがっておりますので、中部新国際空港が本計画に明確に盛り込まれますように、関係省庁に対し今後とも強く要望をいたしてまいりたいというふうに存じます。いずれにいたしましても、今後とも三県一市及び地元経済団体等との密接な連携協調体制のもとに、中部新国際空港が二十一世紀初頭には確実に開港できるよう努力してまいりたいと存じます。 次に、国の公共投資拡大策に伴う県の対応についてでございますが、議員御指摘のとおり政府は二十一世紀を展望した県土づくりを考えるとき、本県にとって極めて重要な時期に公共投資拡大の方針を打ち出してきたわけでございまして、本県はちょうど二十一世紀に向かって大きく飛躍する時期でございまして、その土台づくりが肝要な時期でございまして、いわば追い風が吹いてきたなというような感じがいたしております。豊かさを実感できる県土づくりがこれからの岐阜県にとって御指摘のように最大の目標でございます。その大前提といたしまして交通網の整備ということがございまして、昨年夢投票をお願いいたしましたときも、中年の男性を中心にいたしまして交通網の整備というのが第一位を占めているわけでございます。それだけ大きなニーズがあるわけでございますが、これはむしろ夢というよりも当面緊急を要する現実的な課題でなかろうかと、かように思います。また、公園、下水道などの整備による快適な環境を創造していくためにも、社会資本の整備に努力していく必要があろうかと考えております。 国の公共投資拡大策によりまして、今、本県において実施されている大規模プロジェクトが予定を相当早めて促進されるものと期待をいたしております。こういう大規模プロジェクトに関連する諸事業、例えば高速道路への取りつけ道路といったようなものにつきましては、極力早く整備するように努力したいと存じます。また、快適な環境の創造のため下水道事業など市町村が熱意を持って行なおうとしている事業に対しても、積極的に支援をしてまいりたいと思います。こうした事業を円滑に推進するため、今後とも各省庁に対しまして強力に、かつ積極的に働きをしてまいりたいと存じます。 また、公共事業の拡大に当たって常に隘路、ネックになりますのが土地、用地の取得でございます。用地取得に対する体制を整備いたしまして、大変事業が円滑に進んでいる市町村もございます。こういうような御協力を今後ともお願いをしたいというふうに思います。これから日米構造協議を受けた国の動向を迅速、かつ的確に把握しながら、国の方針に乗りおくれることのないよう適切に対処してまいりたいと考えております。 最後に、平成記念緑のふれ愛広場についてでございます。規模が百ヘクタールでは小さいのではないか、目先の十年程度を考えているということは考え方が小さいのではないかと、こういうことでございます。私も全く同感でございまして、可能な限り広がりのある構想にしたいということで地元にもそういうことをお願いをしたしておるところでございます。 今年の三月から四月にかけましてスペインにも行かしていただいて、バルセロナのガウディの聖家族教会も見てまいりました。二百年というような先を考えての建築でございまして、やはり息の長い、本当に価値の高い文化財産をつくるんだというつもりでこれから地域づくりに取り組む必要があるとひしひしと感じた次第でございます。それから、南フランスのモンペリエという都市にも参りました。そのときに、大きなコンベンションホールをつくっておいででございました。まだメーンのホールは完成しておりませんが、できたところからもう使っておるというような、いわゆるステージコンストラクションと言いますか、そういう段階的な建設ということもやらなければいけないというふうに思ったわけでございます。 いずれにいたしましても用地がまとまりませんと計画が進みませんので、県民の御協力、特に地元の方の御協力をお願いしたいというふうに思います。特に後世に残る大きな文化財をつくるんだという参加意識を持って御協力いただくようにしていく必要があるというふうに考えております。そして、御指摘のように計画づくりにつきましては、やはりみんなが参加していく、いわゆる夢育てという形で県民参加を求めていく必要があろうというふうに考えております。この物をつくる、その途中のプロセス、過程こそ大切だというふうに思っております。一昨年の未来博におきましては、県民総参加の素人の発想で専門家任せのほかの博覧会よりさらに大きな成功をおさめたわけでございまして、こうした教訓を生かしまして、これからの計画づくりを進めてまいりたいと考えておるわけでございます。よろしく御協力をお願いしたいと存じております。 ○議長(河村成勝君) 総務部長 永倉八郎君。    〔総務部長 永倉八郎君登壇〕 ◎総務部長(永倉八郎君) 平成元年度の県税決算見込みにつきましてお答えをいたします。 まず県税の中で大きなウエートを占めます法人事業税につきましては、前年度に比べ一二二・三%と高い伸びとなっているところであります。これは、三年余りの長期にわたる景気拡大基調の中、前年度に引き続き機械・金属業が大幅な伸びを示したこと、また金融業、建設業などの業種につきましても順調な伸びを示し、製造業、非製造業を問わず全般的に順調な伸びを示したことによるものであります。また、自動車取得税につきましては、課税台数の伸びにより前年度に比べ一一二・九%、さらに軽油引取税におきましては、元年十月からの制度改正に伴う増収等から、前年度に比べ一二七・九%とそれぞれ高い伸びを示しております。その他の税目につきましては、個人県民税が税率構造の改正により前年度に比べ九三・八%と若干下回ったほかはほぼ全般にわたり順調に推移し、県税総計としましては、前年度決算比一一一・二%と全国の平均伸び率を五ポイント程度上回る伸び率を示し、最終予算額二千八十五億円の一・七%強に当たる三十六億円余りの増収の見込みであります。 ○議長(河村成勝君) 民生部長 桑田宜典君。    〔民生部長 桑田宜典君登壇〕 ◎民生部長(桑田宜典君) 地域におきますボランティア活動の推進につきまして、お答えをいたします。 長寿社会を迎えます中で、充実した福祉社会づくりを行うためには、地域住民の皆様方の御理解と御支援が不可欠であります。特にボランティア活動につきましては、地域福祉を支える大きな柱となっておりますし、その活動は今後さらに重要となってまいるものと考えております。御質問の岐阜県ボランティア活動振興基金につきましては、昭和六十二年に二億円を目標に設置されたものでありまして、本年五月末現在で一億一千四百万円余となっております。この目標達成のため、県民の皆様の御理解を得て今後さらに鋭意努力してまいりますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。 現在、県が実施しておりますボランティアに関係します事業につきましては、子供のころから福祉の心を養うため、小、中、高校に対するボランティア協力校指定事業、ボランティアの町づくり事業など各種のボランティア活動の振興施策を推進しております。また、本年度からボランティアと要援護者との調整を図るためのボランティアコーディネーター設置事業を実施しているところであります。今後とも、地域福祉の推進に欠かすことのできないボランティア活動につきましては、県民の皆様からいただきました夢も生かしながら積極的にその環境づくり、条件づくりに取り組んでまいる所存でありますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(河村成勝君) 衛生環境部長 井口恒男君。    〔衛生環境部長 井口恒男君登壇〕
    ◎衛生環境部長(井口恒男君) 精神障害者の社会復帰対策につきまして、お答えいたします。 県地方精神保健審議会から昨年十一月答申をいただきました内容は、社会復帰に関する施策・施設の充実など十八項目にわたっております。本県の新しい精神保健対策を推進するに当たっては、答申でも述べられているとおり精神障害者が保健福祉サービスを必要とする障害者であるという観点に立ちまして、地域ケア対策を中心に今後県の長期構想の中で検討してまいりたいと考えております。マンパワーの充実につきましては、現在保健婦に精神保健相談員の資格認定講習会を受講させ、資格を取得させておるところでございますが、保健婦業務がふくそうする中で、精神保健に関する県民ニーズに十分な対応を図るために、今後、保健所業務のあり方を含め、相談員の専任化等も検討してまいりたいと考えております。 最後に、社会復帰施設の拡充につきましては、昨年度から県単独事業としまして、精神障害者小規模作業所補助金制度を創設したところでございます。現在、県内には福祉ホーム一カ所、小規模作業所が六カ所設置されておりますが、今後さらに保健医療機関等関係の方とも御相談しながら、これらの整備を推進してまいりたいと考えております。 なお、精神障害者の社会復帰に当たりまして最も大切なことは、何よりも温かい理解でありまして、県民の皆様方の御協力を切にお願いする次第でございます。 ○議長(河村成勝君) 商工労働部長 川添正幸君。    〔商工労働部長 川添正幸君登壇〕 ◎商工労働部長(川添正幸君) 大規模小売店舗の出店調整についてお答えいたします。 いわゆる大型店につきましては、店舗面積が五百平方メートルを超えるものについては大規模小売店舗法で、また、店舗面積が三百平方メートル以上五百平方メートル以下のものにつきましては、県の独自規制である岐阜県中規模小売店舗出店対策要綱でそれぞれ出店規制をしているところでございます。さきの日米構造協議の中間報告の結果、これらの規制について緩和措置の方針が示され、すでにこの五月二十四日付で通達が出され、五月三十日をもって施行されております。その具体的内容は、従来特に定めのなかった出店調整処理期間を一年半以内とするほか、消費者のライフスタイルの変化も考慮し、閉店時刻の届け出不要基準を午後六時から午後七時に、休業日数につきましても月四日以上を年間四十四日以上とする等、これまでの調整手続を改めるものとなっております。県といたしましては、県内中小小売商業者の実態等を踏まえながら、今回の緩和措置が中小小売商業者に与える影響も十分に配慮し、さらに議員御指摘の国際化の進展や経済社会の状況変化、消費者の利益にも留意し、通達の趣旨にのっとって運用を適正化して進めてまいりたいというふうに考えております。 なお、中小小売商業者に対する振興施策につきましては、目下国において鋭意検討中であり、県といたしましても国の施策を踏まえて、積極的に取り組んでいく所存でございます。 また、お尋ねの県の要綱についてでございますが、通達の趣旨、運用の実態、さらに、中部通産局を初め関係機関、団体の御意見等も踏まえ、円滑かつ適正な調整を行うとの基本理念にのっとり、大店法の調整手続とのバランスを失わないよう配慮しながら運用してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。 ○議長(河村成勝君) 農政部長 名知和男君。    〔農政部長 名知和男君登壇〕 ◎農政部長(名知和男君) 肉用牛及び酪農の振興についてお答えします。 まず御質問第一点、肉用牛振興についてでございますが、牛肉自由化を来春に控え、県内生産者の経営を安定的に発展させるためには、議員御指摘のとおり銘柄「飛騨牛」の生産強化を図ることが最も重要であると考えております。飛騨牛の生産の基礎となります種雄牛の確保につきましては、昭和六十三年度、資質系の照博号を導入したところでありますが、体積の改良に活用をしてまいりました茂岩田号が老齢となりましたので、本年度、これにかわり優良な体積系種雄牛を導入することとしており、今後も種雄牛群の一層の強化を図り、飛騨牛の産肉性の向上に努めてまいりたいと考えております。 次に、受精卵移植技術の活用につきましては、本県では、受精卵分割技術を応用した双子生産が昭和六十二年度に成功しており、さらに効率的な改良増殖や低コスト生産を図るため、今後とも試験研究を積極的に推進してまいる所存でございます。 次に、飛騨牧場の活用についてお答えします。 飛騨牛の振興を図るためには、優良な繁殖用雌牛の確保が重要でありますので、議員御指摘のとおり飛騨牧場を優良な繁殖用雌牛の供給基地として位置づけ、その役割が十分果たせるよう優良牛群の育成等体制整備を進めてまいりたいと考えております。また、飛騨牛をブランド品として全国レベルで流通させるためには、肉質の向上はもとより、安定した供給が必要でありますので、飛騨牛系統固定推進事業や優良雌牛緊急確保対策事業等を強力に推進し、県内の優良な繁殖雌牛群の整備充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、輸入牛肉と競合が予想される乳用種の肥育につきましては、低コスト生産を図るため、飼料生産基盤の拡大による飼料自給率の向上を図るとともに、肉用牛経済肥育定着化事業による規模拡大や肥育期間の短縮等を強力に指導してまいりたいと考えております。また、肉質的に乳用種よりはるかに和牛に近い乳用種と和牛の交雑種の生産を推進し、輸入牛肉に競り勝つ良質牛肉の供給を図ってまいる所存でございます。 次に、御質問第二点、酪農振興のうち、酪農ヘルパー対策についてでありますが、現在、県内でのヘルパー組織が定着しておりますのは、酪農主産地である東濃、飛騨地域など県内酪農家の約三分の一程度にしかすぎず、いずれの組織もヘルパー要員につきましては身分保証や高い技術力を要することから、確保が困難となっております。したがいまして、県といたしましては、本年度新規事業として国が創設いたしました酪農ヘルパー円滑化対策事業の活用につきまして現在検討を行っておりますので、御理解をお願いしたいと思います。 次に、乳質の向上対策についてでございますが、本年度北米から乳量と乳成分ともに高能率な初妊牛三頭を畜産試験場に導入し、受精卵移植技術を応用した改良研究を行うこととしております。また、実用化を効率的に行うため、隣接する東濃牧場を活用して実証研究を行い、県内乳用牛の資質向上を図ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、乳用牛及び酪農経営の安定を図るためには、自給飼料の確保が極めて重要でありますので、公社営畜産基地建設事業、農業公社牧場設置事業などにより飼料基盤等生産条件の整備に努め、土地基盤に立脚した経営の確立を図ってまいる所存でございますので、よろしくお願いをいたします。 ○議長(河村成勝君) 林政部長 伊藤邦昭君。    〔林政部長 伊藤邦昭君登壇〕 ◎林政部長(伊藤邦昭君) 木材需要拡大についてお答えいたします。 御質問第一点目の杉対策でございますが、議員御指摘のとおり本県の豊富な森林資源を有効に活用し、県産材の需要を拡大するためには、ヒノキは言うまでもなく広範に成林しております杉の有効活用を推進することが重要なことであります。御承知のように杉には多様な品種があり、東濃檜とは異なった面がありますが、本県の杉についても、新しい用途と技術の開発を進めつつ、売り込みのための新しいブランド名を設定し、需要拡大に努める必要があると考えております。このため、県におきましては、県内産杉の材質特性を究明し、建築用材への利用拡大を図るための県産杉材の利用拡大に関する研究等を林業センターにおいて実施しているところであります。また、国におきましても、防火ドア、耐力壁パネル等新規利用製品の開発や薬剤注入、染色技術など新しい利用技術の開発に着手しております。さらに、杉の付加価値を高めるため、大径材生産を含めた施業体系の確立、また葉枯らし剤の生産や流通・加工の低コスト化、システム化等の体制の整備を図り、産地形成へ向けての総合的な検討を進めてまいりたいと存じます。 次に、第二点目の県産材需要拡大に向けたPR作戦、販売作戦につきましては、現在、県で日本一桧王国みの広報促進事業により、ヒノキの生産から加工、販売に至る工程を紹介したリーフレットを作成し、幅広いPRを展開することとしております。また、県内に建設いたしました産直住宅の施主の御協力を得てPRを行う産直住宅販売促進事業や、名古屋市において産直住宅をPRする産直住宅県外フェア開催事業等、県外へ向けての販売作戦、PR作戦を実施しているところであります。県産材の需要拡大の成否は、県内外の皆様に信頼ある木の国王国岐阜のイメージをより一層抱いていただけるようなPR作戦の展開が大切であると存じますので、今後ともさらに努力してまいる所存であります。 ○議長(河村成勝君) 教育長 篠田幸雄君。    〔教育長 篠田幸雄君登壇〕 ◎教育長(篠田幸雄君) 国際理解教育の推進についてお答えいたします。 我が国の国際化は、今日避けて通れない課題であるばかりでなく、むしろ今後我が国の進むべき方向として積極的に受けとらねばならないと考えております。このような国際化に対応した教育のあり方として、特に重視すべき点としまして、第一に、世界の中の日本人として国際的に信頼される人物を育てていくことであり、これはよき日本人の育成につながるものと考えております。そのためには、自国の文化や歴史、考え方についての十分な理解を持たせるとともに、国際人としてのよきマナーや人を思いやる心を身につけさせることが大切であります。 第二に、外国人と交流する機会を積極的に設け、国際的視野を広め、互いの立場について理解を深め、異なる文化、社会、価値観などを尊重し合う態度を育成することが必要であります。 第三に、そのための聞くこと、話すことを重視した外国語教育の改善充実が必要であります。ややもすると、従来の外国語教育が、書くこと、読むことに偏重しているとの批判がございますが、国際化の急速な進展に対応するためには、コミュニケーション能力の育成を主とした外国語教育が必要であります。 県教育委員会といたしましては、このような考え方を踏まえまして、従来から英語指導助手の招致、高校生国際交流ジャンボリーの実施、国際化に対応したコースの新設、教職員の海外研修の充実等積極的に対応してまいったところでございます。また、各学校におきましては、外国語教育の改善充実、姉妹校提携や交換留学生受け入れの促進、各市町村で実施されます国際交流事業への積極的参加等、国際理解教育の推進に努めております。 さらに、平成二年度には、従来の農業高校生ブラジル実習派遣に加えて新たに高校生を東南アジア諸国へ派遣したり、アメリカから高校生を一年間招致するなど、外国での体験を積んだり、外国の人たちと交わる機会を設け、国際理解教育に積極的に取り組んでいきたいと考えております。平成元年三月に告示されました新しい学習指導要領の一つに、文化と伝統の尊重と国際理解の推進があります。この趣旨を十分に踏まえまして、今後とも日本人としてのアイデンティティーを大切にした、足元をしっかりと見据えた国際理解教育を推進したいと考えております。 次に、岐阜メモリアルセンターの活用についてお答えいたします。 平成元年四月開館以来、中国江西省曲技団、89ミラノ・プレタポルテコレクション、世界男子バレーボール選手権 チャレンジカップ90等国際的、全国的なイベントの誘致開催を初め、スポーツ医科学事業、スポーツ教室等の日常的事業、さらにはスポーツ情報サービス事業等を実施し、効率的、効果的な活用に努めてきたところでございます。明年四月、全施設オープン後も、昭和六十三年十月の岐阜総合スポーツセンター運営協議会の提言の趣旨を踏まえるとともに、長良川と金華山を背景とした景観と都心部にある立地条件のよさを生かし、スポーツの殿堂としてばかりでなく、広く文化、産業等のコンベンション施設として多目的に活用し、県勢活性化の拠点となるべくその有効活用に努める所存であります。なお、開場記念イベント及び各施設のビッグイベントの誘致開催に向けて鋭意検討中でありますので、御理解を賜りますようお願いします。 最後に、教員の資質向上についてお答えします。 県内の各学校においては、昭和六十二年二月の学校の管理運営のあり方に関する緊急検討会議からの提言を受けて、活力ある学校、規律ある学校、開かれた学校を目指し、県民の信頼を得るよう全教職員一体となって努力してきたところです。しかし、今回一部の教職員による体罰事件が起きましたことはまことに残念であり、申しわけないことと思っております。体罰の根絶につきましては、従来から教育長会、校長会、教頭会等あらゆる機会を通じて指導の徹底を図っているところでありますが、さらに教職員一人ひとりの意識が高まるよう本年五月二十二日付で体罰の根絶についての通知を出し、各学校において体罰禁止の趣旨や適正な生徒指導のあり方について緊急に全教職員の共通理解を深める機会を持つようお願いしたところであります。なお、校長が親からの恐喝に対して五十万円を支払ったということは、そうせざるを得ないような特異な状況下にあったものと聞いておりますが、結果的に県民の信頼を損なうに至ったことは残念に思っております。今後とも体罰の根絶について指導の徹底を図るとともに、学校が家庭や地域社会との間で相互に信頼し、協力し合う関係を確立し、地域に開かれたほほ笑みのある、明るい学校を目指して努力をする所存でありますので、御理解を賜りたいと存じます。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十一分休憩           …………………………………………………… △午後一時七分再開 ○副議長(古川利雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。          …………………………………………………… ○副議長(古川利雄君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長したいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(古川利雄君) 御異議がないものと認めます。よって、本日の会議時間をあらかじめ延長することに決定いたしました。          …………………………………………………… ○副議長(古川利雄君) 引き続き一般質問並びに議案の質疑を行います。十二番 山田 桂君。    〔十二番 山田 桂君登壇〕(拍手) ◆十二番(山田桂君) 社会党議員団を代表いたしまして、一般質問をさせていただきます。 第一、ゴルフ場をめぐる政策について、知事及び担当部長にお尋ねをいたしたいと思います。 今日、新聞紙は、連日にわたりまして、ゴルフ場と環境、そして付近住民の反対運動、自治体をめぐる規制の動きなどを報道しておりまして、まさに最たる社会問題となっていると存じます。本定例会でも県下各地からの反対請願が七件も提出をされておりまして、県民はゴルフ場によって生活環境が破壊されることに厳しく抗議をしていると思います。私ども日本社会党岐阜県本部は、去る六月二日、知事に質問状を提出、この問題での県の政策と行政対応が県下の実態に十分こたえていないことを指摘いたしました。以下、その申し入れ書に沿いまして、政策の確立を求めお尋ねをいたしたいと思います。本日の質疑を通じましても、県が農薬問題などを中心にいたしまして新要綱の作成を急いでいること、それらは、モデルを示して起業者の自律あるいは管理体制の努力などを慫慂しようとするものとされております。 そこで、質問であります。まず、土地利用基本計画としての問題点についてお尋ねをいたします。 今日、岐阜県下には既にオープンしたもの五十九カ所六千六百二十九ヘクタール、工事中のもの十五、二千四十七ヘクタール、計画中のもの三十九、五千三百五十四ヘクタール、合計で一万四千三十一ヘクタールのゴルフ場がありまして、全国屈指の密集地であります。全国で第六位とかうかがっております。建設ラッシュがさらに続いておりまして、需給バランスよりも開発利益をめぐって資本の動きが活発でございます。今日既に県土総面積対比は一・三二%に達しました。その分布は人口集積と比例をいたしておりまして、飛騨では〇・一六%なんですが、美濃では二・〇八%、特に東濃地方でその集積が大きく、まさに銀座をなしていると言っていいと思います。(資料を示す)この図面がそうなんですけれども、黒い太い線が、一番下のが土岐川です。真ん中のが木曽川、そしてここに短くございますのが関・加茂方面の津保川です。このあたりの密集状況はこれによって一覧できると思います。特に著しい例を拾ってみましょう。加茂郡富加町でございますが、四つのゴルフ場で四百四十二ヘクタール、行政面積との対比が二七・七%であります。山林面積との対比は五五・七%になります。恐らく日本一の集中度であろうと考えます。瑞浪市の場合は一市で十三カ所千四百九十六ヘクタール、可児郡御嵩町の場合は七カ所で九百四十八ヘクタール、行政面積対比が一六・八、森林対比が二五・四であります。山県郡高富町の場合で、それはおのおの一五・五%と二四・九%となっております。これら密集地では当然に河川の渇水や、逆に洪水の危険、農薬による環境汚染、そして土地利用計画の将来展望や産業構造の問題など、さらに、それを超えてまさに人間の生きる条件にまで迫った問題となってきていると言うべきであろうと思います。 そこで、質問一、国土利用計画法第十条ですが、地方公共団体は、「公害の防止、自然環境及び農林地の保全、歴史的風土の保存、治山、治水等に配慮しつつ、土地利用の規制に関する措置を講ずるものとする」と定めておりまして、府県及び市町村が土地利用基本計画を定めることとなっております。そこで、これら密集ゴルフ場がこの国土法の規定をクリアして県知事によって今まで認可をされてまいりました。私たちにとりましては大きな疑問の第一であります。集積の弊害を考えていらっしゃるのかどうか、まず説明をしてほしいと思います。 第二、前述富加町は、行政面積の四分の一以上、森林面積の二分の一以上のゴルフ場が立地しようとしておりまして、ここは例外的に土地利用市町村計画を持っておりません。町長は、ゴルフ場は緑の保全であり、工場や住宅よりもすぐれていると、国土法手続に際して上申をしているようであります。恐れ入ったものでございまして、環境条件や森林の保水力、あるいは農林業とのかかわり、産業構造など町民の生活条件の一切を無視した哲学であると言わざるを得ません。ここでは、現在、工事中が二カ所、都計法の開発協議中が一カ所、国土法協議中が一カ所あります。これら協議中のものに対してはこれを許可してはならないと私は考えます。一体人間はここではどんな姿で生きていったらいいのかと問いたいと思うんです。県が責任を持ってこの無秩序な開発を防止すべきであると考えるのでございますが、いかがでございましょうか。 三、そこで、総じて岐阜県でこれ以上ゴルフ場をつくっていいものであろうかという疑問であります。 既に美濃では二%を超えました。県土面積あるいはブロックごとに一定比率を示して開発を抑制すべきではないかと考え、その比率についてお尋ねをしたいと思います。さらに、市町村ごとの、あるいは推計ごとの、あるいは森林面積との対比での抑制比率を示さなければいけないと思います。要すれば、集積の被害をつくってはならないと問うのであります。 次に、災害との関連についてお尋ねをいたします。 ゴルフ場が森林の保水力を低下させ、一面では河川の渇水を、一面では洪水を引き起こす危険が大きくなります。それは従来の公共河川計画を大きく変動させるものでございます。岐阜県土地開発事業審査基準によりますと、森林の保水力を〇・三としておりますが、ゴルフ場の場合はその保水力が〇・一、約三分の一に低下するとして、調整池などの計算がなされておりまして、公共河川の流量や河道容量への影響はないものとされているはずであります。しかし、降雨の時間だとか量あるいは集積などによりましてこれが確実に算定できないことは言うまでもありません。ゴルフ場はちょうど砂を詰めた植木鉢に水を注ぐような構造でございます。三十年確率の雨量に対応しているというこの開発基準によって今何が生じているかを検証してみたいと思うんです。 私の手元に多治見市土岐川沿いの虎渓山永保寺の昨年の九・二〇災害の写真があるんですけれども、土岐川の濁流が名勝永保寺に突入をいたしまして国宝の建造物や名勝の庭園が激甚な被害を受けております。この古刹は、一三一四年夢窓国師によって創建をされて今日七百年であります。創建当時既に安全な土地を求めたであろうことを考えれば、今回の土岐川の洪水は千年に一回の確率に等しいものと言わざるを得ません。ところで、県の資料によりますと、土岐川流域での雨量は、二十四時間最大値で、山岡町で百七十八ミリ、土岐市で百六十一ミリ、瑞浪市百五十九ミリ、時間最大雨量は、同じく五十四ミリ、四十一ミリ、三十七ミリでございまして、前述県の指導要綱の三十年確率あるいは時間最大雨量七十九ミリをすべての観測地点で下回っておりました。県や多治見市の河川当局に聞いてみたんですが、豪雨の水準はさほどのものではありませんでしたという答え。それなのに古老が見たこともない大洪水が発生し、夢窓国師も驚く暴れ土岐川を出現させたのでございます。県の報告書によりますと、土岐市を中心に被害は二百二十七億円に達したとあります。現地の新聞記事は、流域での無数のゴルフ場開発がもたらした大災害であり、住民は開発基準に怒りの声を挙げていると報じております。私は、気象台や市町村の雨量計の数値を調査の結果、開発の集積と無関係でないと考えるに至りました。そして、開発基準の見直しの必要性をここに指摘するものであります。今後の災害対策上の政策として所見を問うものでございます。 二、このことは逆に河川の渇水を意味いたします。美しい自然や河川の生態系を守るためには、当然維持流量が守られなければなりません。そういうことが人間の居住条件を決めているのであると思います。この保水力低下係数と集中分布がこれらの環境を破壊したと言わざるを得ませんが、この点、国土法や都市計画法の許可条件として見直す必要が根本的にあるのではないでしょうか。具体的には流域での総量規制がここでも必要と考えるのでございますが、いかがですか。 三、関連して林政部長にお尋ねをいたします。 岐阜県で過去にゴルフ場のために行った保安林解除の総面積は何ヘクタールか、保安林について基本的なスタンスを伺いたいと思うのであります。 大きい三つ目、農薬と環境について伺います。 ゴルフ場の農薬と環境汚染の関係は大きな社会問題でありますが、従前の制度は、例えば岐阜県ゴルフ場農薬適正使用指導要綱に見られますように、それは、企業の自主管理、自主検査と報告にとどまっておりまして、何ら規制の効力を持っておりません。現行制度のことです。つまり、行政の対応が不十分、ぬるいと言わざるを得ません。これに対して、高まる世論を背景に、去る五月二十三日、環境庁が暫定指導指針を通達し、岐阜県でも新しい要綱を年末までに策定するということが発表されております。そこで、その内容にも絡めまして具体的な問題点をお尋ねいたします。 その一、まずそれが規制か、指導かという問題であります。 従前、それは全くの企業の自主管理方式であり、使用品目や使用量、検査に至るまで公的規制が何一つかけてありません。公共水域の汚染、周辺環境の破壊という問題の本質に沿って言うならば、それは当然規制でなければならないのでございますが、新要綱の基本性格はいかがでしょうか。 二、本件の問題性は、環境や健康を守るためのものでありまして、当然公開性がなければなりません。現行は全く企業ベースで秘密主義。使用薬品名も使用量も使用の日にちも、そして水質検査の結果も何一つ公表されない仕組みになっております。県も固く情報を閉ざしております。新要綱では、これらは基本的な問題点であると思うのですが、いかがでしょうか。情報公開を義務づける意思はありますか。それなしに何の対策強化ぞと問うのでございます。 三、使用品目の規制が必要と考えます。 今日市販の農薬は百種類以上ございます。殺菌、殺虫、除草剤の中には毒性や催奇形性の強いものが含まれております。薬事分類で劇物、毒物や魚毒性の高い物も多く、特に殺虫剤の使用量の七〇%が劇物であり、殺菌剤の五〇%以上が魚毒性の強いCランクにあるというのが現状でございます。県はこれら劇物、毒物や魚毒性Cランクなど毒性の高いものの使用量を三〇%以内に抑えたい方針であるというふうにうかがいます。これも毒性の高いものの使用を禁止することが必要なのではないかと考えます。要は農薬汚染を悪と見るかどうかでございます。水道水源の問題などを例に価値判断は明らかだと考えるのでございますが、いかがでございましょうか。 四、使用量の規制について伺います。 昨年度、県へ提出されましたゴルフ場の農薬使用報告書では、十八ホールに換算をいたしまして一ゴルフ場が年間使用した農薬量は平均して千五百二十九キログラムとあります。何と一トン半という膨大な量でございます。その中でもう一つ注目されますのは、最高二千五百キログラム、最低百キログラムという企業間のばらつきであります。その差は二十五倍あります。今回、県は、その半減を目指すと、つい先ほど知事がおっしゃいました。それはいかにも情緒的な感じでありませんか。これら使用実績を点検し削減率を強化することができると思います。一説には、現在の使用量は必要量の十倍使われているという説があります。私は専門家から聞いたんですが、そういう説がございます。もともと農薬の歴史は非常に浅い。ゴルフ場の歴史は非常に長いんですね。ゴルフ場にとって農薬というのは必須のものではありません。指針は、半分ではなく、あえて言うならば一割を目指せと、ここでは申し上げておきたいと思います。 五番目、千葉県知事は、新設ゴルフ場の農薬使用禁止を初めとする規制を大胆に提起をして注目を浴びております。見習うべきであろうと思うんです。岐阜県知事の所見を伺いたいと思います。 六番目、水質の検査についてであります。 環境庁では、各県の報告をもとに直接排水口や公共水域で行いました取水検査の結果を発表しておりますが、検出例はほとんどありません。不検出が九四%、検出分でも健康基準にほど遠いと、つまり安全が宣言されております。岐阜県でも検出例はありませんでした。率直に言いまして、このことは逆に国民を不安に陥れていると言っていいと思います。そこで、検査の実態でございますが、現在は検査日は事前に予告をされております。当然、ゴルフ場は農薬使用を停止し、汚染結果が出るはずのない条件がつくられるわけであります。このゴルフ場が行う自主検査またしかりでありましょう。私に言わせれば、これはいわゆる取り締まりの予告でございまして、漫画ですね。検査は公的に不作為に厳格に行われるべきであろうと思います。今後の方針はいかがでございましょうか。 ちなみに、去る六月二日、私ども社会党県本部は、住民団体と提携をいたしまして県下五ヵ所のゴルフ場の排水を直接取水検査を行いました。検査機関は岐阜県公衆衛生検査センターと大阪にあります公害監視研究所の二カ所であります。まず、岐阜県の公衛検の結果について触れます。二つのゴルフ場から殺虫剤スミチオンと除草剤シマジンがおのおの〇・〇〇六ppmと〇・〇〇五ppm検出されました。これは、いわゆる環境庁指針値を下回ってはおりますが、こういう具体例を検出したわけです。なおこの検査は、いわゆる殺菌、殺虫、除草と大別できると思いますが、その大別の中からおのおの一薬品を指定をした検査なんです。薬品名は百もあるんですけれども、その中から三種類で一つずつを指定した検査であります。検査料の結果そういうことになっておるんですけれども、そういう検査でこの二項目が検出されました。一方、大阪での検査について触れます。五ヵ所のゴルフ場のすべてから九項目を検出いたしました。環境庁指針より下回っているとは言いながら県の発表ですべてゼロであったものが、今申し上げたように公衛検で二、大阪で九つ検出をされました。毒性の強い薬剤も検出をされているなど注目すべき結果となっていると思います。この二つの検査、従前県の行ってきた検査の体制への警鐘となっていると言わせていただきます。今後の検査への参考としていただきたいと思うんです。 四つ目に、関連をしてお尋ねをいたします。 一、ゴルフ場開発手続は、まず国土利用計画法の届出前協議が第一手続でございます。その後、都市計画法の開発協議などが順番として行われるわけでございますが、一、最初の国土法届出前協議の中で森林法を初めとする個別法の一切の条件について触れられます。これが終わりますと、後は技術論だけとなるわけであります。開発業者にとりましては、国土法こそすべての関門であるというのが現状であります。ところが、この事実上の勝負の分かれ目の段階では情報が完全に閉鎖をされておりまして、関係住民にも私ども議員にも公開が拒否されております。いわく企業情報の守秘のためとあります。結果、住民は、国土法の手続が終了をした後、土地の買い付けが始まって初めてゴルフ場開発を知るという、そういう状況にあります。まさに住民不在であります。これは行政のスタンスとしていかにも一方的ではないかと思います。むしろ国土法手続は住民との協議を前提に受け付けることが必要なのではないかと考えます。県政の基本姿勢として問うものであります。 二、今次定例会請願の加茂郡八百津町錦織、蘇水峡カントリークラブというのが計画中でございますが、本件は既に国土法届出前協議を終了いたしまして開発許可申請を目前にしております。この間会社は既に設立をされ、体制はでき上がっているのでありますが、住民には何の説明もございません。この間わかってきたことは、この計画の九〇%は錦津生産森林組合の所有地を貸し付けるという内容でございまして、同組合は所有森林の約二〇%をゴルフ場に貸与しようということになります。この場合、同組合の設立の目的を大きく変更しようとする基本事項でありますことから、当然総会の討議によるべきものと考えられるのでありますが、既に昭和六十三年三月二十六日、組合長名義の承諾書が企業あてに交付されておることがわかりました。その二年経過した今日なおこの計画は組合総会に付議されておりません。生産森林組合の事業内容に大きな変動をもたらす、あるいは地域一帯の反対運動が巻き起こっていることを承知の森林組合執行部が理事会決定をもってゴルフ場へ承諾書を提出したことは、違法行為とも言うべきものでないでしょうか。これを前提としている一連の行政手続は再審査の必要があり、一度差し戻しが必要と考えるのでございます。この答弁は、差し戻しについて企画部長に、森林組合業務の正否について林政部長からいただきたいと思います。以上、ゴルフ場について多項目質問を申し上げましたが、大局は知事から、各論を担当部長から御答弁願いたいと思います。 第二、穂積町開発公社の不正事件につきまして伺いたいと思います。 本件につきましては、私は、昭和六十三年十二月以来繰り返し問題をお尋ねしてまいりました。今日刑事事件として捜査が進んでおり、公判が開始をされました。関係者の努力を評価するものでございます。しかし、公的にあらわれておりますのは、いわゆる不正登記事件でございまして、それは問題の第一章にすぎないと思います。第二章は脱税事件であり、第三章は公金不正支出あるいは背任であると考えております。今後の進展を期待するものでございます。さて、今月二十一日、松野 友町長が突如辞意を表明され、政治的には大きな転換を見たと言えます。しかし、行政事件としては何らの解決もございません。私は、今日残された実務的な課題、穂積町の真の再建のために必要な事件解明を願って、以下お尋ねするものでございます。 一、知事に。町長辞任の記者会見や新聞紙へのコメントを拝見いたしますと、町長の言い分は、事態の責任をとって退任をするが、それは部下の行った違法であり、私は何も知らなかった、この種の土地取引はどこでもやっていることであって、穂積町は運悪く摘発をされた、こんなことを追及されていたのでは今後公共事業はとてもできないなどと述べて、本質的な違法性や責任を一切拒否しているのであります。とんでもない言い分であろうと思います。過日行われました衆議院税制等特別委員会で、大蔵、自治、法務各大臣は驚きと怒りを率直に語り、あり得ない事件として徹底究明を明言されているのでございますが、直接同公社や市町村監督指導の責任者であります岐阜県知事として所信を伺いたいと思います。 二、同開発公社の認可権者は県知事であります。ここでは、不正登記、脱税、農地法違反、都市計画法違反、不動産取引法違反など数々の違法行為を長年繰り返して継続してまいりました。そういう公益法人であります。本旨にもとる行為があり、当然に民法第七十一条に基づく設立許可の取り消しが必要と考えております。他の大部分の市町村が行っている公有地拡大法に基づきます土地開発公社として、公共用地取得を事業目的とする新法人、新しい革袋への改組が不可欠と思うのでありますが、いかがでございましょうか。御答弁の参考として申し上げます。 私どもの調査によりますと、同公社事業報告書の昭和五十六年から昭和六十二年までの、つまり脱税が摘発された昭和四十三年四月以前の七年間に同公社が行った土地の売却実績について触れます。 一、七年間のうち四年間は公共用地の売却がゼロであります。つまり、町へ売った土地はゼロです。すべて民間企業などを相手の不動産売買に終始をしております。二、この七年間をトータルいたしますと、公共用地はわずか七・四%の取り扱いであり、民間用地が九二・六%で、これが同公社の実態であります。これが公益法人の実態であると言えるわけであります。 三番、国税当局は、三億数千万円に及びます脱税額を肩がわりした行為に対しまして、これを贈与と見なしまして、旧地主に対して一時所得の追徴を決定いたしました。これは当然地方税相当分にも及んでくるでございましょうし、来年度は再々徴収を予想させるものでございます。しかし、これらは完全に旧地主個人への課税でございまして同公社への課税ではございません。そこで、公社自身への課税はどうなるのであるかを考えてみなければなりません。県は法人県民税などの課税権者でございますので、総務部長の見解を求めます。 その一、同公社は、前述のごとく、実質上公共用地取得のための公益法人ではなく、実は不動産業者であります。譲って、そのことが公益法人であるといたしましても、不動産販売業の利益が非課税となるためには、予算、決算の承認手続はもちろん、公共団体の管理を完全に受けていることが証明できない限り特定法人として免税を受けることはできません。事実はこれらの条件を全く満たしておりません。したがいまして、法人税法上は、売買利益、すなわち取得原価のかさ上げ行為が一億数千万円あったと報道されておりますけれども、これが課税対象になるべきだと考えるのであります。法人県民税賦課について見解を承りたいと存じます。 その二、仮に特定法人としても、今日国税当局が追徴税の肩がわりは贈与であるという決定をいたしました。法人が行う贈与が、当然損金勘定ではなしに利益金に算入されることは御承知のとおりと思います。四億円に及びます利益勘定が国税、県税、市町村税の課税対象であることは言うまでもありません。どう処理する方針でいらっしゃいますか。 その三、前述の公社の事業実績の九二%は民間への不動産売買でございました。これらをすべて町へ登記した後転売するという方式で脱税が企てられたのでございますが、この場合、事実上取得権者であります同開発公社に対して不動産取得税が賦課されていないのはなぜでしょうか。これは県税でございますので、見解をここで表明されるべきだと考えます。 四番目、農政部長と土木部長に伺います。 新聞紙上にも報道されておりますように、これら土地取引のすべてが町への登記を行うことにより農地法の手続を行わず、同じく開発許可もなく、かつ公社自身宅地建物取引業の許可もなく、これらはすべておのおのの法律に重罰が明記をされている違法行為でございます。これらの違反が新聞報道などによっても明確になっている今日、県が知らぬふりはできまいと思います。当然告発が必要であろうと思い、その意思をお伺いいたします。 四番、これら事件の第三章は違法支出と背任行為にあるということを申し上げてまいりました。一年前から県が約束をしてまいりました町の財務検閲こそその決め手であろうと私は考えております。なぜこれを実施しないのでしょうか。明快な御答弁をお願いいたします。 五番、県警本部長に伺いたいと思います。 捜査の進展に対しては敬意を表します。同時に、事件の本質が巨大脱税事件にあること、これらはすべて町と開発公社の機構を悪用して組み立てられたことが明らかになりました。この場合地主は被害者でございます。町長及び開発公社理事長こそ所得税法上の脱税の間接正犯であること、さらに国税犯則取締法という脱税唆しやあおりの実行犯であることが明らかだと思います。それなしに事件は解明できないと思います。捜査の方針を伺いたいと思います。 最後に、知事に、全国を驚かせましたこの事件、町長の当事者責任はもちろんですが、県の監督責任も大きいと思います。この間、行政当局が腐心されたことは認めますが、全体として県の対応はひどく鈍かったと思います。今後、町政正常化への県のリーダーシップについて聞きたいと思います。なお、町長選挙が間近です。町民の事件への裁定であろうと思います。ファミリーの権力維持の動きがあります。あるいは県から人材派遣的な話題もありまして、うわさはにぎやかであります。しかし、選挙は結局住民のものです。住民自治の原則を軸に政治的な進駐、進駐軍の進駐なんですが、県からする進駐のような事態はどんな場合でも慎まなければいけないと私は考えます。念のために申し添えまして、所見を問うのであります。 第三、長良川河口堰につきまして、知事及び担当部長にお尋ねをいたします。 今なぜ河口堰なのか。工事進捗率は四〇%、一方、世論は、今なお堰への疑問を持ち続けており、さきに来県した国会の超党派調査団は、いま一度慎重な検討が必要であると、工事の一時中止を提案している状況にあります。知事初め完成の促進運動と住民団体の反対運動はともににわかに高揚をし、世論を二分していると言っていいと思います。我が党は当初から河口堰反対の先頭にありましたが、近年運動が低下をしていたことは事実でありまして、これを率直に反省し、体制を再建しようとしていることをまず申し上げておきます。さて、今日時間の制約もありまして、基本的な問題点五項目に絞りまして推進論を批判し、県の答弁を求めるものでございます。 そのうち一、洪水と河積容量についてでございます。 長良川の最大高水量七千五百トンを流下させる河積を確保するためには、唯一の方法としてしゅんせつが必要である、結果生ずる塩水遡上により塩害が大発生する、これをとめるためには河口堰が必要という体制側の治水三段論法がございます。そこで、果たしてしゅんせつが絶対のテーマなのかどうかを検証してみたいと思うんです。恐れ入ります、口でなかなかよう表現できませんので、図を用意いたしました。(資料を示す)一番上にあります赤い折れ線です。これは堤防の天端線を示しております。屈折が大変大きいんですが、地盤の沈下などによって不等高を示しているということがわかります。その下が、ピンクの帯がございますけれども、その帯の上側が、もし七千五百トンをしゅんせつなしにそのまま流した場合の最高水位であります。ピンクの下側の線がしゅんせつをして最高水位を低下させる計画線でございます。一番下に土色にございますのが、現在の河床--川底でございまして、グリーンにしてございますところがしゅんせつの予定量、こういうグラフでございます。左の方に縦の点線が入れてございまして、そこから右上流が岐阜県でございますけれども、ここで問題なのは、一番上の折れ線の堤防天端線と、その次のしゅんせつすることなく七千五百トンを流下させた場合の堤防の天端線との関係でございます。ごらんのように、大体上流の方ははるかに二メートル以上三メートルもの余裕高を持っているところがあるんですけれども、河口から十五キロメートル地点から三十キロメートル地点までの間は大体一メートル前後の余裕高を持っているということが言えます。つまり、七千五百トンが流れる河道がないという表現よりも、七千五百トンを流した場合、しゅんせつをしなければ余裕高が一メートル程度しか確保できないであろうという、そういう表現があの図表から正しいのであります。お断りしておきますが、これは建設省発表の図面でございます。 さて、私は、ここは海抜ゼロメートル地域であるということを強調しなければならないと考えさせられます。この絶対条件の中で生じました堤防の沈下は、まず何よりもかさ上げをするのが当然でないですか。一メートル程度のかさ上げが行われるならば、余裕高は二メートルになって、いわゆる河道容量や河積は完全に確保できるということを、この表が建設省みずからの手によって証明されたと私は申し上げたいと思います。ゼロメートル地帯における沈下堤防を全く積み上げることを拒否する理論というのは一体何なのか、その点について伺いたいと思うんです。つまり、沈下した堤防の天端線に対してはまずかさ上げが必要であって、その後しゅんせつの問題に入るべき順序があると思うんです。加えまして必要なことは堤体の強化であります。五十一年災害は、安八決壊を初めといたしまして各種の堤防に強度の不良が実証されました。私の町内でも堤防がずるずると下がりましたし、岐阜市日置江でも粘土堤防がずるずると流れました。堤防の強化をまず主張しなければ治水になりません。それを強調しないのはなぜなのか伺いたいと思います。 その二です。長良川の高水量は七千五百トンではなく八千トンであります。板取ダムによりますマイナス五百トンカットが前提となっております。その板取ダムは事実上放棄をされました。マイナス五百トンは、河川計画としては必須のものとして残されておりますのに、これにかわる計画は話題にもなっておりません。急施を要するのは上流調節であり、事実上のその放棄は建設省や県が責任を放棄していると言わざるを得ません。河口堰が治水のためにそれほどに必要なものなのに、上流調節を忘れるというのは一体どんな理論なのでしょうか。それが具体的に進んでいるものなら、答弁をしてほしいと思うのでございます。  その三、しゅんせつの土量について伺います。 治水のために河口部で必要なしゅんせつは約三千二百万トンと公表をされました。それが近年突如二千四百万トンに改定をされました。(私語する者あり)ごめんなさい、似たようなものですが、泥の場合は立米と呼ぶのが正しいと思います--二千四百立米と改定されました。理由は、計画年後河床が変化したと伝えられております。八百万立米と言えば、高水流量にいたしますと千トンに相当すると思うんです。突如消えた理由を明らかにしてほしいと思います。さらに今日まで九百万立米がしゅんせつをされまして、四百万立米がブランケットに、五百万立米が河道外に搬出をされたと発表をされております。残る千五百万立米とともに河道外に排出される土量は二千万立米と言います。そこで、一、既に排出をされたはずの五百万立米は一体どこへ持っていったのか、二、今後の千五百万立米の計画地は、この二つの質問に建設省が答えておりません。私どもの疑問としてお尋ねをいたします。 次に、ブランケットに使う四百万立米は河積を拡大いたしません。それでいいのでしょうか。先日の岐阜市議会で、前述一の設問を公明党議員が行っておられまして、市は、建設省に照会したが資料がないので不明と答えたと報道をされているのであります。この膨大な土量、現実に排出するためには途方もない車両数と途方もない埋立地を必要とするのでございます。果たしてできることでしょうか。少なくとも五百万立米排出の姿は現地でも見ていないという巷間のうわさであります。考えてもみてください。十トントラックにして五十万台なんです。すごい量ですよね。これはもう付近の人ならだれしも目につくはずなんです。それは別といたしまして、搬出をどこへしたかを資料によってお答えいただきたいと思います。 その四番、塩害論でございます。 (資料を示す)あの図表をごらんいただくとありがたいと思います。しゅんせつによります塩水遡上は、現在十五キロメートル地点の遡上なんですけれども、これが三十キロメートル地点まで、つまり高須輪中いっぱいまでに及ぶと建設省が説明しています。なるほどしゅんせつをいたしますと、渇水期にはそういう状況が生ずるだろうと思います。そこで、地域一帯が塩害化し--先日のNHKの討論会で建設省の高官が述べたのは、約三千ヘクタールの水田が塩害の被害を受けると説明し、これが河口堰の基礎理論、中核論をなしているのであります。この説、三千ヘクタールの水田とは、高須輪中の海津町、平田町の全水田面積に相当いたします。つまり、しゅんせつによりまして一〇〇%塩害の被害田となるだろうということが建設省によって説明をされているわけであります。さて、あの図です。あれは長島町における塩害の発生状況でございます。横の軸は、年次でございまして、縦の軸が塩害発生率です。お断りしておきますが、農業共済で対象といたします三〇%以上の被害率を示しているのではなしに、微弱な塩害比率もすべて含めております。 さて、二十二年から始まっておりますが、二十年代の塩害発生率は大体五%でございます。このころ用水は何を使っていたかといいますと、長良川の表流水を使っておりました。長島町では、あそこは、もう海の中に突き出た、海の島みたいな土地柄でございますので、北端からする表流水の取水も既に塩水が混じっておりまして、塩水で耕作が行われていた時代であります。それで五%であります。その次、巨大に盛り上がっておりますあの大被害なんですが、昭和三十四年、伊勢湾台風が長島町を襲いまして、一週間にわたりまして全町が塩水で冠水をいたしました。その結果、三十五年には三四%の被害が大発生をいたしまして、以下若干低減をしているというものの、その塩の被害がずっと続いている時代がございます。ところが、昭和四十八年に至りまして、うそのように見事に塩害が大減少いたしました。これは、その上に囲んで「井水」と書いてありますが、それまで塩水化いたしました長良川の水を使っていたかんがい用水を真水の井戸水に変えました。そのことによりましてわずか一、二%に塩害発生率が大激減をいたしました。しかし、地下水を大量に汲み上げ続けることは地盤沈下を逆に意味いたしますので、長島町では、五十三年ですか、馬飼頭首工、木曽川の用水でもってかんがいをすることに施設を改善いたしました。以降、今日塩害は〇・三%に減少をいたしました。つまり、昭和三十四年からの三四%が〇・三%、千分の三にまで激減をしてきた歴史がございまして、それは今申し上げた経過をストーリーにいたしますと、かんがい用水が淡水化されることによりまして、これは見事な塩害防止の農業技術論の足跡であったというふうに申し上げるわけであります。農政部長は、まずこの事実を認められるかどうか伺いたいと思います。次に、この農業技術を認められるかどうかを伺います。つまり、発生率の変移とその理由です。この二つについて伺いたいと思います。 問いの二、長良川をしゅんせついたしますと、塩水が遡上し河口から三十キロメートルに達します。しかし、それは渇水期だけでございまして、豊水期には、流量が大きいもんですから塩水が遡上できにくい、あるいはできません。そういう高須輪中の中での塩害発生率を農業技術論の立場からどう予想されますか。先ほど申し上げた建設省高官の言う一〇〇%、あなたはどう予想されますか。この農業技術や経過をもとに岐阜県の見解を述べてほしい、これが第二問であります。申し上げておきますが、長島町と岐阜県の高須輪中の条件差がございます。長島町は年間を通じまして塩分二万ppmという海水にどっぷりとつかっている島です。片や塩水濃度はもちろん薄く、季節的に塩水が遡上するであろう高須輪中であります。このことについて念のために触れて、学者あるいは技術者としてのあなたの見解を問うものでございます。 三つ目、遡上した塩水は堤防下から浸潤して内陸の地下水を汚染するメカニックがあると思います。それに対して承水路がつくられ、一方で先ほど申し上げたかんがい用水を確保すれば塩害は防止できるという農業技術が、今申し上げた経過によりまして証明されていると思うんです。そこで最も中核的な表現は、塩水防止のために河口堰が必須であるとする仮説は不必要ではないかというところにあると思います。農政部長の農学者としてのあるいは農業技術者としての、そして農政の責任者としての見解を賜りたいと思います。 その五、利水について伺います。 もともと河口堰計画を年表にいたしますと、中経連が利水計画として河口堰構想を発表したのは昭和三十三年でございます。その翌年三十四年が伊勢湾台風であります。伊勢湾台風に続く数年間の長良川の大洪水の結果、昭和三十八年に建設省は長良川の最大高水量を七千五百トンに改定いたしました。その生い立ちはまさに利水計画であることを示していると思うんです。(資料を示す)この年表のとおりでございます。また、昭和四十年建設省内部の文章がどういうものか公表されているのですけれども、「塩害防止だけでは河口堰の必要性を説明するのに無理がある」と書いた部分があることを付言しておきます。 そこで、開発企業局長に聞くのでございますが、その一、(資料を示す)第三表を見ていただきますと、これは木曽川流域の都市用水の動向と水源開発の関係を示すものでございます。一番下にあります折れ線ですね、この木曽三川流域における現在の都市用水の使用実績は日五百六十万トンでございます。一九七五年ごろ、これは、もう日本では、いわゆる経済成長一点張りのころでございまして、あの間非常に高まった一時期があるんですが、今や節水の技術なんかが高まりまして、若干減少して五六〇万トンでございます。さて、上にあります階段線、これは下から完成順に並べてございますが、岩屋ダム、三重用水、阿木川ダム、味噌川ダム、そして長良川河口堰、徳山ダムと年次が並ぶんですが、それらの水利権を日量に換算をいたしまして、あそこに数値が打ち込んでございます。例えば徳山ダムの場合、百十二万トンの日量がここで供給されるわけであります。これを全部合計いたしますと千百二十万トンになります。現在使われている実績が五百六十万トンで、開発計画が満たされたときに千百二十万トンになるというのが、この木曽三川流域における都市用水、もちろん水道水や工業用水を全部含めてのことなんですけれども、その数量なんですね。そこで伺いたいのは、社会資本の建設というのは、一体、資本効率だとか、具体的に言えばだれがそれを負担するのかという問題を抜きにして論ずることはできないと思うんです。あるいはそれをしてはなりません。社会資本建設の原則であろうというふうに思います。河口堰につきましては、三重県は、既にその水は要らないと、建設負担金の支払いを返上する申し出をしたことがあります。あるいは二倍もの水源開発が決して妥当なものとは言えず、明らかに過剰だという説を私はここで申し上げてます。次元的にはやがての遠い将来にあり得る話かもしれませんが、少なくとも現在の需要量と開発計画や資本投下としては全く無意味な長良川の利水計画だということが、この表からすれば言わざるを得ません。それに対する所見を伺うのでございます。 その二、水資源は国家的なものでございます。だからと言いまして、長良川河口堰の水利権毎秒二十二・五トンが、つまり日百八十二万トンでございますが、すべて愛知県と三重県によって占有されることが決まっております。この問題に対して県民感情は大変に複雑だと思うんです。長良川からは水は新たに一滴も取れないシフトが、この河口堰によって岐阜県民に押しつけられることになるわけであります。母なる川長良川、これは遠い言葉になってしまうわけであります。河口堰の水利権設定によりまして今後は一滴の水利権も岐阜県が増設することが認められなくなるという、そのことに対しまして、つまり長良川をただで売り渡すことになるという、そのことに対しまして見解を伺いたいと思います。これは大問題だと思います。水資源が将来本当に大切なものならば一層に重大な項目であろうというふうに考えます。 その三、私、岐阜市の出身でございますので、四十万都市の岐阜市の上水道は現在長良川伏流水を水源といたしまして毎秒一・五七トンの水利権を認可されております。加えまして、水源不足を補うために、五カ所の上水道の井戸と簡易水道の水源井戸十数カ所を掘削いたしまして地下水でこれを補っているという状況がございますが、地盤沈下の問題などもございまして、やがて長良川の水利権を増加認可していただくことを望む立場におるわけであります。あるいは需要の自然増によりましても近々それが必要となるわけでございます。しかし、河口堰以後はそれは一切できません。やがてダムなどの開発水利を買わざるを得ないことになると思います。昨日、県河川課と会話をしておりましたところ、今日の開発水利が、毎秒一トンの水利権として二百二十億円につくという話を聞きました。何と一トンの水利権は二百二十億円です。おまけに長良川にその水利を求め得ないとするならば、それは揖斐川や木曽川などに依拠することが必要になるわけですから、そこから延延とした導水管が必要になるわけでございますから、この費用もまた巨額になろうと思います。それなのに岐阜市長は河口堰建設促進の旗振りを務めて走り回っておられます。一体どうなっておるのかと私は聞きたいと思います。そこで、開発企業局長に伺いたいのは、岐阜市を初めといたします上中流の都市群は、河口堰以後長良川からの新規取水や水利権の増設を許されるのかどうかお答えをいただきたいと思います。以上です。    (拍手) ○副議長(古川利雄君) 知事 梶原 拓君。    〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 最初に、ゴルフ場問題についてお答えを申し上げます。 議員御指摘のゴルフ場の諸問題につきましては、極めて重要であると認識をいたしております。農薬の問題につきましてお尋ねございましたが、この問題は、当然ではございますが、県民の健康第一に指導の強化を図ってまいりたいと考えております。 それから、千葉県知事の新設ゴルフ場に対する農薬禁止ということにお触れになりました。この点につきましては、農薬を使わないということが理想であるということでございます。そこで、私どもは、新設ゴルフ場のみならず既設のゴルフ場を含めまして農薬使用量を、二分の一、三分の一、四分の一と、先ほど議員が御指摘の十分の一というお話もございました、そういう方向になるべく近づけてまいりたい、早くそういう状態にしたいと、こういうふうに努力をしたいというふうに思っているわけでございます。 それから、ゴルフ場が特定の地区に過度に集中するということになった場合は、当該市町村における将来の土地利用上支障が生ずる場合もあり得るのでございまして、今後市町村長さんの意見も十分聞きながら慎重に検討してまいる所存でございます。手段として総量規制ということもございますが、一律の数字でもって規制するということは、岐阜県の場合、美濃と飛騨、大きな違いもございます、こうした地域によって事情が大きく違うと、こういうことを考えますと、現段階では無理なことではないかと考えております。しかしながら、ゴルフ場の新規立地につきましては、特にゴルフ場が集中的に立地されている地域を重点に、抑制を基調として慎重に検討すると、こういう基本方針で対処したいと考えております。この方針に従いまして、第一義的には、地元市町村長の意見を尊重しつつ、県として当該地域における土地利用計画との整合性、自然環境等への影響、快適環境の形成可能性、地域社会との調和等について十分審査してまいりたいと考えております。 なお、お尋ねの富加町の場合につきましても、今後この原則に従い処理してまいりたいと思います。 それから、穂積町開発公社の事件についてでございます。 松野穂積町長さんは、このたびの一連の事件の責任をとって辞職を決意されたと承っております。今回の事件はまことに遺憾な事態であると認識をいたしております。穂積町開発公社の今後のあり方につきましては、公有地の拡大の推進に関する法律に基づく土地開発公社への組織変更といったことも含めまして、適正な運営及び業務の遂行が確保されますよう厳正に対処してまいるつもりでございます。当面、穂積町長の辞職に伴う町政の停滞、混乱を来すことのないよう、県としては、町の自主性を尊重しながら今後の町政運営全般が円滑に行われるよう指導してまいる所存でございます。 さらに、長良川河口堰についてのお尋ねがございました。 この問題につきましては、岐阜市を初めとする長良川下流六十万人の県民の立場に立って、その生命、財産の保護を最優先に配慮し判断すべきことが岐阜県知事としての責務であろうというふうに考えております。その大前提として、長良川は過去に多くの水害の歴史を持った危険な川であるという認識がございます。木曽三川の中でも、木曽川、揖斐川に比べまして長良川は本流に大規模ダムの適地がございません。計画はございますが、事実上実行可能でないと、こういうような事情がございます。したがいまして洪水を有効に調整することができない。また、頭の上を洪水が流れるという全国随一のいわゆる天井川でもございます。したがって洪水を安全に流すためには川の流水断面--水の流れる断面積をふやすということが必要でございます。御指摘のように堤防の強化ということももちろん必要でございます。必要な場所は当然そういうことをしていく必要があろうかと思いますが、究極のところ、堤防というものが単なる土の盛り上げと、そういう構造のものであるということでございます。したがって洪水への抵抗力におのずから限界があるということをやはり認識しなければいけないというふうに考えます。そういたしますと、できるだけ洪水の際の水位を下げるということが基本でございまして、このためには川底のしゅんせつが最適であるという判断がなされておると理解をいたしておるわけでございます。 堤防のかさ上げのお話も出ました。また、堤防を後ろに引いたらどうかと、こういう御意見をおっしゃる方ももちろんおいででございます。できるところは当然従来もやっていただいております。ほぼ必要なところはやるべきであろうと思いますが、例え堤防を一メートル上げる場合でも、既にかかっておる鉄道橋あるいは道路橋のかけかえをしなければいけない、こういうような問題がございます。新河渡橋から下流だけでも長良川本川で十六の橋梁がございます。そういうような問題がございまして、この一メートル上げるというだけでも巨額の事業費を要する、あるいは隣地がもう市街地であるのが通例でございますので、実行いたしましても何十年の年月を要すると、こういうような課題がございます。そういうことを考えますと、まず現実的に緊急を要する治水対策事業としては下流部のしゅんせつが最も有効であろうと、こういう判断がなされておるわけでございます。そこで、しゅんせついたしますと当然に海水が上がってくるわけでございまして、これに随伴していろんな問題が出てまいるわけでございます。この下流部の高須輪中には三千ヘクタールの農地がございます。この農地のために最盛時、夏でございますが、農業用水として毎秒十トンの水を取っておるわけでございますが、海水が遡上いたしますと、これは農業用水として使えないということでもございます。そういうことからいたしましても、どうしても海水遡上のための堰が必要であると。また、地下浸透による塩害の問題もございます。いろいろ議論がございますが、私どもの立場からいたしますと、より完全な塩水浸透防止策を講じてもらいたいということでございます。いささかでも問題のある方策では私どもにとって不十分であると、かように考えておるわけでございます。 それから、よく引き合いに出されます下流の三重県長島町の例でございますが、この土地におきましては高須輪中の三分の一くらいの農用地だそうでございますが、議員のお話にもございましたように、こちらは木曽川の上流部の馬飼頭首工--長良川河口堰のような大きな堰でございますが、そこから三・三トン現在取水いたしまして、農業用水、塩を薄める減塩用水も含めまして三・三トン取水をしておると、こういうような現実があるわけでございまして、下流部の農地におきましては、どうしてもこういう措置が必要であると、こういうことかと思います。河口堰が完成いたしませんとしゅんせつも完成しないと、こういうことでございます。なぜかと申しますと、塩をとめるためにこの川底にマウンドの部分を残すということになります。そういたしますと、一たん洪水のときにはやはり危険な状態であると、こういうことでもございます。早く長良川の危険な状態を解消したい、例え十センチ、二十センチでもいいから洪水時に水位を下げたいというのが長良川下流の人たちの悲願であろうかと、かように理解をいたしております。したがって、長良川下流の市や町で構成されております長良川下流治水連絡会議というのがございます、そういうところとか、あるいは岐阜市と穂積町を除く市、町議会、水防関係団体、農業関係団体から一日も早く河口堰の完成と早期のしゅんせつの完了について強い要請が出ているところでございます。県といたしましては、こうした地元県民の要請にこたえまして、建設省並びに水資源開発公団に対しまして一日も早い事業の完成を求めてきているところでございます。 ○副議長(古川利雄君) 総務部長 永倉八郎君。    〔総務部長 永倉八郎君登壇〕 ◎総務部長(永倉八郎君) 穂積町開発公社の税に係る御質問にお答えいたします。 まず、公社に対する課税についてでありますが、一般的に公益法人に対する法人関係税につきましては、法人税法第四条の規定によりまして、収益事業を営む場合に限り納税義務があるとされているところであります。ただし出資金額の二分の一以上が地方公共団体により出資され、かつその業務が地方公共団体の管理下で運営されている公益法人の行う不動産販売業は収益事業と扱わないこととされております。県税についてもこれに準拠するものであります。なお、法人税など国税と密接に関連する県税につきましては、常に国税当局と連絡を保ち適正な課税に努めているところであります。 次に、不動産取得税は、通常、不動産登記簿上取得者と表示されたものに対し課税する扱いとしておりますが、別に真実の取得者が確認された場合は、その真実の取得者に課税することとなります。したがいまして今後の調査結果により公平に課税をしてまいりたいと考えております。 ○副議長(古川利雄君) 企画部長 山田賢一君。    〔企画部長 山田賢一君登壇〕 ◎企画部長(山田賢一君) 議員御質問のうち、四点についてお答えを申し上げたいと思います。 まず、現在検討を進めております要綱の性格に関するお尋ねであります。 この要綱の性格のうち、一般的な事項の問題についてお答えを申し上げたいと思いますが、現在検討中の要綱におきましては、職員による立入調査、各種報告の義務づけ及び改善すべき事項に対する助言または勧告、さらにその勧告に従わないときにはその旨を公表するといったような内容を持ったものといたしたいというふうに考えております。しかしながら議員御質問にありましたように、性格はということになりますと、あくまで要綱でございますので、行政指導ということでございます。 次に、国土法に基づく届出前の協議に関するお尋ねがございました。 これにつきましては、土地取引終了前に協議中のゴルフ場に関する情報を公開いたしますと、開発予定地の買い占めとか、いわゆる地上げの出現を招くおそれがございます。したがいまして、県といたしましては、国の指導を受けまして事前指導の内容等の公開につきましては極力慎重に行うべきものと考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。 次に、蘇水峡カントリーの協議手続の問題についてお尋ねがありました。 届出前協議につきましては、土地利用計画との適合性など開発計画の立地の適否について審査を行うものでございます。したがいまして、この段階では地権者の同意は協議成立の要件とはいたしておりません。したがいまして、届出前協議の段階では御指摘の承諾書は徴収をいたしておりませんので、御了承をいただきたいと思います。 次に、現在考えられている要綱で規定する報告等の内容を公表したらどうかという御質問でございます。 現在私どもの方で検討しております管理指導要綱におきましては、農薬の使用状況、排出水等の自主的な検査の結果、あるいは災害防止施設の状況等につきまして事業者に対しまして市町村長を経由して知事に報告をするようにしておるところであります。これらの報告は、相当広範囲にわたるものでございますので、その内容を逐一公表することは考えておりませんが、例えば規制基準値を上回る農薬が検出されたような場合には、速やかに公表した上、事業者に対して厳しく指導してまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(古川利雄君) 衛生環境部長 井口恒男君。    〔衛生環境部長 井口恒男君登壇〕 ◎衛生環境部長(井口恒男君) ゴルフ場におけます水質検査につきましてお答えいたします。 県内のゴルフ場におけます排出水中の農薬につきましては、本年度から県独自の調査を実施しておるところでございます。既に六月上旬に第一回の調査を行いました。この調査に当たりましては、県独自の判断で行ってきておりまして、ゴルフ場に対して事前に予告するというようなことはしておりません。これまでに実施しました検査では、二カ所におきまして四種五項目につきまして農薬が検出されておるところでございますが、その濃度は、環境庁が示しております排出水の暫定指針値を大幅に下回っているだけでなく、厚生省が示しております飲料水の暫定水質目標値以下であります。なお、この厚生省の暫定水質目標値は、厚生省におけます生活環境審議会水道部会水質専門委員会で設定されたものでありまして、生涯連続して飲用しても健康に影響が生じない水準をもととし、さらに安全性を見込んで設定されたと言われているものでございます。今後もなお引き続きまして調査を続けてまいりますが、厳正に対処する方針でございます。 ○副議長(古川利雄君) 農政部長 名知和男君。    〔農政部長 名知和男君登壇〕 ◎農政部長(名知和男君) 御質問第一点のゴルフ場問題についてお答えします。 まず、農薬使用品目の規制についてでございますが、ゴルフ場で使用する農薬につきましては、新たに定められるゴルフ場環境管理に関する指導要綱におきまして、芝等の病害虫以外への影響の少ない農薬の選定を基本として推進していく考えでございます。そこで、病理学、昆虫学、農薬学、土壌学等の専門家で構成するゴルフ場農薬適正使用検討委員会を設置し、実効性のある防除指針を策定することとしております。この防除指針に基づいた効率的防除を指導し、芝等の病害虫以外への影響が少ない農薬の使用を推進してまいる所存でございます。 次に、農薬使用量の規制についてお答えします。 ゴルフ場の農薬使用量につきましては、昨年度の農薬使用実態調査の結果では、議員御指摘のとおり、ゴルフ場間の面積や芝の種類等の相違はありますが、農薬使用量に差が生じております。県といたしましては、さきに申し上げました管理要綱におきまして、当面農薬使用量の半減を目標に抑制することとし、さらに三分の一、四分の一へと段階的な減少を図るよう指導に努めてまいる考えでございます。このため、元年度の農薬使用実態を分析するとともに、本年度より地域別の四つのゴルフ場を選定して病害虫の発生状況を調査し、その結果を活用しつつ農薬使用量の抑制を基本とした防除指針を策定することとしております。前にお答えしましたとおり、この防除指針に基づいた効率的防除を実施することにより、芝等の病害虫以外への影響の少ない農薬の選定と農薬使用量の抑制という二つの目標を推進してまいる所存でございます。  次に、御質問第二点の穂積町開発公社に係る農地取引についてお答えをいたします。 穂積町開発公社が関係した農地の取引につきまして、昭和六十年度から平成元年度までの五年間のものについて穂積町農業委員会から報告を徴収いたしました。現在、この報告にある農地の取引につきまして、売買契約書及び土地登記簿謄本により内容の確認を進めており、あわせて土地の現況調査を行っているところであります。今後は、事態の推移を見きわめながら、具体的なケースごとに厳正な措置を講じてまいる所存でございます。 また、穂積町農業委員会に対しましては、本来の機能を十分に発揮できる体制づくりを指導するとともに、農地の権利移動、農地転用に対する監視体制の強化について指導してまいりたいと考えております。 第三点の長良川河口堰についてお答えいたします。 まず、長島町の塩害についてお答えします。 長島町では地下よりの塩水の浸透により塩害が発生していると聞いております。このため、長島町におきましては、塩害対策として汚染度の高い農地を宅地や商工業用地に転用したり、また稲作ができない水田では休耕や他作物に転作をしております。水田につきましては、木曽川大堰、いわゆる馬飼頭首工より用水毎秒三・三トンの供給を受けて淡水かんがいを実施するなどの方策を講じまして、塩水による農業上の被害を最小限にとどめるよう努力されていると聞いております。 次に、高須輪中の塩害についてお答えいたします。 高須輪中の農地三千ヘクタールの主な農業用水は、長良川の河口から二十五・一キロメートルと二十九・五キロメートルの二カ所で毎秒十トンの用水を取水することとしております。建設省の資料によりますと、しゅんせつを行い河口堰を建設しなかった場合、河口から約三十キロメートル付近まで塩水が遡上すると予測されております。塩分濃度は河口より二十五・一キロメートル地点でおおむね六〇〇〇ppm程度と予測されております。いずれの揚水機場とも塩水遡上区間にあり、取水する農業用水は塩水化することになります。水稲では生育期によって差はありますが、三〇〇ppmから一二〇〇ppmで塩害が発生することが報告されております。したがいまして、このまま二カ所の揚水機場により取水しますと、高須輪中約三千ヘクタールに塩害が発生することになります。 次に、高須輪中における塩害対策が技術的に可能かどうかについてお答えをいたします。 高須輪中は県下一の穀倉地帯でございます。稲作地帯として今後とも維持していかなければなりません。塩害を防ぐためには、上流で用水を取水するかあるいは取水のための堰を設ける必要があります。取水地点を上流にしたといたしましても、取水する堰が必要となり、取水した農業用水を導水するためには、受益地区外を通過し、輪中堤を横断し、家屋の連檐した地域を通過することになり、地元調整など極めて困難と考えております。また、上流で取水するとした場合、現在羽島市桑原用水が約毎秒六トンを取水しており、その水利調整も困難と考えられます。取水のための堰を建設するとしますと巨額な経費を要することになります。さらに、長良川からの地下浸透によって地下水及び土壌が塩分化することも予測され、除塩用水として新たな水源手当ても必要となります。以上の諸点を勘案しますと、しゅんせつされた場合、河口堰で塩水の遡上を阻止しない限り塩害を防ぐことは極めて困難であると考えられます。 ○副議長(古川利雄君) 林政部長 伊藤邦昭君。    〔林政部長 伊藤邦昭君登壇〕 ◎林政部長(伊藤邦昭君) ゴルフ場問題についてお答えいたします。 第一点目の保安林の解除につきましては、他法令の許認可が確実であること、転用面積が必要最小限度であることなど一定の要件を満たしていることが前提であります。特にゴルフ場につきましては、事業区域内に確保すべき森林の割合の基準を高く設定して、工場、住宅団地など他の開発事案より厳しく対処しているところであります。 次に、その実績でありますが、林地開発許可制度が発足いたしました昭和四十九年十月三十一日以降の約十六年間で解除の手続を行ったものは、六ゴルフ場で約二十一ヘクタールとなっております。 続いて、第二点目の蘇水峡カントリークラブ開発に伴う錦津生産森林組合の手続についてでありますが、生産森林組合は、森林経営を目的とする法人であることから、経営に重大な影響を及ぼす林地の賃貸が行われる場合には事業計画の変更手続が必要となります。この事業計画の変更は、森林組合法の規定により総会の議決事項となっておりますので、生産森林組合に対してそのように処理するよう指導しているところであります。錦津生産森林組合におきましても、総会に諮った上で賃貸するかどうかを決定することとしております。 なお、議員お尋ねの承諾書は、土地の賃貸を承諾したものではないと聞いておりますので、御理解賜りたいと思います。 ○副議長(古川利雄君) 土木部長 山岸俊之君。    〔土木部長 山岸俊之君登壇〕 ◎土木部長(山岸俊之君) まず最初に、ゴルフ場の問題につきましてお答えいたします。 ゴルフ場の開発に伴います流出増の対策については、洪水調節池を設置して洪水調節を行うと。それは、土地開発指導要綱に基づきまして現在指導しておるところでございます。これらの調節池が適正に設置され管理されることによりまして、仮に複数のゴルフ場開発がなされましても、河川や下流域に対しまして開発による災害は防止されると考えておりますけれども、なお一層防災対策に万全を期すために、今後は調節池の適正な管理の指導を強化してまいりたいと存じます。 次に、穂積町開発公社の件でございますが、都市計画法、建築基準法の違反につきましては、既に関係者に対しまして工事中止の指示を行っております。また、関係機関に対しましても、行政指導を行いまして実体違反の解消に努めてまいる所存でございます。 なお、宅地建物取引業法についてでございますけれども、宅地建物取引業を営むというふうに言い得るには、反復継続して宅地建物取引がなされることと、その取引が営利目的として行われるという二つの要件が必要とされております。本件の場合は反復継続して取引がなされていたことは認められますが、営利目的で取引が行われたどうかにつきましては、現段階においてはその確定ができませんので、今後の推移を見守りながら対処していきたいと考えております。 次に、長良川河口堰についてでございます。 長良川下流部の河道容量の確保についてでございます。 長良川は、その下流部におきましてはゼロメートル地帯を流れておりまして、全国でも有数の天井川でございます。また、本川上流部に大規模な洪水調節用のダムがありません。また、戦後だけでも五回も破堤を経験するなど治水安全度の低い河川であります。このような長良川下流部におきましては、洪水時の水位をできるだけ下げることが治水対策の基本でございます。議員からお話のありました、しゅんせつを実施しないで堤防のかさ上げにより計画高水流量を流すということは、洪水時の水位を大幅に上昇させることとなる結果、堤防に大きな負担をかけることとなります。万一破堤したときの被害を著しく増大させますとともに、長良川の支川流域の排水を悪化させ、浸水域を拡大させることになります。洪水時の水位が高くなることに対処するために橋の全面的なかけかえや排水機の増強が必要になります。また、堤防かさ上げに伴いまして堤防の幅が広がるために、家屋や排水機場の移転、貴重な用地の提供が新たに必要となるなどさまざまな悪影響が生じます。このようなことから、河道のしゅんせつによって洪水時の水位を低下させる現在の方法が最善の方法であります。 次に、上流ダム計画についてでございます。 長良川の工事実施基本計画によりますと、基本計画高水流量毎秒八千立方メートルのうち毎秒五百立方メートルを上流ダムによって調節することとなっておりますけれども、上流ダムの計画については、現段階では具体化されておりませんで、長良川におきましては当分の間河道のみで洪水を受け持たなければなりません。したがいまして、下流部の大規模なしゅんせつと長良川河口堰の建設促進が緊急の課題となっているところでございます。 次に、しゅんせつ土量についてでございます。 計画高水流量毎秒七千五百立方メートルを安全に流下させるのに必要なしゅんせつ量と申しますと、河口から三十キロメートル地点の南濃大橋付近までの間における洪水の流下断面を増大するためのしゅんせつと、高水敷等を新たに造成して堤防を補強するためのしゅんせつとを合わせたものでございます。しゅんせつの全体量といたしましては、昭和四十七年時点には約三千二百万立方メートルと算定されておりましたけれども、長良川河口堰の本体着工に伴いまして河道のしゅんせつ工事が本格化することから、最新のデータをもとにしゅんせつ量を改めて計算したところ、しゅんせつ総量が約二千四百万立方メートルとなったものでございます。今回の見直しによりまして約八百万立方メートルが減少したわけでございますけれども、これは地盤沈下や河床変動等によりまして約五百万立方メートルのしゅんせつ量が減少したことにもなります。また、堤防の安全度を高めるために設置する高水敷等の幅がその後の技術的検討によりまして百メートルから五十ないし七十メートルと変化したことに伴いまして、その造成に要するしゅんせつ量が約三百万立方メートルの減少となったものでございます。 また、約二千四百万立方メートルのうち、昭和六十三年度までにしゅんせつされた約九百万立方メートルの用途別の内訳といたしましては、高水敷造成に利用いたしたものが約二百万立方メートル、堤防補強等に利用したものが約二百万立方メートル、県営圃場整備事業高須地区などの土地改良及び治水タワー付近の国営木曽三川公園等の公共用地造成に利用したものが約百万立方メートル、コンクリート用の骨材として利用したものが約四百万立方メートルとなっております。なお残りの千五百万立方メートルが今後必要なしゅんせつ量でございます。今後の約千五百万立方メートルの利用計画といたしましては、高水敷造成等へ約二百万立方メートル、残りの約千三百万立方メートルにつきましては、これまでに実施してまいりましたように、堤防補強や公共事業等への利用、あるいはコンクリート骨材等へ有効に利用されることとなっております。 また、高水敷等に用います土砂のしゅんせつについてでございますが、これは直接的には河積の拡大につながらないものでありますが、この土砂によって造成される高水敷等は、洪水時における堤防付近の流速を落として安全に洪水を流すとともに、堤内側への漏水対策としての機能などを有しておりまして、治水上重要な役割を果たしているものでございます。以上でございます。 ○副議長(古川利雄君) 開発企業局長 藤田幸也君。    〔開発企業局長 藤田幸也君登壇〕 ◎開発企業局長(藤田幸也君) 長良川河口堰についてお答えをいたします。 まず、第一点の木曽川水系の水需要でございます。 都市用水の需要は、経済社会の発展と生活水準の向上等により今後とも着実に増加することが予想されているところでございます。東海三県の長期水需要計画によれば、木曽川水系に供給を依存する中部地域の平成十二年における都市用水の需要量は毎秒百二十三トン程度が見込まれており、これに対して供給量は地下水等毎秒四十トンに加え、新規開発水量毎秒九十七トンの合わせて百三十七トンが計画されております。長良川河口堰はこのうち毎秒二十二・五トンを供給する施設として大変重要な位置づけがなされているところでございます。さらに、中部圏には、中部新国際空港を初めとする多くの大型プロジェクトが計画されているほか、都市河川の浄化、せせらぎ復活等環境用水としての新たな水の需要が予測されているところでございます。また、近年の頻発する渇水対策や地盤沈下を防止するためにも安定的な水源の確保が必要でございます。水資源開発には長い年月を要するために、短期的な需要の動向に左右されることなく超長期的な観点に立って開発が必要であると考えておりますので、御理解を賜りますようお願いします。 なお、議員から木曽川流域の都市用水の動向と水源開発について御指摘がございましたけれども、水道用水につきましては、核家族化あるいは生活様式の多様化等によりまして確実に需要が増加しております。また、工業用水につきましても、技術革新等により回収率が向上し、使用量が横ばい傾向にありましたけれども、回収利用はほぼ限界に近づいておるということになっておりまして、今後の工業出荷額の増加に伴い淡水補給量も増加することが見込まれております。一方、長良川河口堰ほか五事業が完了いたしましても、なお中京圏においては一人当たり貯水量が東京圏の半分以下であり、渇水に対して脆弱な構造でありますので、水資源開発の必要なことを改めて御理解願いたいと考えております。 次に、第二点の長良川河口堰で本県が水を確保していないとの御意見でございますが、木曽川水系における水資源開発計画は、昭和四十三年十月に、木曽川総合用水、長良川河口堰及び三重用水を供給施設とし、開発数量を毎秒七十五トンとする閣議決定がなされ、このうち本県は木曽川総合用水で毎秒十二・二三トンの水を確保いたしているところでございます。その後、昭和四十八年三月に基本計画の全部変更が行われまして、さらに昭和五十七年三月の一部変更により現在に至っているところでございます。計画変更の段階で関係各県市の需要動向を踏まえ適切な供給施設の位置と開発数量の配分を協議策定された経緯がございます。本県といたしましては、木曽川総合用水で毎秒十二・二三トン、阿木川ダムで毎秒〇・八トン、徳山ダムで毎秒五トン及び味噌川ダムで毎秒〇・三トンの合わせて十八・三三トンの水を確保いたしているところでございます。 次に、第三点の岐阜市の水道用水についてお答えをいたします。 岐阜市水道部における現計画によりますと、平成七年を目標とする第七期拡張工事の一時変更事業によりますが、これで見ますと新規水源の必要性はないというふうに聞いております。しかし、将来計画において議員御指摘のように不足が生じたときには、県が確保いたしております水源の中において協議をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 ○副議長(古川利雄君) 警察本部長 遠藤豊孝君。    〔警察本部長 遠藤豊孝君登壇〕 ◎警察本部長(遠藤豊孝君) 穂積町開発公社の件についてお答えをいたします。 議員の御質問にありましたように、この事件の本質は脱税行為でございます。本質はそのようなものでございますが、それを具体的に立件する場合には、また捜査上配慮を要する部分がございまして、これまでのところ、本件の場合は、脱税のための手段としてなされた虚偽の登記あるいは買取証明書の偽造について捜査を進めてまいりました。今後の捜査方針につきまして、この場で具体的に御答弁申し上げるのはいろいろ難しい問題がございますが、警察といたしましては、事実に基づき、法に照らしまして犯罪として問議すべきものがあればしかるべき捜査をする、これが警察の基本姿勢であるということを御理解いただきたいと存じます。 ○副議長(古川利雄君) 十二番 山田 桂君。    〔十二番 山田 桂君登壇〕 ◆十二番(山田桂君) 質問が多項目にわたりましたので、全部再度触れることは避けまして、要点だけ二、三触れさせていただきたいと思います。 最初に、河口堰に関する問題でございますが、知事に強く要望を申し上げたいと思います。 答弁はいただきまして、いずれも大変御丁寧なものでございました。しかし、その内容につきましては、建設省のレコードって、そういう感じでございまして申し上げるんですが、長良川下流の治水につきまして心配をする立場はあなたも私どもも共通だと思います。そして、それは堤体の補強と強化あるいは一部はしゅんせつとの組み合わせの技術論についても否定をしないつもりでおります。しかし、河口堰が必須であるとする結論はどこにもまだないという感じで承っておりました。むしろ平水位を高上させることによります湿田化のおそれ、あるいは当然に堤体の軟弱化、堰自身の流水阻害、生態系の破壊など河口堰が持つ悪影響を否定できないという感じであります。反対運動と世論が高まってきておる情勢の中で、今必要なことは、反対運動への対抗だけではなしに、問題の本質的な再検討でなかろうかと思います。宍道湖の例がありました。淡水化計画は放棄されたことを御存じだろうと思います。ほとんど完成に近いものが放棄をされたということであります。今後とも慎重な対応を知事に求めて強く要望としたいと思います。 二番目に、特に総務部長の発言について再質問をいたします。 あなたの答弁を注意深く聞いてみますと、穂積町開発公社がいわゆる公益法人であること、それから二分の一以上の公共出資であり、運営が市町村によって管理をされている場合、それは特定法人となり得ること、それから、その特定法人が行う不動産取引の利益についてだけは課税を免除する規定や施行令があることなどを法律的に説明をされただけなんですよね。こんなものは私が質問の中に入れていることでございまして、答弁ではないわけです。私が申し上げたのは、そういう規定があるにもかかわらず穂積町開発公社はその資格条件を持っていないと。例えば予算、決算について議会の議決もありませんし、公的な報告制度も持っておりません。そういう場合、市町村が直接その公社を管理しているとは言えないということが政令やあるいは通達の中に書いてあるわけでございまして、したがって特定法人と認定することがまず難しい、加えまして、仮に特定法人と認められた場合でも、その行う不動産取引の利益についてだけの非課税が決められているわけでございまして、質問の中に法人が行う贈与--四億円の贈与を行って、これからさらにふえるんですが--法人の行う贈与金は、当然に利益金算入であって、課税対象ですよという部分についても何らお答えがありません。以上、二つです。 それから、財務検閲が必要なことを、これは前から繰り返しておるんです。あなたはそれに対して答えていません。何回も事務的には地方課に確認をいたしましたが、今日までそれはなされておりません。なぜしないのか明らかにしてほしいと思います。 それから、ゴルフ場について、これもいろんな問題点を含んでいますが、ある意味では一定の前進を目指していらっしゃいますし、ある意味ではそれは不足だというふうに御指摘も申し上げておるんですが、一つだけ土木部長に再質問をいたします。 あなたの答弁は、いわゆる開発基準について見直す必要はないということを述べられましたね。そのことによって洪水の調節などが図ってあると、こういうふうに答弁があったと思います。しかし、それにもかかわらず、土岐川は、三十年確率よりも下回った雨量で大洪水を引き起こしましたね。先ほど申し上げたのは、夢窓国師も見たこともないあれだというふうに申し上げました。こういう大災害が現に生じているんです。したがいまして、それは、開発基準の個々の個に対する規定の見直しや、あるいはその集積としての見直しや、そういうものを絶対必要としていると言わざるを得ませんね。事実そのものですからね、論議の問題ではないんです。あなたの言う、それでいいという基準の中で引き起こしてしまった大事態なんですからね。論議の必要がないんですね。それに対して見直しの意思はないかのごとく答弁をされましたので、この点については論理上の矛盾として御指摘を申し上げて、後は再質問を慎みたいと思う次第であります。以上です。 ○副議長(古川利雄君) 総務部長 永倉八郎君。    〔総務部長 永倉八郎君登壇〕 ◎総務部長(永倉八郎君) まず、町の財務検閲の実施についてでございます。  これまでの議会でも御答弁申し上げておるところでございますが、現在におきましても警察当局の捜査が続けられているようでありますので、その動向や町の執行体制の整備の状況を見守りながら適切な時期に実施してまいりたいと考えております。なお検査調査事項につきましては、他部局に係るものもございますので、十分連携をとりながら、正すべきものを正しく厳しく正しながら、町行政の正常な運営が一日も早く図られるよう指導してまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと存じます。 次に、税の問題でございますけれども、国税に準拠しておりまして、国税と連絡を密にして厳正に対処していきたいという考え方でございますので、御理解賜りたいと思います。 ○副議長(古川利雄君) 土木部長 山岸俊之君。    〔土木部長 山岸俊之君登壇〕 ◎土木部長(山岸俊之君) 先ほどの議員からの御指摘でございますけれども、現在のところ、先ほど例示されました洪水につきましても、その原因につきまして、ゴルフ場ということで確定をするまでに至っておりません。全国的にもこのような洪水調節池の設置によって対応しておるのがほとんどでございまして、現在のところはこの土地開発指導要綱でまいりたいと、こういうふうに思っております。 ○副議長(古川利雄君) 五十一番 松永清蔵君。    〔五十一番 松永清蔵君登壇〕(拍手) ◆五十一番(松永清蔵君) 発言のお許しをいただきましたので、本来なら休憩時間に入るんですけど、前段がああいう姿で討議をされましたので、その感覚の中で聞いていただいたらなおようけわかるんじゃないかなと、こう思いまして、実は心臓を強くして手を挙げたような次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。 実は、私が用意してきました問題は、先ほど来の質疑、答弁の中で、前段の問題は解決済みというような感じではないかと思ってます。特に頭脳明晰な山田 桂君のなかなか堂に入った質問でございますので、知事の答弁は、私は非常に意義があると思っております。したがいまして、私の立場からあえていろいろとつけ加えて質疑を重ねたいと思います。 先ほどお話がございましたように、長良川河口堰の塩害の問題、あるいは利用の問題、あるいは排水量を含めた堤防の問題等々がございました。これはそれぞれの見方見方によって違うと思いますけども、塩害の問題一つとってみてもおわかりが願えると思いますけども、現実の問題は、私の方が、高須輪中の一番低いところが大体七十センチから八十センチでございます。したがいまして、塩水が、干潮河川であるので、上ってまいることは堰がなければ必定なんでございます。しかも、実はこの問題は四十三年から始まった論議でございまして、長い間この問題については討議を続けてまいりまして、県の中にもこれくらいにわたります資料が残っておるはずでございます。また、それだけに議論をしてまいりました。 そこで、私どもの実態を申し上げますと、実は、長良川をしゅんせつし、揖斐川をしゅんせつして、短冊のようになっていました堀を埋めました。川の土を掘って埋めました、サンドポンプで。したがいまして非常に真っ白になるわけです。それは何かと言いますと、塩分を含んでいた砂が上げられたわけなんです。先ほどお話がございましたように、これを真水で洗い落としながら、実はだましながら真水化し作付をしておるという状況でございます。これはずっと以前のああいった力でございますが、堰がないということになれば、当然そういうことは、より以上深くなることが、私は常識としてわかると思います。議論じゃないわけなんです、私どもの方は。だから、塩分が入る入らないという次元の話より、私どもとしては、塩が入らない形の中で、どういう形がふぐあいなんか、これをほうっておかなけりゃならない理由があるのかということの、もっと大きい意味での論争をすべきではないかと私は思うわけでございます。 そしてまた、御承知だと思いますけども、満杯になってまいりますと長良川の堤防は緩んできます。本当に、こう流れる姿が相当なもんです。そして潮の満ち干によって水の波が違ってまいります。潮が満ちてきますと、ざあっとこう入って来るわけなんです。潮が引いて来ますと、その水がだんだんと下がっていくという実態もあるわけなんです。なるほど余裕高は通常二メートルと聞いております。先般の伊勢湾台風の量は八千トンと皆さんの議論の中で出ております。私が申し上げたいのは、あの長良川のあの辺が切れなかったという理由は、上流の方でかなり切れております、したがいまして、切れなくてその水をこの川に入れ込んで持ってきましたら、あのままの姿ではなかったというふうに理解が願えないかと思うわけなんです。切れたから、八千トンだということで、あの辺は切れなんだでいいじゃないかと、こういうふうの議論ではないわけやないかと思います。言いかえれば、それだけの切れた分だけは流れたならば、八千トン流れたならば必ず切れるという裏づけになるわけじゃないかと私は思うわけなんです。堤防から手が洗えるんです。あるいはまた、塩害の問題でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたが、これはもう十五キロメートル地点で、あなたも述べられましたが、一万一〇〇〇ppmの塩分濃度があるということになりますと、試験場等でも実際検討されておりますけども、被害がないということはないわけなんです。だから先ほど申し上げましたように、これも被害をなくし、ほかにもしいろんなことがこれによって起こるなら、それもなくするようなことが政治の実体ではないかと思ってます。ただ私どもだけ塩害がないよないよと言われていてこうせよということについては、義の矛盾があるんじゃないかなと僕は言わざるを得ないことを理解してほしいと思います。 それから、水利用の問題でございますけども、私どもとしては、先ほど局長が述べられたり名知部長が申し上げられてますので、これを引っ張り出すつもりはございませんが、実は私の経験の中で申し上げますと、四十四年でございました、異常渇水がございました。輪中の田んぼは一面真っ白でございます。そこでどうしたらこの植えつけができるかということでいろいろ知恵を絞りました。もちろん長良川を締め切らなきゃ大工事はできません。でも一人の人が、そだ沈床で上げていったら若干のかさ上げはできるんじゃないかということで、そだ沈床の中に石を入れまして、どんどん積み上げていって植えつけを入れたことを覚えております。 あるいはまた、六十一年でしたか、牧尾と岩屋のダムが渇水をいたしまして、水制限があったことも御承知だと思ってます。あるいは、今、私どもを初めといたします尾張地域においては、現実は地下水を頼っているわけです。この地下水が、これ以上吸い上げると沈下してどうにもならないという時期が必ず来るのではないかというふうに想像をするわけでございます。そんなときにどういう水の利用の仕方をしたらいいでしょうか。 あるいはまた、先ほどお話がございましたように、中部国際空港が、実は建設省に行きましていろいろ聞いてみても、まだ未定のものだということで、詳しいお話を承れませんが、いろんな規模あるいはその構成等を聞いてみますと、新聞等でいわゆるリゾート構想なんかを読んでみますと、かれこれ十トンくらい要るんじゃないかという私の感覚なんです。あくまで感覚なんです。今、先ほど述べられましたように、水需要計画が平成十二年に百二十三トンという計画の中に、今申し上げましたそういうものは入ってないわけなんです。なるほど政治のあり方について、その都度やればいいじゃないかという意見もあるかもわかりませんが、私どもは将来を洞察して水を確保していくことこそ政治の要諦であろうと思ってます。いろいろ問題はあるかもわかりませんが、それはやらねばならないことではないかと思ってます。なるほどおっしゃるように当初は水利用の面もなかったわけではございません。当初の計画は、ゲートの上段が二メートル三十とか四十という高さに位置する、セットするという話がございました。そんなことやったら、私どもは、輪中の治水はどうなるんだということで長い歴史の中で繰り返し繰り返し論争を重ねながら、今はゲートの天端が満潮時の高さの平均の一メートル三十センチなんですよ。一メートル二十センチが平均ですが、十センチ上がるので、一メートル三十センチでゲート締めるわけなんです。だから今申し上げましたように、治水というのを前提に置かないと、利用計画だったら先ほど来お話しのような形が言えると思いますが、この辺についても理解をしてほしいと思います。 再質問の中であなたがおっしゃってましたように、知事は反対に対する確固たる説得の意味がないのではないかという御意見がございました。私は知事の答弁聞いておりまして、知事の立場なら精いっぱい、全体の幸せのために努力しておられる姿だと、私はこう受けとめております。別にお上手言うつもりはございません。だから私の願いたいのは、相対的な立場の中で、議論のための議論やなしに、ぜひひとつ前向きの姿勢で、じゃ高須輪中のようなお粗末なところに住んでいくにはどうしたらいいだろうか。一部反対の人たちは、どうしたらいいだろうかという原案もあったら明示をしていただきたいと私は思わざるを得ません。余りだべってますと時間がないので、本論へ戻ります。 実は、先ほどもお話がございましたように、私の子供のころに苦い経験が一つあるわけなんです。それは、お手元に配ってあります犀川事件でございます。たしか小学校へ上がった前後のことであったと思っております。ちょうど雨降りの晩でございました。この記事を配りましたら、坂君がこの張本人はうちのおやじだと、こう先ほども言ってきましたんですが、どの張本人でもいいんですけれど、私のおやじも実は裏の竹やぶで竹を切りまして、何本も何本も竹やりをつくりまして、そしてみのかさをつけまして、火事の半鐘をたたいて大勢連れて竹やりかついで走っていきました。子供のときです。えらいことができたな、どうなるんだろうかな、本当怖くて一睡もできませんでした。とうとうその晩は、あくる朝になってもその晩になっても次の晩になっても帰ってきませんでした。おそらくおやじはいろんなことで勾留されたんだなという感じでいっぱいでございました。この中身は、そこにお配りいたしましたので申し上げませんけども--傍聴者の皆様がお見えになるからちょっとだけ述べておきますが、実は、森部で上流部の水を堰を切って下流へ流そう、こういう計画でございます。下流の私どもとしては、そんな水をもろに受けたならばもう何ともならないわけなんです。世にいう百姓一揆が始まったわけでございます。紆余曲折しまして、最後は、ポンプで、現もありますように長良川へ出すということで決着をつけてくれたわけでございます。これは閣議決定後の話なんです。私どもでは、いろいろ何年かたってみますと、そのことがよかったか悪かったかはいろいろあると思いますけども、そういう犀川事件ということが、私どもの先祖は闘い取りながらきょうの低場の守りを続けてきたのは実態でございます。三月議会に私の家の話を申し上げました。生で体験している身になって皆さんも考えてください。多少無理を言うかもわかりません。それが人間の真意じゃないでしょうか。私は、今申し上げましたように、何としても、皆さんの話もわからぬわけじゃございません、かわりに私どもの話も聞いてほしいと思います。 次に、魚の問題について、これは、きょうも議論にならなかったんですが、大分理解を願えてきたなという感じがいたします。 そこで、公開質問状の中に、アユだとかサツキマスだとかそういうのが調べられてないとか、あるいはまた、実際上がらんのじゃないかというお話がございました。私もそういう指摘を受けましてからいろいろ勉強をしてみましたし、やり方等々について検討もしてみました。そこで、簡単にお話しを申し上げながら理解を賜りたいと思うんでございますが、アユは、御承知のように、岐阜市の忠節橋から河渡橋までの間で産卵をしまして、この仔魚がだんだん下がってきます。海へ下がった仔魚はプランクトンなんかを食べて、そして上がってまいります。ただそこで問題点になるのは、実は堰ができると流れが悪くなったり水質も悪くなってその仔魚が死ぬんじゃないかと、こう言われております。このことは、いろいろ堰のゲートの操作によっても、水質の保全だとか、あるいはまた管理によりまして、ローラー式になっておりますので、下部の方でも上部の方でも水を出し入れれる姿になっておりますので、その時期をはっきりさせておいて対応することができるんじゃないかと思ってます。お手元へお配りしておる「長良川河口堰 魚たちのとおる道」というのを開いていただきたいと思います。四ページ、五ページでございます。これは、アユが飲み込まれるということは、一応取水口がありますので考えられますが、この対策については、岐阜大学の和田教授によって人工河川による実地試験がなされております。この間も私どもの海津郡の長良川河口堰フォーラムに教授みずから来られましてお話をいただきました。専門家でございます。その方が実証しておられます。また、琵琶湖においては安曇川という川がございますが、昭和五十六年から実際に活用されております。その成果も既に公表されております。もちろん私はまだ見に行っておりません。だから的確には申し上げられませんけども、そういうこととうかがっております。これは、現在長良川の堰をつくる右岸側に原っぱがございます、そこに今人工河川をつくりまして、そしてその上流で産卵をさせまして一番至近距離で河口へ稚魚として流すという実態がとられておるようでございます。私は、この生態等々の和田教授の話を聞きますと、なるほどなあと、こう思っております。この点については、執行部においてもいろいろ検討をされておりますので、また後ほど御意見が伺われると思いますが、適切なことではないかと思っております。 そして第二の問題ですが、アユの遡上が堰によってできないと言われておりますけれども、実は--、二ページをめくってください。こうなってます。これがゲートでございます。そこで、この長良川ゲートそのものが、実は魚道の一役を担っていると言っても言い過ぎではないと思うんです。なぜならば、一メートル三十センチの線でこのゲートの高さがとめられております。だから水がそこまでついてまいります。潮の満干潮で満潮になったときが、大体平地が一メートル二十センチですから、十センチの差しかないわけなんです。しかし、いわゆる干潮になった場合がございます。その干潮になった場合は四十センチぐらいの差があるんじゃないかと私は判断いたしております。したがって四十センチあると飛べるかということでございますが、サツキマスあるいはアユにおきましても、瞬発力があるのはどんどん通っていくというふうに判断しております。 それから、実は模型を水資源公団へ行って借りてきました。(資料を示す)こちらが左岸でございます。三メートル、二メートル、一メートル、三メートルの魚道でございます。そこで申し上げたいのは、この隔壁でございますが、三メートル行って十センチなんです、上がるのが。世にある河口堰魚道はこんななるい堰ではないわけです。河口の段階ではなく、馬飼頭首工は確か二十五センチか三十センチぐらいある。しかも距離が短こうて。だからどのアユでも、もちろんサツキマスは上がるというふうに御理解をいただきたい。これは呼び水でございます。このごろいろんな構想が出まして、この魚の上がり下りをこちらから窓で見るというような話もあるわけでございます。私は、一番問題なのは、こっちからも上がってくるわけなんですが、このゲートに魚が集まってくるのは、どんどん水が落ちるから集まってくる。その落ちた水がずっと横へ行きますと呼び水と同じような位置でないとあかぬわけなんです。 そこで、馬飼頭首工の場合は、上がってくるところがずっと下の方にある。魚は、くんくんかざがして行っても、おれの行くところどこじゃいなと探すことでは上がれないわけです、はっきり言って。それが一列にずっとあるわけなんです。僕は魚道の勉強に大学に行ってきましたときに、先生方がお話ししていたんです。どうだな、あの下のところで扇風機みたいのを持ってきて、水をこう攪拌したって、魚がそれについて乗ってくる方法はないかねと言ったら、いい話じゃけども、すぐ稚魚が出てこなくなってしまうと笑い話で終わりましたが、要するに私どもは魚の生態を十分承知しながらこういうものを考えていかなきゃならぬ。そこで、これは大体そういう結果的からいきますと、百メートルなんです。魚道が。まずアユは、世界の国というとオーバーかもわかりません。ただよその国でやってますのは、バーチカル方式だとか、それからいろんな魚道があるわけです。やっぱり私ども思ったのは、階段式魚道が一番適切だなあと思いました。これだけやなしに、実は船通しというのがございます。ちょっとわからぬかもわからぬけども、わかったふうしとってよ。(資料を示す)二番目のこの辺ですが、船通し--だから、これはこのページで言うと六ページ開けて。この六ぺージで船が書いてありますけれども、魚ついていくんだ。(発言する者あり)いろいろあるわ。あんたそれでもいいよ。閘門でいい--とにかく魚がいっぱいこの船と一緒に、船は余分なものやけどついて上がります。そしてこのゲートを閉めます、一番けつのやつを。そうしますと、どんどん上からの水がたまってきて、上のゲートを上げても差し支えないようになるわけなんです。この間、片桐君と筑後大堰でカニがどうしたこうしたという議論をやったんだけど、これがあれば、全部満点ではないよ、満点ではないけど、かなり僕はそういう弊害はなくなると見ている。だから、今はそういう形の中で、それから先ほど申し上げましたように、こういうその魚道、船通しを通してできるだけ多くのアユを上げてやる、あるいはサツキマスを上げるということが一番問題ではないかと思います。 そこで、サツキマスのことをちょっと申し述べておきたいと思います。 レッドデータブックには絶滅だというふうに書いてありますが、いや、危機にあると書いとりますが、あたかも河口堰があるからというふうに。そんなことはとるだけのことだけやけども。実質的には私はことしあたりは大変豊漁だと思ってます。一応私も仲間の中に漁師の方が何人かおります。ことしはようけとれたので先生一杯やろかというわけで、あれ、ぐあい悪いことで朝やってくるわけや。とれたときはすぐ朝、四時ごろですから。よっしゃということで起きて、寝巻きのままで一杯やりながら漁師の皆さんの話を聞くわけですが、ことしは豊漁です。そこで、大体長良川は平生十四トンから十六トンくらいとれるわけ。揖斐川は大体六トンから七トンくらいとれるわけ。木曽川は一番少ない三トンから四トンぐらい。で、これは申し上げるまでもない、皆さんも御承知だけど、アマゴのいわゆる生態が変わったのがサツキマスです。カワマスと言います。これは非常に遊泳力があるわけです。ぴゅーぴゅーと飛んでいくわけなんです。そして御承知だと思いますけども、可動堰、いわゆる固定堰があるわけですね、上流に。大したものじゃないけど。郡上の付近でサツキマスがよくとれるわけです。ということは、よう上っていかなんだら、サツキマスは川で育っていくんですから、銀色のうろこになって上がっていくんですから、そこでうろこが銀色にならないから、川から上がったことは実証できます。上がっていくんですよ。ただ自然のサツキマス、自然のアユということだけに限定をおきますと、いろいろ問題があるけども、僕は、例えば、アユでも放流をします、サツキマスも放流をします、両者合わせて今どき旬だけのもので満足するというわけにいかないと私は思っています。いろいろ見方によってあるかもわかりませんが、それがベターじゃないかと思っております。そこで、私の申し上げたいのは、大体二十トンくらいサツキマスは今とれます、漁獲量が。それから十年前は大体十一トンぐらいとれました。確かな資料でございますが--はや時間か、はい、やめます。それで実は私の申し上げたいのは--あと一分だけください。岐阜大学の先生や、また試験場の本荘先生のいろんな功績もここで述べておりますが、全部カットしまして、本論に入ります。 NHKの討論会で、先ほど来の私と山田 桂さんとの話の延長でございますが、水利用の将来を洞察しての意見で知事がいろいろ述べてくれました。ただあの中で若干核心に触れてないかという話でございましたが、私どもは、現場にいて私たちの立場を十分酌んでくれる知事でなければならないと思ってます。そういう意味で、再度これに対する御意見をちょうだいいたしたいと思いますし、先ほども人工河川の話をいたしました。この点については、母なる川長良川のことでございますので、知事は十分考えられたと思いますので、一つ御答弁をいただきたいと思いますことと、長良川の人間と自然の共存共栄の夢があると私は思っております。実はこの間も知事と一緒に川を下りました。長良川を下っていきました。寒い日でしたけど。盛んな夢を話しておられました。だから、私は、先ほど申し上げましたように、魚釣りをしてもいいんだと、高須輪中もかわいそうやが、これやったらいいんやという形の中の議論で県政を運営してもらう知事ですから、そういうことで御理解をいただきながら、さもないと、私ども犀川事件を出したのは非常に決意が固いという証明をここであらわしたわけでございますので、おどすわけじゃございませんが、真剣に取り組んで我が高須輪中を守り抜くつもりでおりますので、御理解御協力をいただきまして、ごあいさつ終わります。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(古川利雄君) 知事 梶原 拓君。    〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) ただいまは、問題の高須輪中のゼロメートルというよりもマイナス地域にお住みになりまして、しかも堤防のすぐ横というようなお住まいでございます。昔からの水戦争の生々しいお話も伺いました。そういうお立場で、それなら地域住民の生きる道を示してくれと、こういう切実なお話がございました。私もいよいよ責任を感じた次第でございます。私の立場につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございまして、岐阜市を初めとする長良川下流六十万人の県民の皆様の生命、財産を守ると、こういう考えを一貫するという立場にあるわけでございます。個々の議論は反復いたしませんけれども、たとえ一人だけの生命が救われるということでございましても、それは断固進めるということでなければならないというふうに思います。人間の一人の命は地球より重いと、こういうことでございます。下流の皆様の生命、財産の保護が最優先でございまして、下流にお住みになる高須輪中を初め、下流にお住まいになる皆様がこの問題の第一の当事者、最優先の当事者であると、こういうふうに認識をいたしております。そういう方々の生命、財産を守るために、あれがいいこれがいいという議論はございます。あれを先にする、これを先にするという議論もございます。しかし、私の立場は、いいことであれば、人間の命が守れる、あるいは財産を守れることであれば、やれることは何でもやると、こういう姿勢でなければならないというふうに思っております。しかもその立場は安全第一ということでございます。疑わしきは人間の生命、財産の保護を優先すると、こういうことでございます。そういう立場で、今後とも御質問の趣旨を十分踏まえて頑張ってまいりたいというふうに思います。 それから、魚類の問題でございます。 河口堰の問題は、さっき申し上げましたように、この地域にお住みになる住民の方の生命、財産ということが最優先の課題でございますが、魚の問題につきましても、この内陸の岐阜県にとりまして貴重な資源でもございます。観光資源でもあるわけでございまして、魚類の保存、保全につきましても重大な関心を持たなきゃならないと、かように思います。人間の命より魚の命が大事かと、こんなような議論がございますが、そういう単純な論理で割り切るわけでなく、魚類につきましても、今申し上げましたような重要な資源として認識をしてまいりたいというふうに思っております。先般、漁業補償の妥結を見まして、私も中に入らせていただきました。そのときの立場は、法律論として河口堰設置による最悪の事態を想定いたしまして最大の補償をいただくということで努力をさせていただきました。しかし、行政という立場になりますと、それでいいかということには相ならぬわけでございまして、行政といたしましては、今度は最大の努力をして最善の状態をつくり出すということでなければ相ならぬと、かように考えております。したがいまして、ただいま議員のお話ございました魚道等々につきまして、かねてから建設省、水資源開発公団にもいろいろ要望、要請をしてまいりました。 まず、魚道につきましては、今日世界において最先端の魚道が設置されるわけでございます。それから、船通しを通りましていろんな魚類も遡上ができるというお話もございました。それから、このメーンゲート自体が常に川が流れておりまして、特定の場合を除きましては、それ自体が魚道でございまして、川幅全体が魚道になるわけでございます。したがって、このゲート自体の構造もさらに魚類の遡上が容易になるように改善できないかと、こういうことも研究するようにいたしておるわけでございます。ただ、どうしても、これまた議員の御指摘ございましたように、アユの子供が下るときに問題がございます。これは人工河川によりまして解決がかなりできるというような自信があるわけでございます。この魚道につきましても、ただ魚は上るということではなくて、アメリカあるいはカナダにございますように横に窓をつけて子供たちが魚が上っていく姿を見て楽しむ、言うなれば魚遡上観測窓--フィッシュ・ウォッチング・パークといいますか、そういう楽しいところにしていきたい。これは外国にそういう例があるわけでございまして、そういうものを通じてちゃんと魚が上っていくというところを立証すべきであろうと思います。万一遡上の状態が悪ければ科学技術の推移を凝らして改善をすべきというふうに私は思うわけでございます。そして、漁業補償金につきましては、過般の交渉妥結の際にも漁業組合の皆様に申し上げました。できるだけ組合に留保してそしてそれを今後の漁業振興に充ててくださいと、こういうことをお願いした次第でございます。いろんな漁業振興対策がございますが、魚の放流、あるいは魚の住みやすいような環境づくり等々いろいろございますが、国、県、公団も力を合わせまして長良川を淡水魚の宝庫と言われるぐらい豊かなものにしたいなと思っております。 サツキマスの問題につきましても、アマゴの放流を近年やっておりまして、アマゴの放流量がふえればふえるほどサツキマスがふえると、こういうようなデータも出ております。したがって、サツキマスにつきましても、アマゴの放流という形で量の確保はしていきたいというふうに思っております。ただ、先般あるところでその話をしましたら、漁業関係者の方がサツキマスはアユを食うんであんまりあれをふやすなと、こういうようなお話がございました。いろいろ難しい問題もございますけれども、とにかくだれのものでもない私ども自身の長良川でございまして、世界でも最高の長良川にするべく皆様ともども頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。    (拍手)          …………………………………………………… ○副議長(古川利雄君) しばらく休憩いたします。 △午後三時四十七分休憩           …………………………………………………… △午後四時十一分再開 ○議長(河村成勝君) 休憩前に引き続き会議を開きます。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) 引き続き一般質問並びに議案の質疑を行います。十三番 近松武弘君。    〔十三番 近松武弘君登壇〕(拍手) ◆十三番(近松武弘君) 私は、民社党を代表しまして質問させていただきます。 最初に、財政問題である国庫補助負担率についてお伺いをいたします。 国においては、既に八月三十一日までに大蔵大臣に提出する平成三年度予算の概算要求の準備の時期になっています。財政問題として地方にとっての大きな関心事は、国庫補助負担率の暫定引き下げ問題でございます。国庫補助負担率の引き下げは、最初、昭和六十年度に経常的経費、すなわち毎年決まって支出する経費及び投資的経費、道路、河川等の社会資本の整備に使う費用、これらについて六十年に限って実施するということで踏み切ったものでございますが、しかし、その翌年の六十一年から、さらに六十三年度までの三カ年延長され、さらにまた平成元年度及び二年度の二年間、投資的経費について暫定としてカットされ、実に六年間に及んできているのでございます。この間、県においては約七百七十億円の補助負担金がカットされたと聞いています。国は、この財源補てんとして、臨時財形特例債の発行を認めるという形で負担を地方に転嫁したわけでございます。この特例債の償還金返済については、交付税で補てんしていくとされていますが、これは、結果的には将来の地方財源の先食いしたものだと思うのでございます。最近の報道では、大蔵省は、平成三年度も、現在の新たな問題であり日米構造協議の主テーマとなっています公共投資拡大問題があり、さらに継続するような方向であると言っているのでございます。公共投資拡大の問題は、補助負担率を恒常的な制度に戻した上で論じるべきであると思うのでございます。この問題に絡めて暫定カットをさらに継続するということであってはならないと思います。真に豊かな特色のなる地域づくりをしていくためには、地方財源の保証がなければ計画的な地域づくりはできません。国庫補助負担率の引き下げは直ちに廃止し元に復元すべきであると思うのでございます。そこで、県は国に対して強く復元を求めていくべきであると思いますが、どのように考えておられるのか、またどのように進めようとされているのか、総務部長にお尋ねをいたします。 次に、土地対策、地価対策について、知事並びに企画部長に御質問いたします。 今、戦後三回目の大幅な地価高騰の状況下にございます。国も幾つかの対応策をとっていますが、まだまだ不十分な点が多く、その効力はあらわれていません。県も、四月一日よりこの異常高騰に対応するため、地価高騰の特に著しい地域として岐阜市、大垣市、多治見市、可児市の四市を地価高騰区域に指定いたしました。国、県のこうした対応の効力もこれからの運用いかんにかかっているというのが実情でございます。昭和五十九年ごろから始まった今回の地価高騰は、東京都心部でのビル建設や再開発ラッシュ、またオフィスビル不足を理由にした土地投機に端を発していると言われています。そして地価高騰のあらしは今や全国に広がっています。地価高騰は国民の住宅確保を一層困難にするばかりではなく、社会資本の整備にも大変なおくれを生じさせています。また、土地を持つ人と持たぬ人との資産格差をさらに拡大し、社会的不公平感を一層増大させるなど重大な社会問題を引き起こしています。 戦後地価が高騰したのは今回を含めて三回目でございます。一回目は、高度経済成長期の昭和三十八年から四十年ごろです。二回目は日本列島改造ブームが引き金となった昭和四十七年から四十九年ごろです。こうした二度にわたる地価高騰の経験を生かせず、今三度目の地価高騰に直面しているわけでございます。国土庁が発表しました今年一月一日現在の公示価格を見ても、地価は衰えるどころか依然として高騰し続けています。東京圏では前年度比六・六%増ですが、大阪圏では実に五六・一%増、名古屋圏でも二〇・二%増と急騰しています。全国平均でも一七%と前年の七・九%を大幅に上回っています。金余り現象の中で始まった土地投機の舞台が、東京から大阪、名古屋へ、そして地方へと今水面の波紋のように広がっています。今回のこの地価高騰に対して政府がとってきた対策は、一、昭和六十二年八月、国土利用計画法の中に、後ほど話に出ます地価監視区域の指定が行われました。二、六十三年六月、総合土地対策要綱の閣議決定、三、平成元年十二月、土地基本法の制定、国土利用計画法の一部改正、これは監視区域における投機的土地取引を規制する内容のものです。しかし、これらの効力は、これからの詰めや運用次第というものでございます。 現金を持つな、借金をせよ、そして土地を買え、土地を持っていれば必ずもうかるという土地神話がございます。昭和三十年を基準にして過去三十年間を見てみますと、現在の水準は、賃金で十八倍、金利は七・六倍、消費者物価は五・二倍、しかし住宅地の価格は実に五十七倍となっています。この条件下で、昭和三十年に同じ三百万円で土地を買った人と預金をした人の三十年後の資産額を計算してみますと、預金をした人が二千二百八十三万円、土地を買った人は一億六千七百九十四万円、その差は一億四千五百十一万円で、単純な見方でも七・四倍の格差が生じています。これを六大都市で見てみますと、土地を買った人の場合、その資産額は四億二百万円となり、その格差は実に十八倍となっています。まさに土地神話の教えには説得力があるようです。借金が利益を生み、その利益でさらに借金をする。すると、その借金がまた利益を生むという形で、どんどん資産が拡大していくわけでございます。多くの企業や業者がこうした動きによってサクセスストリーを演じているわけでございます。人にツケを回してでも利益を生むという姿勢が土地神話を定着させていると思うのでございます。 経済企画庁の国民経済計算によりますと、我が国の総土地資産額は昭和六十一年度で千六百三十八兆円となっています。その十年前の昭和五十一年には総土地資産額四百二兆円でありましたので、わずか十年間で四・一倍増加したということです。昭和六十年度の総土地資産額を国際比較で見てみますと、日本の資産額は千二百六十二兆円、アメリカは五百五兆円、イギリスは十一兆円となっています。日本はアメリカの二・五倍、イギリスの百十五倍という計算になります。国土面積でアメリカの二十五分の一という日本をお金に換算すればアメリカが二・五個分、イギリスであれば百十五個分買えるという状況でございます。まさに日本の土地高騰は異常と言う以外にないと思います。 今回何がこんなに地価を高騰させたのでしょうか。地価高騰にはさまざまな原因が複合していますが、今回の最も大きな原因は、金余りの中で、中小不動産の土地投機と、それを容易にしている現行の土地税制の欠陥にあると言われています。例えば、東京の土地市場は、従来は個人取引のものでありましたが、今、都心を中心に急激に法人、業者取引に変わっているとのことです。都市での土地購入者のほぼ九〇%が法人です。その法人のうち約七〇%が不動産業者であり、さらにその六〇%が資金力のない中小不動産業者です。土地投機の主体が中小不動産であるとしても、資金力の乏しい中小不動産業者に巨額な投資資金があるはずがございません。その資金を用立てしているのが銀行等の金融機関でございます。昭和六十年のプラザ合意以降、急激な円高と国際収支の黒字は日本経済に超金融緩和状況をもたらしました。そして、金利安、融資先の不足が銀行の貸出金を不動産に振り向けさせたのでございます。かつての地価高騰時の先兵を務めました中小不動産業者は、手数料稼ぎだけでは利益はたかが知れており、土地取引の当事者になって土地の転がし、利ざやでの利益がはるかに大きいことを感じていたのです。そこで、資金の貸し出し先を求めていた銀行と思惑が一致したのでございます。今回の土地高騰の兆候があらわれ出したのは昭和五十八年以降でございます。銀行等の不動産への貸し出しはそのころから激増しています。昭和五十七年の貸し出し残高は十四兆二千億円で、貸し出し総額に占める不動産業者への貸し出し割合は七・一%でございましたが、地価上昇と足並みをそろえ、昭和五十九年には貸し出し残高十六兆七千億円で、その割合は七・五%にアップ、そして昭和六十年にはさらに二十兆六千億円で八・四%にアップ、さらに昭和六十一年には実に三十二兆六千億円で一一・七%までに拡大しております。昭和六十三年には大蔵省、日銀の行政指導がございまして、やや増勢を弱めましたが、平成元年に入って再びふえ始め、平成元年六月には四十三兆六千億円、そして現在は五十兆円に迫ろうとしていると言われております。おそらくその割合は一五%近くになっているのだろうと言われております。今、月に一兆円の割合で増加しつつあるというようなふうに見られております。この巨額の不動産融資が地価高騰の最大の原因になっていると言われているのでございます。さて、そこで次の点について知事に御質問をいたします。 一、今度こそ土地神話の打破をと意気込んで四月にスタートしました政府土地税制小委員会の中間報告が先日の六月二十二日に発表されました。土地問題解決の方法として土地保有税強化を打ち出しましたが、既に関係団体からの反発があり、骨抜きになってしまうのではないかと心配されています。また、不動産業者への融資引き締めも後手後手に回っている中で、今、地価規制として効果を期待できる手だてはわずかに国土利用計画法による監視区域の指定以外にないだろうとも言われております。しかし、これとて地方自治体の姿勢や運用いかんでございます。地価対策についてどのように考え、どのような方策をとっていこうとされているのか、また、監視区域の指定についてどのように考え、どのような姿勢で取り組んでいるのか、以下の点については企画部長に御質問いたします。 一、今年四月一日より、岐阜市、大垣市、多治見市、可児市の四市が監視区域の指定を受けました。これは国土利用計画法によるものですが、その指定に当たっては、地価が急激に上昇し、また上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められた区域について指定できるということになっています。県としてはどのような基準で設定されたのか。 二番、例えば指定への基準があったとしても、上昇するおそれがあったり、合理的な土地利用が困難となるおそれがある場合には指定できるということになっております。そういった意味から、上昇するおそれのある場合には、基準に先駆けて積極的に指定していくべきだと思いますが、どのように取り組んでいこうとされているのか。 三、岐阜市においては、既に昭和六十三年九月二十日より岐阜市の中心部、主に商業地と聞いています、既に指定し実施されてきました六十三年九月二十日より平成二年三月三十一日までの件数や実績はどんなぐあいであったか。また、中止勧告や変更勧告、成果はどのような状態であったのか。 四、四月一日から新たに指定された岐阜市、大垣市、多治見市、可児市の四市の実績は、どのような状況になっているのか。 五、可児市、多治見市については、用途地域等についても五百平米以上となっています。五百平米といえば百五十一坪でございます。面積規制が大き過ぎるのではないかと思うのでございますが、岐阜市、大垣市は三百平方メートル以上と設定をされています。どのような基準で設定されたのか、今後対象面積を引き下げていく場合どのような条件が必要なのか、あるいは、多治見市、可児市等について引き下げていくような考えが、あるのかどうか、お尋ねをいたします。 最後に、夢おこし県政について知事に御質問いたします。 昨年四月、夢おこし県政がスタートして以来一年以上が経過しました。昨年は、県民総参加を旗印にした夢募集によって五万五千件を超える夢が提案されました。その中から実行できるものについては直ちに実行していくという考え方のもとに、平成元年度、そして平成二年度当初予算までに三百五事業が着手されています。また、夢おこし県政の推進やPRのために、昨年は、知事出席によるガヤガヤ会議、副知事出席による夢おこし現地研修会、また夢おこしレディーによる夢おこし飛び込みフォーラム、そのほか女性知恵の輪フォーラム等精力的に取り組まれてきたと思いますが、しかし、問題はこれからであると思います。知事は、平成二年度を二十一世紀夢おこし助走の年ととらえ、岐阜県の未来をみんなで考えみんなで実行していく県民総参加の推進をより強く進めていくとのことです。その具体的な夢おこし事業として、本年は、夢そだてガヤガヤ会議、夢そだて県民シンポジウム、夢おこし東京会議、夢おこし人脈ネットワークなどに取り組んでいくとのことでございます。時代は今教科書のない時代、あるいは町づくりにおいても自立、独創的な発想が求められていると言われています。そんな中で、私たちは今どのような未来を望んでいるのでしょうか。どのような地域社会をつくっていこうとしているのでしょうか。未来に向かって私たちの希望や期待や願い、夢やロマンや冒険をいっぱいに出し合って共通の目標をつくり、その実現に向かって県民総参加によって知恵とエネルギーを結集していく取り組み、言葉で言えば大変簡単でございますが、実行となると大変な力が必要であると思います。しかし、みずからの町づくりは住民みずからがつくっていかなければならない時代という中でございますので、こうした取り組みは極めて重要であると思います。 さて、来るべき二十一世紀はどんな時代になるのでしょうか。一般的には、国際化、情報化、高齢化社会と言われていますが、私たちの身近な生活や暮らしはどのようになっていくのでしょうか。私たちは、常に時代を超えて平和、安定、活力、自由、平等の社会を望んでいます。二十一世紀は、物の豊かさから心の豊かさ、量的拡大から質的向上への時代と言われています。具体的には、人間性を尊重した豊かさと文化の息づく心の時代、自己実現や生きがいを求める時代です。暮らしについては、より質の高い安心さ、便利さ、快適さ、ゆとり、安らぎ、潤いを求めています。人と人との関係では、優しさ、温かさ、思いやり、愛や誠や感謝の行き交う社会です。社会一般には、公平、公正な社会です。価値観においては、感動、感性の時代と言われています。こうした願いや期待を創造していくためには、柔軟で新鮮な発想が必要であると思います。夢おこし県政を進めるに当たって、知事は、その目標として、二十一世紀には岐阜県を世界に輝く岐阜県にするという大目標を提唱されています。そしてそのためには、岐阜県を、一、環太平洋の星とする、二、日本一住みよいふるさとにする、また、情報化社会に対しては、まず交通の便において日本のかなめとする、そして高度情報基地岐阜を実現する、技術については、世界の頭脳基地岐阜、研究立県岐阜を目指す、さらに国際化イコール個性化の時代の中で、世界に舞台が広がってもいよいよ光り輝くような個性あふれる岐阜にする、そのために、世界のふれあい広場岐阜、花の都ギフ、匠の王国岐阜の実現など思い切った発想のもとに、夢おこし県政の夢しるべとなる目標も提唱されています。 私は、これまで夢おこし県政の考え方、進め方につきまして幾つかの要望や提言をさせていただきました。特に主張しましたことは、一、夢おこし県政は県民総参加ということが大前提であること、決してスローガンであってはならないし、また言葉だけで終わらしてはいけないと思います。県民総参加というところに大きな意味や目標があると思うのでございます。県民による手づくり夢おこし、草の根夢おこしが基本であり、裾野の広い展開であること、二、そして何より重要なことは、夢おこし県政が魅力的で価値のあるものであること、県民によく理解され県民が本音で望んでいること、県民に共感と感動を与えるもの。そのためには、まず県民の声をよく聞き、そして真のニーズや期待や願いを確かな目で把握することです。決して現実乖離や言葉の一人歩きではなく、時間がかかっても足についた本物志向であること等でございます。夢おこし県政も二年目を迎えました。これからが知恵の出しどころ、そして大きな努力が必要なときであると思います。 ところで、「努力逆転の法則」という言葉がございます。これは、言葉とイメージが頭の中で争うとき、勝つのは常にイメージであるという法則でございます。どういうことかと言えば、例えば、幾ら言葉で必ず成功するのだと声高々に言っていても、心の中で失敗しているイメージを描いていれば、イメージの方が強く、失敗という結果にしかならないという法則でございます。イメージの力は言葉の十万倍と言われています。創造工学研究所の中山正和所長の推計によりますと、私たちの頭脳の中で、言葉情報とイメージ情報の比は一対十万ぐらいの差があると言っておられます。努力逆転の法則は、この言葉のイメージの差によるものである、言葉を使っていくら表現したり唱えていても、その背後で逆のイメージをしていればイメージどおりの結果にしかならないと言っておられます。しかし、この言葉とイメージの関係を上手に使い、言葉の表現をそのまま鮮やかにイメージしたとき、すなわち言葉とイメージがぴったり一致したときは、まるで共鳴反応を起こしたときのように大きな力になると言われています。成功哲学の著者でございますアメリカのナポレオン・ヒルは、「イメージは物体である。イメージは実現する」と言っています。事実、人間の頭の中で思ったり考えたり思考したりするイメージと呼ばれるものはエネルギーを持っています。イメージが燃えるような願望や夢と解け合って目標に向かって働き始めると強力なエネルギーを持った物体としての性質を発揮し始めると言うのです。したがって、ナポレオン・ヒルは、「夢を持て、夢を語れ、夢を描け、そして夢を鮮やかにイメージせよ、鮮やかにイメージすればするほどその夢は実現する」と言っているのです。ナポレオン・ヒルが検証したすべての成功者に共通する点は、何といっても手に入れたい自分の未来像や夢を鮮やかに描き続けた人たちである」と言っています。そして、「成功イメージが成功を生み出すパワーである。ビッグなイメージがビッグな成功をもたらす原動力である」と言い切っています。 昔から多くの偉人たちが、人間には無限の可能性が潜在していると言ってきました。今、人間が本来持っているこの無限の可能性や能力をどのように引き出せるか、どのようにしたら引き出せるか、大脳生理学、心理学、禅やヨガで研究され、脳の仕組みや働きが解明しつつございます。脳をうまく働かせる一つの方法としてイメージトレーニングが大変有効であるということがはっきりしてきました。さきのソウル・オリンピックで、鈴木大地選手は十六年ぶりに日本競泳陣に金メダルをもたらしました。このソウル・オリンピックは、別名イメージトレーニングのオリンピックと呼ばれていました。とりわけ東ドイツは、人口が少ないにもかかわらず、ソ連、アメリカという二大大国に次いで金メダルを多く獲得しましたが、その成果は緻密なイメージトレーニングによるものと言われています。各国も東ドイツに負けるなとばかりにこぞってイメージトレーニングを重要視してきたわけでございます。鈴木選手の勝利もイメージトレーニング抜きでは語れません。彼は次のように言っています。「試合の直前にはレースの展開を頭の中で描くのです。それは、こうなったらいいなみたいなものではなく、もっと客観的で具体的なものです。まず自分のラップタイムと今の調子をよく把握します。そして対戦相手の癖やペースを思い浮かべます。その上で想定できるあらゆるレース展開と自分がそれをどうやって打ち破って勝利を収めるかを描くのです。このときのイメージはできるだけ具体的に細かくやります。それこそコース・ロープの状態まで見えるほどまでやります。そのために、自分やライバルのビデオを何回も何回も見るのです。さらに会心の泳ぎを思い浮かべるだけではなく、メーンポールに日の丸が揚げられるイメージまで描きました。この結果、晴れの舞台で計算どおりイメージどおりに泳ぎ切り見事に栄冠を手に入れたのです。そしてイメージどおりメーンポールに日の丸を揚げたのです」と言っています。さて、そこで、以下の点について知事に御質問いたします。 夢おこし県政がスタートして一年が経過しました。夢おこしという言葉は広く普及したと思いますが、問題は、その考え方や進め方について県民の皆さんにどれだけ理解していただいたかであると思います。夢おこし県政についての受け取り方や期待、理解についてはまちまちです。夢おこし県政は、県民総参加によりみんなの知恵やエネルギーを結集していこうとする取り組みです。そのためには、県民によく理解され支持され協力していただく体制をつくっていかなければならないと思うのでございます。夢おこし県政の考え方や進め方、構想やねらい等についてもっともっと丁寧にわかりやすく継続したPRやアピール、また、理解や支持が得られるような、そんな取り組みが必要であると思います。私の目から見れば、この点の努力が不足しているように思います。どのように考えているのか、どのように進めようとされているのか。 二、県民が共通の目標を持ち目標達成に向かって総力を結集していくという考え方や取り組みはすばらしいと思います。問題はその方法であると思います。中でも最も重要なのは、目的、目標の明確化でございます。かつて足利尊氏は、新田義貞との戦いにおいて、「我に錦の御旗のないことがかえすがえすも残念だ」と嘆いたとのことです。錦の御旗とは官軍の印、すなわち大義名分。これは、国民に支持され理解される目的、目標でございます。夢おこし県政についても、県民に理解され、支持されるような目標を明確に描くことです。言葉だけでは不十分であると思います。すなわち岐阜県の将来イメージを具体的に明確にだれにでもわかるように描くことであると思います。もちろんしっかりとした哲学や構想に基づいていることが重要ですが、その展開や進め方については、わかりやすくだれもが共通のイメージを持って取り組んでいくようにすることであると思います。イメージの方法としては、絵や写真やイラストにする方法等もあると思います。もっとこういうイメージづくりに知恵や工夫、お金を使うべきであると思いますが、知事はどのように考えておられるのか。 三、ここに知事がつくられました「夢おこしの樹」という二十一世紀夢おこし県政体系図がございます。これは、夢おこし県政についての考え方や進め方、構造やねらい、目標が書かれております。しかし、これだけで夢おこし県政を理解しようと思うと大変でございますし、なかなかイメージできません。そこで、この体系図の中で相当部分私は絵にすることができる部分があると思います。この体系図を絵にされまして、夢おこしイメージ図にされたらどうかと思うわけでございます。絵にすることによってまた新たな知恵がわいてくるような気がいたします。知事の見解はいかがでしょうか。 四、夢おこし県政は日常業務とは別にあるのではなく、もちろん現状組織を通じて展開していくものでございます。しかし、県民総参加、県民の知恵やエネルギーを結集していかなければならない大変な仕事でございます。その具体的な展開や進め方については、もっともっと専門的、集中的、継続的に取り組むスタッフが必要ではないかと思うのでございますが、どのように考えておられるのか。 五、昨年は五万五千件を超える夢が提案されました。これは文書による提案でございました。しかし少し発想を変えて、イメージによる夢募集のようなものを行ったらどうでしょうか。例えば平成記念緑のふれ愛広場のような建設に当たっては、みんなが夢参加する、その方法として、夢の触れ合い広場、ロマンあふれる触れ合い広場、未来の触れ合い広場、楽しい触れ合い広場、おもしろ触れ合い広場などいろいろなイメージを絵やイラストや写真などで募集するという方法もあると思います。そしてそのアイデアや着想を活用していくという考え方でございます。これは一例ですが、夢提案は文章による方法以外にも考え出せばいろいろな方法があると思います。もっと県民の多くの人たちから知恵やアイデアや能力を出してもらうような方法を工夫することが重要であると思います。手を変え品を変え、目先を変えた継続した取り組みも必要だと思います。夢提案の方法についてどのように考えておられるのか。 最後に、これは私の期待でございますが、昔から「一利を興すは一害を除くにしかず」との言葉がございます。これは、一つの利益あることを始めるよりは一つの害を除く方に力を用いるべきだということでございます。夢おこし県政は決して新しいものをつくり出していくということばかりに目がいっているのではありませんが、現実に今困っていること、現実に今こそ光を当てなければいけないところ、現実に今取り組まなければならない重要課題、こういったものにこそ知恵を出し光を当て希望を持たせる、そして勇気を持って実行していく、その成果を見ながら、県民の皆さんから、なるほど夢おこし県政とはこういうものであったのかと共感が持たれ、まさに県民総参加によるすばらしい岐阜県づくりが、組織的、システム的に行われていくことを心から祈りまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(河村成勝君) 知事 梶原 拓君。    〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 最初に、土地対策、地価対策についてお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、土地は、県の産業経済あるいは県民の生活の基礎でございまして、二十一世紀を展望いたしました夢おこし事業、あるいはプロジェクトを推進するためにも地価対策は重要でありかつ緊急な課題と認識をいたしております。地価対策はすぐれて総合対策でございまして、税金、金融、土地取引規制、宅地供給等の施策を総合的に実施することが必要でございますが、県といたしましては、御指摘のございました国土利用計画法に基づく監視区域の指定を行いまして土地取引価格を適正に指導し、また、実績を上げておると思っておるところでございます。同時に、土地の需要と供給の逼迫の状況を緩和するということも大切であろうと思います。このためには交通網の整備によりまして県土の均衡ある発展を図ることも必要であろうと、こういうふうに思うわけでございます。今後とも地価の動向を見守りながら監視区域制度の的確な運用等に努めてまいりたいと存じております。 次に、夢おこし県政につきまして数々の有益な御提案をちょうだいいたしました。 夢投票、昨年実施いたしまして、多くの県民の御協力をちょうだいいたしました。その際に、岐阜市内のある女子中学生でございますが、夢投票を学校で提出した際に、私、知事さんになったみたいと、こういう言葉を漏らしたそうでございました。その言葉を聞きまして一種の感動を覚えたわけでございます。県民自体が主人公であると、みんなで計画し、みんなで実行し、みんなが幸せになると、こういう夢おこし県政の心髄に触れたような気がいたしたわけでございまして、逆に子供さんの言葉から夢おこし県政というものを教えられたというような感じがするわけでございます。 夢投票の中から、平成二年度の予算にも議会の御同意を得まして多くの事業を取り上げたわけでございます。それぞれ「くらしと県政」という県政PR版に御提案いただいた方の名前も載せまして各家庭にお知らせしたわけでございます。そうしましたら、多くの方から自分たちの提案が取り上げられてありがとうという礼状が届いたわけでございます。私自身もいただいたわけでございますが、こういう形で県政と自分自身というものが別物ではなくて一体のものだと、こういうような認識が広がっていくということがありがたいことであろうというふうに思います。御指摘のように、今後夢おこし県政の趣旨を大いに理解していただくよう努力をいたしたいと思いますが、何よりもそうした夢集めあるいは夢そだてという行政の実績の中で県民の理解を深めていくことが肝要ではないかというふうに思います。そういった観点から、今年度におきましても、私自身、いわゆるガヤガヤ会議を機会がございましたら開催をいたしております。副知事も、あるいは部局長も、さらには一般職員も、県民の方と忌憚のない意見の交換の機会を大いに持ってもらうと、こういうことが夢おこしの出発点であろうと、議員もそのように御指摘をいただいておるわけでございまして、県勢の進展の中で、県民の皆様の理解と支持を得られるようにさらに努力をしたいというふうに思っております。 それから、イメージトレーニングのお話がございまして、ナポレオン・ヒルの例も引かれたわけでございますが、私自身も、地域社会におきましても、人間と同じような現象、メカニズムがあるというふうに理解をいたしておりまして、暗いイメージの地域社会はやはりどんどん落ち込んでいくと、人間個人のメカニズムと同じだというふうに理解をいたしておりまして、やはり明るい将来の夢を持つ地域社会でなければ明るい方へと好循環していかないと、こういうことであろうと思います。したがって、目で見える形のイメージというものをこれから県民の皆様とともに描いていきたいというふうに思っておるわけでございます。そのイメージ自体を県民総参加の中で描いていく必要があると思います。幸い、昨年夢投票をいただきまして、コンピューターでも分析をさせていただきました。そういたしますと、トップに出てまいりますのが、緑、木、水、花という自然、あるいは環境という問題でございます。二番目に位置するのが触れ合いとかイベントとか人間と人間が温かく触れ合う、こういうようなことでございまして、自然と人間、そして人間と人間の共存、協調、あるいは共生、共に生きると、こういうようなことが県民の皆様の最大公約数ではないかというふうに思います。これは、期せずして二十一世紀の地球環境問題にもつながります共生、共に生きるという大きなテーマでございまして、県民の皆様の夢投票を眺めておりますと、世界的、地球的な二十一世紀のテーマがクローズアップされてくるわけでございまして、今さらながら県民大衆の英知というものに、あるいは洞察力というものに感服せざるを得ないわけでございます。こういうデータをもとにいたしまして、二十一世紀ビジョンを皆様とともに描いていきたい、そして御提案のように、なるべくわかりやすく絵で示すとか、そういうようなことを配慮してまいりたいというふうに思っております。 さらに、夢おこし県政につきましては、例のないことでございまして、大変関係の皆様にも御迷惑をかけておりますが、やはり専門的なスタッフを育てるとか、あるいは専門家の御意見をいただくということも必要であろうかと思いますが、県の内部におきましては、総ぐるみでこれに当たるということで副知事を本部長といたしまして夢おこし推進本部、ここを中心に夢おこし県政の推進を図ってまいりたいというふうに思っております。そして、夢の提案は、ただいまのところ夢登録用紙というもので扱わせていただいておりますが、既に写真を添えて夢投票を提案されたり、あるいは自分のイメージを絵で書いてお出しになったり、そういう方がおいででございます。あるいは御自分でつくられた岐阜の愛唱歌をカセットテープに吹き込んで届けてこられた方もおられますし、あるいは桜のテングス病について、現物を添えて持ってこられた方もおいででございます。御指摘のように、いろんな形で提案が出るということは大変結構なことでございまして、どういう形でなければならないというような制約は今後ともしていかないということにしたいと思います。 最後に、「一利を興すは一害を除くにしかず」と、こういう例を引いて戒めとされたわけでございますが、おっしゃるとおり、夢は大きく実行は着実にと、こういうことでもございます。岐阜県の予算編成におきましては、かねてから、生計予算、戦略予算、気くばり予算というような性格分けをいたしまして、予算の編成を効果的にしようというように努力をいたしておりまして、とりわけどうしても行政の谷間というものが出てくるおそれがあるわけでございまして、そういった谷間に光を当てる気くばり予算といものにつきましても十分な配慮をするように努力いたしておるわけでございます。今おっしゃいました「一利を興すは一害を除くにしかず」と、こうした戒めを胸に抱きながら着実に夢おこし県政を進めてまいりたいと考えおります。 ○議長(河村成勝君) 総務部長 永倉八郎君。    〔総務部長 永倉八郎君登壇〕 ◎総務部長(永倉八郎君) 国庫補助負担率の暫定カットの復元問題についてお答えいたします。 御指摘のとおり、国庫補助負担率のカットにつきましては、昭和六十年度に始まり、六十一年度に三年間の延長が行われ、さらに平成元年度から二年間再延長されたところであります。この昭和六十年度、六十一年度及び平成元年度の各年度の予算編成に際しましては、カットの廃止、補助負担率の復元を強く要請してまいりましたが、残念ながらこの措置は建設事業費として二年度まで継続されているところであります。たび重なるこのような措置の延長は、国と地方との信頼関係を著しく損なうものであるとともに、暫定措置であることから、地方財政の運営を不安定なものとするものであり、こうした点からも、平成三年度におけるカットの廃止と完全な補助負担率の復元を私どもといたしましても強く望んでおるところであります。このため県といたしましては、中部圏の知事会及び全国知事会と歩調を合わせまして、国に対して補助負担率のカットの廃止と完全な復元を要請してまいりたいと考えておりますので、御協力賜りたいと思います。 ○議長(河村成勝君) 企画部長 山田賢一君。    〔企画部長 山田賢一君登壇〕 ◎企画部長(山田賢一君) 議員から、土地対策、地価対策に関しまして数点にわたる御質問がありましたので、順次お答えを申し上げます。 まず、監視区域の指定基準についてでありますが、岐阜市、大垣市、多治見市、可児市の四市につきましては、昨年の地価調査結果によりまして、いずれも一〇%以上の地価上昇が見られましたために、国が示しました地価の急激な上昇に当たると判断いたしまして、本年四月から監視区域に指定したところであります。今後も同様に、一年間に一〇%以上の地価上昇が見られる市町村、あるいは大規模プロジェクト構想があり、地価上昇が予想されるような地域につきましては、監視区域の指定を検討してまいりたいと考えております。 次に、現在の監視区域内での届け出状況についてお答えをいたします。 昭和六十三年九月二十日に指定をいたしました岐阜市中心部におきましては、本年三月三十一日までに四十一件の届け出がございました。そのうち十五件につきましては価格の引き下げ指導を行いましたし、さらに本年四月一日に指定いたしました岐阜市ほか三市につきましては、五月末までに七十八件の届け出がございました。そのうち二十六件について価格の引き下げ指導をいたしたところであります。いずれも価格の引き下げ、あるいは取引が中止となり、勧告までに至った届け出はございませんでした。したがいまして、監視区域内では、届け出の三分の一以上を指導しておりまして、地価抑制に一定の実績を上げているものというふうに考えております。 最後に、多治見市及び可児市の届け出対象面積についてお答えいたします。 届け出対象面積の設定に当たりましては、監視区域制度の趣旨や土地取引の実態等を総合的に勘案いたしまして、指定による効果が上がるように設定をいたしたものであります。なお、指定後も地価の上昇率が低下しない市町村につきましては、届け出対象面積を引き下げる等、指定による効果をより高めるよう努めてまいりたいと考えておりますので、御理解をたまわりたいと存じます。 ○議長(河村成勝君) 七番 岩井豊太郎君。    〔七番 岩井豊太郎君登壇〕(拍手) ◆七番(岩井豊太郎君) 本日最後でございますが、質問の時間をいただきましたので、知事さんには夢のある答弁を期待いたしまして質問に入りたいと思います。 私は農政問題並びに身体障害者福祉問題、二点について質問いたしたいと思います。 まず、米の需給バランスを図るため、水田農業確立対策が実施されているところでありますが、我々農民にとりまして、米づくりによる所得向上を図るためには、米の生産性を高めるとともに消費者のおいしい米指向に合った銘柄米づくりを行い、有利な販売を促進する必要があると考えます。政府では、食糧管理のあり方について、自主流通米取り扱い拡大の方向がこれまで打ち出されてきましたが、六十一年産における本県主食用うるち米の自主流通米比率は三三%と、全国平均の四五%に対して低い状態にあり、今後の産地間競争の激化する米流通を考えると、売れる米づくりを推進することが急務であるということであります。 そこで、本県はハツシモ、コシヒカリを岐阜銘柄米として位置づけ、水田農業確立運動に基づき、県、食糧事務所などの協力を得て、岐阜銘柄米づくり運動を推進してきました。その結果、昨年は全国平均では自主流通米は七〇%で、政府買い入れ米が三〇%となっておりますが、本県では自主流通米が七八%で政府買い入れ米が二二%となり、自主流通米の比率が非常に高くなりました。そこで、先ほど申しました農民の所得向上といった面から申しますと、昨年は銘柄米でありますハツシモ、コシヒカリの自主流通米の農家の手取り価格は、一俵六十キログラム当たりハツシモで二万一千三百円、コシヒカリで二万一千円となっており、政府の買い入れ米は一万六千七百四十三円でありまして、約四千円以上高く売れるということになれば、農民はさらに努力して銘柄米のハツシモ、コシヒカリの生産に主力を置くことになることは当然であります。 そこで、問題になってくるのは政府米の不足であります。標準価格米などに用いる政府米も、当然集荷しなければならないのでありますが、このままの状態でいきますと、県としましても政府の意向を酌んで、バランスある米の集荷について何らかの手立てをしなければならないと思います。政府米の機能を考慮いたしますと、当面三割から四割程度が適当だと言われております。その点についてどのような方策を本県ではとられるか、農政部長にお尋ねいたします。 次に、県民待望の新品種AC1が新しい品種名で登録されると聞いております。AC1は御存じのようにバイオテクノロジー、葯培養法の手法で開発されたものでありまして、良食味、縞葉枯病に強いという新品種を育成することを目標に昭和六十年から研究され、このたび品種登録出願になったわけであります。そこで私は、このAC1の作付計画を今後どのようにしていくか、また、本県ではどの地域の気候、風土に適しているかについて、お尋ねいたしたいと思います。さらに、食味がいいという点について消費者にどのようにPRしていくか、お尋ねいたしたいと思います。いずれにしましても、AC1を本県の銘柄米になるよう努力していただかなければなりません。本県農政部の意気込みを込めて農政部長の答弁をお願いいたします。 次に、最近私たちの周りには輸入食品が大変ふえてきました。果たしてどの程度輸入されていると思われますか。そば屋さんへ行ってメニューを見てみますと、ざるそば、てんぷらそば、きつねそば、山菜そばなどのめん類は、昔から日本人が食べてきたものばかりでありますが、この中で純国産と言えるものがどれぐらいあるでしょうか。まず、そばです。国内の製めん業者がつくったから国産品と言いたいところでありますが、原料の玄そばは中国やアメリカなどから輸入しています。そばの国内生産量は一万八千トンで、輸入依存率は約八四%で、大半は輸入品です。うどんの場合を見てみましょう。原料の小麦は自給率は一四%ですから、これまたほとんどがアメリカから輸入しております。きつねうどんの油揚げは、原料の大豆の自給率はたったの六%でありますので、これまたほとんどがアメリカから輸入しているということです。山菜そばに盛られているコゴミ、ワラビ、キノコ、タケノコはどうでしょうか。ふるさとの味と思われがちですが、いずれも中国などからの輸入した山菜の加工品です。 おわかりのように、これぞ日本食のめん類でさえも、このように大半が輸入された原料でつくられております。同様に、私たちの家庭でも毎日多くの輸入食品を食べているのでありまして、果たして安心であるかどうかということが次に問題になってくるわけです。チェルノブイリ原発事故が起きてから四年たちました。この事故による放射能汚染で汚染されました月桂樹の葉、あるいは農薬が検出された牛肉、豚肉や果物、発ガン性カビ毒アフラトキシンが見つかったピスタチオナッツなどが我が国に入ってくる、輸入食品の安全性の検査体制の貧困さと、考えさせられる多くの事件が後を絶ちません。また、外国での生産状況や保存状況がわからないことも輸入食品の大きな特徴で、どういう農薬をいつどのように使用したのか、抗生物質、ホルモン添加物を使用したのかどうかわかりません。農薬を見ても、現在日本では使用が禁止されているDDT、BHCやパラチオンを使用している国もあります。このように、制度や法律が異なる国からさまざまな輸入食品が入ってきます。日本人にとって、安全な食糧は日本の大地からということではないでしょうか。 そこで次に、日本の大地で生産された野菜を初め、農産物について考えてみたいと思います。 最近スーパーでは、有機野菜などが無農薬野菜だとかいって野菜が販売されていると聞きます。店頭に並んでいる野菜や果物が、どれが無農薬でどれが有機肥料野菜であるか、皆さんおわかりですか。店頭に並んでしまえば恐らく生産者でも見分けがつかないと思います。そこで私は、消費者が店頭に安心して商品が選べるように、本県独自に基準を設けて商品に表示をしてみたらどうかと思うわけであります。 昨年、全国で初めての試みとして、岡山県有機無農薬農産物認証要領を制定いたしました。クリーン農産物に対して県がお墨つきの認証マークを発行し、岡山産のブランド化を図るということです。同要領に基づく認証基準は、次のようになっております。一つ、対象作物は野菜、水稲、果樹、二つ目、生産者や栽培農地が登録されていること、三つ目としまして、昭和六十三年に制定された岡山県有機無農薬農業推進要領の栽培基準に基づいて生産された農産物であること、四つ目として、栽培管理などが明確に記録されている農産物であるということであります。この場合、栽培基準に即して栽培され、しかも、栽培基準に定める病害虫防除に使用できる天然資材をも使わず生産したものには有機無農薬農産物のマークを張り、やむを得ず同天然資材を使用して生産したものには有機栽培農産物の認証マークを張りつけるのであります。また、有機無農薬農産物の取扱店には看板を掲げ、販売コーナーなども設けてもらうということにしているということであります。このようにして、岡山県では昭和六十三年度から三カ年計画で産地育成に取り組んでいますが、この二年間で農地を登録した農家は約五百人、面積にすると三十ヘクタールに達するということであります。 そこで私は、本県は本県独自の方法でよいと思いますが、先ほど申しましたように、消費者が一目で安全で健康な食品を安心して選べるブランドづくり及び商品の開発を一日も早く企画されることを要望いたしますが、農政部長の御見解をお尋ねいたします。 次に、クラインガルテンという言葉を御存じですか。ドイツ語でクラインは小さい、ガルテンはガーデンすなわち庭園という意味です。我が国では市民農園と言った方がわかりやすいと思います。本場西ドイツでは、一区画が約二百五十から四百平米と、ゆったりした広さの細長い区画に野菜畑、芝生や果樹、色とりどりの季節の花の植え込みに利用されています。第二次世界大戦で空襲を受けたドイツの人々は、クラインガルテンで雨露をしのぎ、ここでつくったジャガイモで飢えをしのいだと言われていますが、今はゆとりある社会、豊かな社会のシンボルとなっております。また、ドイツの都市は、法律でクラインガルテンを一定数確保することが義務づけられているということだそうです。 そこで、我が国でも六月十五日の参議院本会議で、市民農園整備促進法案が全会一致で可決成立いたしました。九月中旬にも施行される見通しであります。その法律は、農林水産省が良好な市民農園をより積極的に育てていくということをねらいといたしまして、これまでの市民農園が物置や駐車場もないものが散在する場合が多いことを反省し、都道府県知事の基本方針のもとに市町村が市民農園区域を指定し、市民農園をまとめて開設していくということであります。週休二日制の普及した昨今では、余暇の有意義な過ごし方として、市民農園で一家そろって健康的で、しかも物をつくる喜びを味わいながら一日が過ごせるということはすばらしいことだと思います。さらに、自分でつくった野菜なので安心して食べられます。しかも新鮮であります。農地を提供する農民にとっても、この法律によって市街化区域だけでなく調整区域の農地も提供することができ、借りる側との間に市町村とか農協などの公的機関が一枚かんでいるということで、安心して貸すことができるわけです。このように、すばらしい市民農園は、また、都市と農村の交流の場としても有効に使われると思います。県は今後、この市民農園の普及、拡大にどのように考えておられるか、この点につきましても、農政部長にお尋ねいたします。 次に、本県における障害者対策についてお伺いいたします。 昭和五十六年の国際障害者年には、障害者に対する理解と認識を深めるため、世界的規模で記念事業、啓発活動が行われましたことは、まだ御記憶の方も多いかと思います。本県においても各種記念事業が行われ、このことを契機として設置されました岐阜県国際障害者年推進協議会の意見をもとに、昭和五十七年三月、障害児に関する長期計画が策定され、鋭意、各種施策を推進していただいているところであります。 さて、この長期計画に盛り込まれました基本理念がノーマライゼーションであります。これは、障害者が家庭や地域社会において健常者とともに暮らしていける社会づくり、すなわち、例え障害があっても、生まれ、育ち、学び、仕事につき、家庭を持つといった、人間としてのごく当たり前の社会活動がごく当たり前に送っていける社会づくりです。これが、ノーマライゼーションの理念であると思います。障害を持つことを理由に、こうした人間としての権利が制限されたり差別されたりするようなことのない社会を、地域社会の中で理解を求めながら推し進めていかなければなりません。すなわち、従来からの在宅福祉、地域社会の推進により、障害者用住宅、道路や公共施設などの生活環境の整備、補装具の開発などの条件の整備により、家庭や地域社会での生活を可能とする前提条件が形成されて、ノーマライゼーションの考え方に発展してきたものであります。 障害者の完全参加と平等を実現するためには、県民すべてが障害者への理解と認識を深めることが必要であります。完全参加と平等の目標は、障害者は障害の原因、特質及び制度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有するという原則を基礎としており、この原則は障害者対策の最も基本となるものであります。日本の長い歴史の中で、障害者は社会から隔離された傾向にあり、人の心にも障害者に対する差別と偏見の意識があり、障害者が町にいると物珍しく見られがちの状況がなお多く、人の心の改革を行うことが、制度面の改革や障害者の利用しやすい環境の整備とともに、ノーマライゼーションの社会の実現への大きな課題であります。 また、子供のころから自然な形で理解を求めることが大切であり、以前私が議会で申し上げたことがございますが、小・中・高校で福祉教育を推進するとともに、特殊教育学校と普通学校との交流を推進する必要があると思います。また、地域住民にボランティア活動の心が培われることにより、障害者も自然な形で地域での暮らしができることになり、子供のころからのボランティア精神の育成も考慮する必要があると思います。障害者福祉対策の目的は、障害者の自立を支援すると同時に、障害者の自立を可能にする条件の整備に努めることだと思います。さらに、最も重要なことは、障害者自身の自立への努力であります。障害者自身が単に保護されかばわれる存在でなく、一人の県民として権利、義務の意識を強く持ち、学校、職場、地域社会において可能な限り自立を目指し、社会参加をすることが、何よりも県民への啓発になることであると思います。 先日五月五日付の新聞に、アメリカの下院本会議において、障害者差別禁止法案が圧倒的多数で議決、成立したとの記事が掲載されておりました。この法案の内容は、例えば雇用については障害があることを理由に、採用や昇進等の雇用条件に関して差別してはならないこと、あるいはバス、列車等については、車いす使用者を含むすべての障害者が容易に利用できるよう配慮することなどを、義務として定めているものであります。まさに、ノーマライゼーションを国家的保護のもとに実践しようとする画期的な法案であると思います。全米で四千三百万人と推定される身障者から、米国独立宣言に等しい画期的な法案だと歓迎されております。果たして今、このことをそのまま日本の社会に置きかえるとき、このような法案が議決され得るような国民的理解が育っているでしょうか。残念ながらノーだと言わざるを得ません。 例えば、毎年十二月九日を障害者の日と定め、国民に対する広報、啓発を行う活動が進められておりますが、このことさえ知っておられる方はまだまだ少ないのではないでしょうか。その意味では、我が国における障害者に対する理解、ノーマライゼーションの理念の普及は、まだまだその歩みを始めた段階であるような気がいたします。そんな思いを抱きながら、私は先日、重度の身体障害を持ちながら立派に地域において活躍しておられます郡上郡白鳥町在住の上村和洋さんのお宅へお邪魔してまいりました。知事とのテレビ対談にも出られた方ですので、御承知の方も多いのではないかと思いますが、少しこの方のお話をさせていただきたいと思います。 上村さんは、昭和五十六年、自動車事故のため首から下は全く自分の意思では動かすことのできない重度の身体障害者の方です。事故に遭われてから一年半は、ベッドからおりることもできなかったそうであります。その後、やっと車いすに乗せてもらうことを許され、自宅でも生活を始められたのでありますが、話すことはできても自分の意思で何一つ自由にならないのですから、在宅での生活は想像を絶する苦悩の連続であったとお聞きいたしました。奥さんは、暇さえあれば新聞記事をあさり、同じような障害を持つ方の記事を見つけると手当たり次第電話をかけたり、手紙を書いたりして、あるいはその家まで出かけて行ったりして、夫の看護や将来のため、思いつくことはすべて試みられたそうです。何しろほとんどベッドの生活ですから、夜でも奥さんを起こすことになり、けんかばかりの毎日で奥さんも疲労がたまり、こんなことでどうなるかと悩み続けておられたそうです。 そんな中で上村さんは、リハビリテーション工学の先生を知る機会を得て、環境制御装置とパソコンによって救われたということでした。いずれもその操作は呼気、すなわち息を吸ったり吐いたりする力を利用することで、利用できるように改造されております。環境制御装置は生活基盤の安定につながり、テレビや電話はもちろん、玄関のかぎまでこの環境制御装置でコントロールできるようになり、自分だけの留守番もできるようになり自分自身の時間も持てる、奥さんも近くに働きに出られるようになりました。また、パソコンはこうして得られた自分の時間を生かす道具として購入され、その後大変努力されまして、今では文字や絵を自由に描くことができるようになりました。これが口にスティックをくわえてかかれた、パソコンにかかれた絵です。(資料を示す)たくさんありますのですけれども、時節柄これをお借りしてきました。こういった立派な絵をかけるようになられたわけです。 それで、ことしからは月刊専門誌の表紙の絵もかくようになられたということであります。職業的自立はまだですが、ほんの少しずつですが内面的にも生活面でも充実感が得られ、目的意識が持てるようになりつつありますと言っておられました。本人の努力によって、ここまで精神的にも充実してこられたことに対し、心から敬意を表したいと思います。また、このパソコンと電話を利用したパソコン通信をするようになってから外に出る機会も少なく、人と話をする機会もほとんどなかったものが、今ではそれこそ日本じゅうの人と交流ができるようになられたそうです。障害者にとって、コミュニケーションの手段を確保するということは、とりもなおさず失われかけた人間らしさを取り戻すことを意味しますと言っておられました。最先端の福祉機器が一人の障害者の残された能力を引き出すと同時に、人間性をも取り戻すことができるということです。私は、彼が一日も早く社会の中で活躍されることを祈ってやみません。 そこで、こうしたことを踏まえ、次の点についてお尋ねいたします。 まず、知事さんにお尋ねいたします。障害者対策に関する本県のビジョンであります本県の第四次総合計画に基づいて福祉行政を行っておられるのですが、策定された当時に比べて福祉を取り巻く環境も大きく様変わりしていると思われます。先ほど申しました福祉機器の開発もその一つの例だと思います。そこで、知事さんが日ごろ障害者に思っておられる夢について、お聞かせ願いたいと思います。 次に、民生部長にお尋ねいたします。障害者福祉に関する長期計画では、一九九一年にその評価と反省をすると述べられておりますが、特にノーマライゼーションの理念の普及は、必ずしも望まれる成果が上がっていないように感じられます。そういう意味では、在宅障害者対策はこれからが本番だと思います。個々の対策の評価と反省を軸に、今回の法改正の趣旨を十分検討され、よりきめ細かな地域福祉の向上を目的とした新しい計画の策定が必要ではないかと考えますが、その点についての御所見をお尋ねいたします。 第二点は、在宅障害者の自立と社会参加を総合的に推進するには、障害者の各段階に合わせたきめ細かな指導、助言体制の確立が必要であります。その中枢的機能を果たす機関としての総合リハビリテーションセンターの設置は必要不可欠と考え、以前御質問させていただいた経緯もございますが、その後の進捗状況について改めてお伺いいたします。 第三点は、先ほどの上村さんの例からもうかがえるように、福祉機器は急速な進歩をしております。また、大変有効な障害の軽減手段ともなり得ることを考えるとき、現在県で実施しておられるニュー福祉メディア事業、パソコン通信モデル事業などは、障害者の自立と社会参加を支える有効な手段と考えられます。そこで、こうした福祉機器の積極的な活用を行政、企業、障害者が協力し、さらに障害者のニーズを調査して推進していくことが、将来の福祉行政の大きな柱となり得る可能性を秘めているような気がしますが、県として今後どのように位置づけし、推進していかれるかお伺いいたします。パソコン通信モデル事業も来年七月で終わりますが、利用者からも大変好評でしたので、何らかの形で継続していただきたいと存じますが、その点についてもあわせてお尋ねいたします。 最後に、教育長にお尋ねいたします。先ほど申しました小・中・高校での福祉教育について、難しいことかもしれませんが、ノーマライゼーションの理念を教育するということは実践を通じて教育するということだと考えますが、その点について現在どのように取り組んでおられるか、また、ボランティア精神の育成についてもどのように取り組んでおられるかお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。   (拍手) ○議長(河村成勝君) 知事 梶原 拓君。    〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 身体障害者の問題につきましてお答えしたいと思います。 ただいまお話しの中にございましたように、郡上郡の上村さんと私、お話し合いをさせていただきました。事故ということでああいうお立場になられたわけでございますが、だれしも同じような立場になり得る今日の実態でございます。決して他人事ではないわけでございまして、そういう意味から、議員におかれましては、常日ごろ身体障害者問題にテーマを絞られて熱心に研究され、いろいろ有益な御示唆をいただいていることに心から感謝を申し上げたいと存じます。 福祉のビジョンを示せと、こういうことでございます。 国際的なテーマである完全参加と平等という理念に基づいて諸般の施策を進めるべきであろうと、かように考えております。当たり前の生活という、ノーマライゼーションという考え方がこれから正道であるべきだと、かように考えます。こうした施策を進めるためには、何といいましても県民の皆様に御理解をしていただくということが大切でございます。そのためにも、国、県、市町村、そして地域が一体となって福祉のビジョンづくり、その具体化を進めていくことが必要であろうと思うわけでございます。私は、常日ごろ生きがい福祉ということを申し上げているわけでございまして、個人が自分の人生についてしっかりした目標を持ち、そして毎日毎日の生活に生きがいを感じられるようにするということが基本でなければならないというふうに思うわけでございます。そして、人間は孤独では生活できないわけでございまして、ふれあい福祉ということもしておりますが、人と人との温かい触れ合いの中で、また新しい人生の喜びを感じていくということも必要であろうというふうに思います。これは、地域社会のあり方にかかわることでございます。それから、行政といたしましては、どうしても谷間ができてくると、これが社会の実態でもございます。そういったところに十分な気配り、目配りをいたしまして、谷間に光を当てると、こういう気くばり福祉、気くばり行政でなければならないというふうに思います。そういう観点に立ちまして、特に重点を置いておりますのが、先ほどパソコン等のお話が出ましたけれども、これだけ科学技術が発展してまいりまして、その成果が多くはいわゆるビジネスの世界で活用されておるわけでございますが、その成果を福祉の世界にもっともっと活用すべきであろうというふうに思うわけでございます。そうすれば、目が不自由だ、手足が不自由だと、そういったそれぞれの方々のマイナスを科学技術の力、機械器具の助けによりまして補完できると、そしていろんな社会的な活動が十分できるような、今、時代になってまいったと思います。こうした科学技術を生かしてすばらしい社会を実現したいと、これが私の夢でございます。 本県におきましては、昨年度から、全国でも初めてでございますが、ニュー福祉メディア活用事業を始めたわけでございます。既に多くの実績を得ておるわけでございまして、その拡充も図っていきたいと。それから、障害者のふれあいパソコンネットワークモデル事業というのも実施しております。それから、本年度は、新たに障害のある方々の自立と社会参加を支援するために身体障害者社会参加促進センターの設置を進めることといたしております。それから、障害者が安心して暮らせる町づくり、村づくりを推進するための、あったかマイタウン創生事業、こういった事業にも取り組んでおるところでございます。それから、身体障害者療護施設を瑞浪市に建設いたしておりますが、地域に開かれた明るい施設とするために、ふれあい広場の設置などのいわゆるプラスアルファ事業も実施いたしております。こうしたきめ細かな配慮も進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。また、さらに県立身体障害者療護施設に家族との触れ合いの場としてのゲストハウスの建設と、こうした事業も進めておるわけでございまして、御提案のいろんな御示唆、御意見を参考にしながら、本当に日本一住みよい岐阜県づくりを目指しまして着実に障害者対策を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(河村成勝君) 民生部長 桑田宜典君。    〔民生部長 桑田宜典君登壇〕 ◎民生部長(桑田宜典君) 身体障害者の方々に関係します四点の御質問についてお答えをいたします。 まず、計画についてでありますけれども、県におきましては、昭和五十七年に障害者施策に関する長期計画として十カ年の計画を策定しまして各種の施策を実施してまいりましたが、平成三年にはこの計画が終わりますので、このたびの老人福祉法などの一部改正を踏まえまして検討課題とさせていただきたいと、かように考えております。 次に、総合リハビリテーションについてでありますけれども、昨年九月に障害者リハビリテーション体制調査研究会を設置いたしまして、岐阜県のリハビリテーション体制のあり方について検討を願ってきたところであります。なお、本年度におきましても、昨年問題となった事項などにつきましてさらに論議を深めていただき、これをもとに本県にふさわしい総合リハビリテーション体制の体系的な施設整備について検討してまいりたいと、かように考えております。 次に、福祉機器の積極的な活用についてでありますけれども、ただいま知事から御答弁もありましたが、議員御指摘のとおり、福祉機器の活用は、障害者の方々の自立、社会参加を図る上で有効なものと考えております。このため、昨年度から本県独自のニュー福祉メディア活用事業を実施いたしまして、民間の御協力を得て先端的福祉機器を福祉施設へ導入し、今年度からその利用効果を調査することとしております。また、昨年度、福祉施設等に福祉機器に対する開発ニーズ調査を実施しましたところ、約二百件の要望がありましたので、産学官によって構成しておりますニュー福祉メディア研究会でその開発可能性について検討していくとともに、本県の福祉産業の育成、振興につなげていくように取り組んでいるところでございます。 次に、パソコン通信モデル事業につきましては、外出が困難な重度身体障害者の方々のため、健常者あるいは障害者とのパソコン通信を通じましてコミュニケーションの場を広げますとともに社会参加を促進することを目的といたしておりまして、この事業も、先ほども知事さんから御答弁を賜りましたが、昨年八月から独自のモデル事業といたしまして実施いたしておるところでございまして、来年七月には事業が一応終了いたしますけれども、モデル事業の成果を踏まえ推進方法などについて検討してまいりたいと、かように考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。 ○議長(河村成勝君) 農政部長 名知和男君。    〔農政部長 名知和男君登壇〕 ◎農政部長(名知和男君) 農業問題のうち、御質問第一点の自主流通米と政府米のバランスについてお答えします。 自主流通米の生産拡大は、本県にとって、良質で価格面でも販売有利な米づくりに取り組んでいる成果でもあり、政府米とのバランスの問題は、基本的には全国的な見地で対処されるべきものでありますが、食糧管理制度の堅持の観点から、県といたしましても理解すべき問題であると考えております。したがいまして、今後は、米の需給の動向と生産者の意向等を踏まえ、適地適品種の原則に基づく政府米の計画的生産にも意を払いつつ、バランスのとれた作付誘導が一層推進できますよう、関係団体、関係機関と十分連絡をとり指導に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解を願いたいと思います。 次に、御質問第二点の水稲新品種AC1についてお答えします。 この品種は、現在、平坦地域の水稲に大きな被害を及ぼしている稲縞葉枯病に対する抵抗性を有し、しかも味がよいという特色を持っております。現在、種苗法に基づく品種登録を農林水産省へ出願中であり、年内には品種登録の公表ができる見込みでございます。県といたしましては、生産者等の期待の大きい品種であることから、今年度は、稲縞葉枯病抵抗性を有するという品種特性を踏まえ、岐阜、西濃、中濃地域の十五カ所で七十五ヘクタールの現地栽培実証を行っております。これらの成果に基づき、適地適作を基本とした作付計画を策定し積極的な生産振興を図る考えでございます。これとあわせて、品種登録がされ次第県の奨励品種とするとともに、農業団体、流通団体と一体となって県内外に広くPRをしていきたいと考えております。 次に、御質問第三点の安全な農産物の供給についてお答えします。 議員御指摘のとおり、より安全な農作物を生産し供給することは重要な課題でありますので、県におきましては、昨年度から、県内六カ所において有機肥料を積極的に活用した土づくりにより、農薬の使用を極力抑えた水稲及び野菜などの栽培をモデル的に実施し、その過程の中で、消費者を対象とした試食会、体験学習などを通じて、より安全な新しいタイプの農業生産を試行しているところであります。この実践の成果を踏まえ、議員御提案の消費者が安心して選べるブランドづくりに向け、本年度新たに有機農業検討委員会を設置し、他県の事例も参考にしながら前向きに対処していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。 次に、御質問第四点、市民農園の普及、拡大についてお答えします。 近年、国民の余暇の増大や価値観の多様化に伴い、都市の人々の中に野菜や花などを栽培し自然に触れ合いたいという要請が高まっていることは、御指摘のとおりでございます。市民農園は、従来、レクリエーション農園または特定農地貸し付け制度のもとで設置が認められてきたところでありますが、本年六月に市民農園整備促進法が成立し、一定要件のもとで駐車場や休養施設等も一体的に整備できるようになり、市民農園設置のための法制度の充実が図られてきたところでございます。県におきましては、この法律成立に対応し市民農園設置の円滑な推進を図るため、農園の実態調査、需要調査、さらには適地、適正規模等を内容とした調査を本年度実施しているところでございます。この調査結果を踏まえ、農業農村活性化農業構造改善事業などの事業を活用し、都市住民のニーズにこたえた市民農園の設置について積極的に推進を図ってまいる所存でございますので、よろしくお願いをいたします。 ○議長(河村成勝君) 教育長 篠田幸雄君。    〔教育長 篠田幸雄君登壇〕 ◎教育長(篠田幸雄君) 障害者への理解を推進する福祉教育についてお答えをいたします。 県教育委員会におきましては、養護学校教育が義務教育とされた昭和五十四年以来、小中学校の中から心身障害児理解推進校を指定し、障害のない子供たちが障害のある子供たちと活動をともにする、いわゆる交流教育の推進を図ってまいりました。この結果、現在では単に指定校だけでなく、その他の学校においても交流活動が持たれるようになっております。例えば斐太農林高校では、隣にあります飛騨養護学校に呼びかけて交流活動を始めて、障害のある子供たちとともにジャガイモ栽培やリンゴの収穫作業など体験的な活動を年間指導計画に組み入れて、障害がある子供たちに対する温かい思いやりや理解を深めるための実践に取り組んでおります。県教育委員会といたしましては、今後もこうした交流教育を一層推進するとともに福祉への関心を高め、思いやりの心の育成に努めてまいりたいと考えております。 次に、ボランティア精神の育成についてお答えします。 学校におきましては、道徳や特別活動の中でボランティア精神の育成等を目的とした奉仕等体験学習を推進しております。今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。また、社会教育におきましては、青少年ボランティア養成講座、婦人ボランティア講座を開設し、各地域におけるボランティア活動の活発化を図っております。これらの講座を受講された人々が核となり、子供会、青年団、婦人会等各種社会教育団体の活動とともにボランティアの輪がさらに広まるよう努める所存でございます。          …………………………………………………… ○議長(河村成勝君) 本日はこれをもって散会いたします。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配布いたします。 △午後五時五十八分散会           ……………………………………………………...